(2025年 アメリカ・イギリス)
サミュエル・L・ジャクソンとヴァンサン・カッセルという往年のスターが、観光ついでに出たんですかという典型的な出演者詐欺映画。実質的な主役はよく存じ上げない冴えない見た目の中年俳優さんです。
感想
全然知らない映画だったけど、Amazonプライムに上がっていたのがたまたま目について鑑賞。
サミュエル・L・ジャクソンとヴァンサン・カッセルというよく分からん組み合わせではあるが、中年以上の映画好きにとっては、まぁ気になる布陣ではある。
サミュエルが扮するのはシカゴ市警のベテラン刑事。
6年前に追っていたが、結局未解決で終わってしまった連続猟奇殺人事件がいまだ心に引っ掛かり続けているサミュエル刑事の元に、スコットランドで同様の手口の事件が発生したとの報告が来る。
事件はシカゴ市警とエディンバラ警察の合同捜査となり、シカゴ側の担当者としてサミュエル刑事がエディンバラに送り込まれるというのが、ざっくりとしたあらすじ。
ただしサミュエル・L・ジャクソンというビッグネームの時間拘束に相当な制約でもあったのか、主に映画を引っ張るのはエディンバラ警察側の担当者ボイド刑事(ジャンニ・カパルディ)だ。
出演時間的にはボイド刑事が主人公と言えるのだが、サミュエルという強烈な共演者の陰に隠れがちで、どうにもこいつには関心が持てなかった。見た目も冴えないし。
ボイド刑事は数年前に幼い息子を亡くしたらしく、以来、奥さん(ローラ・ハドック)との関係は冷え切っている。そんなボイド刑事の心の再生がドラマの主軸になるのかなと思いきや、この要素があまり効いてこない。
モデルさんですかってくらい美人の奥さんだったり、公務員のものとは思えないほど広くてキレイな家に住んでいたりと、細かい部分での説得力・リアリティがなく、そうした違和感の蓄積で、ボイド刑事のドラマが嘘くさくなってしまったことが原因か。
猟奇殺人の捜査線上には、マクレガーという男が浮かび上がってくる。
数年前の犠牲者の元交際相手で、カルト教団を追い出されたほどの過激思想の持ち主。おまけに民間セキュリティ会社勤務で武装等の知識もあるという、「何でこれまで疑われてこなかったんだよ」とツッコミを入れたくなるほどのホンボシである。
演じるのは『ハムナプトラ』シリーズなどでコメディ演技の印象が強いジョン・ハナだが、本作では不愉快かつ不気味な容疑者役を見事演じきっている。
基本的には面白くなかった本作において、唯一ちゃんと機能していたのが彼だったかもしれない。
ただし、前半で出てきたホンボシはたいていカムフラージュであり、思いもよらない真相が後半に準備されているのがサスペンス映画の常であり、本作もまさにその王道通りの崩し方をしてくる。
怪しすぎて、逆にこいつじゃないんだろうなという観客の先読み通りに展開していく物語は酷かったね。
IMDBによると、本作は2021年に発行された小説”Shadows of Dismemberment”のプロットと酷似しており、ほぼパクリと言ってもいい状態らしい。
ラストには思いもよらないオチが準備されているのだが、これがサプライズのためのサプライズという感じで、驚きよりも「いやいや、それはないだろ」感の方が強かった。
あ、そうそう、ヴァンサン・カッセルについて全然触れなかったけど、彼はサミュエル以上の客演状態で、ハイランドに観光に来たついでにフラッと映画に出たんですかってレベルだったので、ファンの方は期待されないように。


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