(2026年 南アフリカ)
ロードレイジ事件により息子を失った父親の復讐譚と聞いた日には期待値爆上がりだったが、その実、どうにも煮え切らない主人公と内容には愕然とさせられた。

感想
ネトフリ配信の南アフリカ映画。
数年前に見た『シルバートン・シージ』(2022年)も南アフリカ産ネトフリ映画だったっけな。
こうして様々な国のコンテンツに気軽にアクセスできることは、ネットフリックスが人類にもたらした大きな文化的貢献かもしれない。
主人公ザクはヨハネスブルクでハンバーガー屋を経営する実業家で、車や家を見るになかなかの成功者だと言える。そんなザクが路上トラブルから一人息子を失ったことで復讐の鬼と化すというのが、ざっくりとしたあらすじ。
相手は商売敵を殺すことも厭わない凶暴なタクシー屋。
ここに、死をも厭わぬカタギの親父vsヤクザまがいのタクシー屋という熱い対戦カードが成立したのだが、どうにもこれが盛り上がらない。
冒頭、ザクは路上強盗に対して平身低頭の対応をとって難を逃れる。
次に起こったタクシー屋とのトラブルでも同じ対応を取れば問題なかったはずなのに、こちらではキレ散らかし、結果、取り返しのつかない悲劇に巻き込まれることになる。
まずこの対応の違いがよく分からなかったので、ザクへの共感の度合いがぐっと下がった。
式次第通りに息子を亡くした後、ザクは復讐に立ち上がる。
その際、ザクには強盗の前科があることが発覚。カタギだと思ってた主人公が、実は筋金入りの犯罪者だったという展開を見せればひと盛り上がりもしたと思うんだけど、この路線も煮詰め切れていない。
リミッターの振り切れた主人公が血の雨を降らせるでもなく、割と簡単に返り討ちに遭わされたりもする。
ある場面では敵の後ろに回りこみ、頭に銃口を突きつけるに至ったのに、結局発砲できず反撃を許したりもする。
カタギかと思われた主人公が実は元犯罪者だったんだけど、重要な局面で尻込みする臆病者でしたとか、どういう思いで書かれた脚本なのか理解に苦しんだ。
復讐ものの醍醐味とは、怒りで頭のネジの飛んだ主人公が、憎き仇に度を越した暴力を振るう点にあるということは、世界中の映画製作者に覚えておいていただきたい。


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