24 JAPAN 第1話_嫌な予感通りだった【3点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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エージェント・殺し屋
エージェント・殺し屋

(2020年 日本)
2003年に人気を博した米ドラマ『24-TWENTY FOUR-』の日本版ですが、日本のテレビ局の製作規模の小ささがダイレクトに作品品質に影響を与えており、残念ながら芳しい出来ではありませんでした。オリジナル未見の方はぜひそちらをご覧になって下さい。この日本版の5倍は面白いので。

あらすじ

CTU(テロ対策ユニット)班長の獅堂現馬(唐沢寿明)は、総理大臣候補暗殺計画ありとのことで阻止に動き出す。ちょうどその頃、獅堂の娘・美有(桜田ひより)が友人と夜遊びに出て行方不明になっていることから、妻・六花(木村多江)は美有の足取りを追い始める。

登場人物

CTU(テロ対策ユニット)

  • 獅堂現馬(唐沢寿明):第1支部A班班長。総理大臣候補暗殺計画阻止のために呼び出されるが、当該計画に関連して、CTU内に居ると思われる敵への内通者捜索を裏ミッションとして持たされている。
  • 郷中兵輔(村上弘明):東京本部長。正義漢である獅堂に信頼を置いており、組織内の裏切り者捜索を獅堂に託す。
  • 鬼束元司(佐野史郎):第1支部長で、獅堂の直接の上司。過去に麻薬関係の資金が行方不明になった事件に関与しており、その不誠実な仕事ぶりより獅堂からは裏切り者ではないかと疑われている。
  • 水石伊月(栗山千明):第1支部A班チーフ。獅堂の右腕的な立場にいる。
  • 南条巧(池内博之):第1支部A班の暗号解析係長。陰で水石と交際している。
  • 明智菫(朝倉あき):第1支部A班の暗号解析係。入院中の息子のために帰宅したがっている。

獅堂の家族

  • 獅堂六花(木村多江):獅堂の妻。一人娘・美有との関係は悪い。
  • 獅堂美有(桜田ひより):獅堂と六花の一人娘。両親の目を盗んで夜遊びをしている。

朝倉議員の関係者

  • 朝倉麗(仲間由紀恵):民生党の国会議員で、日本初の女性総理大臣になろうとしている。
  • 朝倉遥平(筒井道隆):朝倉麗の夫で、同じく民生党の国会議員だが、現在は人気の高い麗のサポートに徹している。
  • 磯村滋子(水野久美):遥平の母。家を不在にすることが多い麗と遥平に代わって孫たちの面倒を見ているが、家事をしない麗に対する反感を覗かせている。

感想

オリジナルへの思い入れと日本版への事前の不安

『24-TWENTY FOUR-』は現在まで続く海外ドラマブームの火付け役であり、2003年から2010年にかけてのブーム当時は私もドはまりしました。

明日の朝は起きないといけないからと1話だけ見るつもりが、「あともう1話、もう1話」と見ていくうちに深夜2時3時なんてことはザラであり、レンタルでは鑑賞スピードに追い付かなくなっていったので、当時かなり高価だったDVDボックス(1シーズンで25,000円位したはず)も全シーズン購入しました。

そこまで思い入れのあるテレビシリーズだったので、2019年に日本版製作のアナウンスがあった時には不安しかよぎりませんでした。

オリジナルは何だかんだ言ってアメリカの製作規模が物を言っている部分が大きく、かけられる予算や人材のレベルが高かったので、映画並みの見せ場の構築に成功していました。

しかし日本のテレビ局が準備できる予算は桁が一つ下だろうし、アクション演出に慣れた人材も少ないので、見せ場のレベルは後退せざるをえないだろうという不安がまず一つ。

また、銃社会アメリカという社会背景はアクションをやるには好都合なのですが、日本を舞台にした作品で拳銃をバンバンぶっ放すと違和感しかないという中で、背景となる社会の違いが作品にネガティブな影響を与えるのではないかという不安がもう一つ。

ただし5年近くに及ぶ交渉を経て日本版を実現させた神田エミイ亜希子プロデューサーの熱意と、「食わず嫌いにならず第1話を見て欲しい」という言葉を信じて、2020年10月9日の第一話を見てみました。

びっくりするほどオリジナルと同じ話

まずストーリーですが、『24-TWENTY FOUR-』シーズン1とまったく同じです。

日本版製作に当たっては多くの点で異なったものにするのかと思いきや、細かいプロットまでがほぼ同じで、オリジナルの脚本を日本語訳して撮っているんじゃないかというレベルです。

オリジナルを見てしまっている人間からすると何の驚きもありませんでした。何せ、知ってる話ですからね。10数年前に見たドラマの再演を見せられるくらいなら、オリジナルをもう一度見た方がいいと思います。

オリジナルとの見劣り感が凄い

冒頭、電話で誰かの訃報を受けた主人公の獅堂現馬(唐沢寿明)は、怒りの中で港の倉庫に突っ込んでいき、二丁拳銃をぶっ放します。

これはオリジナルでは最終話にあった見せ場であり、日本版では景気付けに最終話の大銃撃戦のさわりだけを見せて、そこから約24時間前に戻っていくという構成となっているのですが、この銃撃戦がショボくて驚きました。

オリジナルの最終話は『プレデター2』(1990年)『ブローン・アウェイ/復讐の序曲』(1994年)などを手掛けたスティーヴン・ホプキンスが監督しており、そこで繰り広げられたのはアクション映画と遜色ない銃撃戦だったのですが、日本版はその足元にも及ばないほどショボいことになっています。予算面や人材面での弱さがはっきりと出てしまっているのです。

遡っての現在パートでも舞台、キャラクターはかなり忠実にオリジナルをなぞったものになっているのですが、忠実である分、縮小再生産という印象を持ってしまいました。

日本のテレビ局が準備できるリソースが少ないことは分かり切っているのだから、設定こそオリジナルと同一ではあるが中身については日本ならでは見せ場を模索していけばいいものを、なぜ忠実に作ってしまったんでしょうか。

ローカライズの失敗

オリジナルに忠実に作るにしても、最低限のローカライズは必要になります。どうやっても日本の風土に馴染まない部分や、時代的に合わなくなった部分の修正ですね。

しかし本作はそうした修正すらしていないので、獅堂の娘・美有(桜田ひより)が両親の目を誤魔化して外出するために子供部屋の窓から抜け出したり、都内在住の10代の少女なのに友人が運転する車で移動したり、娘が居なくなったことを知った獅堂が「ペナルティとして外出禁止2週間だ」と言ったりと、日本の家庭ではありえないアメリカのホームドラマみたいな不自然なやりとりが発生しています。

タカアンドトシに「欧米か!」とツッコミを入れて欲しくなりました。

美有の友人の父親が電話をかけてくるくだりでは「うちの娘の予定表にお宅の電話番号が書いてあった」と言うのですが、今時の10代の子が友達の家の固定電話の番号をメモっておくわけでしょ。

CTUはアメリカ版のセットをまんま引き継いだものなのですが、そうは言っても設定上は日本国内なのに「非常口」ではなく「EXIT」と書かれていたり、上司と部下がタメ口で会話していたりと、やはり不自然な部分が目立ちました。

CTUという組織なんて日本の官僚組織らしく作り変えれば面白くなったし、日米の文化比較として興味深い展開を作れたかもしれないのに、なぜアメリカ版CTUとまったく同じにしてしまったんでしょうか。

第2話以降も見続ける自信がない

第1話は残念ながらつまらないものでした。

一つの作品として面白くなかっただけではなく、オリジナルを見ている人間からすると知っている話だという点が致命的であり、第2話以降、どんなモチベーションでこれを見続ければいいのかという心境です。

最初はオリジナルを踏襲しながらも途中から独自路線へシフトしていき、オリジナルの先入観がある人ほど良い意味で裏切られるという新エヴァ方式を取る可能性に期待します。

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