デアデビル: ボーン・アゲイン(シーズン2)_手負いの獣が一番怖い【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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マーベルコミック
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(2026年 アメリカ)
ヒーローとヴィランが夜な夜なバトルを繰り広げていたのも今は昔、NY全市の治安を巡ってデアデビルとキングピンが正面衝突という広げるだけ広げた大風呂敷と、それを見事に畳んでみせた構成力が光る。

感想

一応、ディズニープラスでは毎週の配信日に視聴してたんだけど、なんやかんやで感想を書くのが遅れてしまい、1か月遅れでの記事投稿となる。

視聴からしばし時間が空いてしまったので、細かい部分での記憶違いなどがあったらごめんなさい。

ディズニーがネトフリより権利を引き継いで製作したデアデビルのシーズン2。

元はリブートする予定だったが、ネトフリ版はネトフリ版で強力なファン層を形成していたものだから、ちゃんとつながった話として作られている。

伝え聞くところによると、ディズニーによる権利取得後のリブート企画は18話の大型シーズンになる予定で構成されていたのだが、半分ほど撮り終えたところで行った社内試写の結果が悪く、ディズニーはクリエイター陣を一斉解雇。

ディズニーは夢と希望に溢れた社是とは対照的に、クリエイター解雇をよくやる会社で、最近のスター・ウォーズでは監督交代が恒例行事となっている。

その後に、ネトフリ版のショーランナーが呼び戻されて全体の再構築を行った。

その際に、完全リブートからネトフリ版の続編に再構成されたうえで、元は1シーズンでやる予定だった内容を2シーズンに分割したらしい。

前シーズンに引き続き、市長の座に就いて権力を私物化するキングピン=フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)と、その暴走を止めようとするデアデビル=マット(チャーリー・コックス)の死闘が描かれる。

デアデビルが襲撃したフィスクの貨物船には、密輸品の武器がぎっしり。

この事実の発覚を恐れるフィスク陣営は船を沈めたうえ、生き残った船員たちを口封じに殺そうとする。

一方デアデビルは、船員たちを保護して証言台に立たせようとする。

割と疎かにされがちだったデアデビル=マット・マードックの本職である弁護士業と、ヒーローvsヴィランの抗争を絡めた構成はよくできている。

両者は表の顔と裏の顔の両面でぶつかり合うこととなり、まさに総力戦の様相を呈する。

シーズン1の時点では、まだ世間の反応を気にする素振りのあったフィスクも今回はなりふり構わずで、汚職警官を集めて結成した「AVTF」を操り、気に食わない者・楯突く者・脅威になりそうな者の一掃作業を行っている。

そこに、前シーズンでマットの親友フォギーを殺害したブルズアイ(ウィルソン・ベセル)も参戦するわ、州知事やCIAも絡んでくるわで、もうてんやわんやになるというのが、ざっくりとしたあらすじ。

シーズン中盤ではプロの格闘家をKOしたほどで(てか死んでたよねあれ)、フィスクの怪力は健在だ。

権力と腕力の両方を持ち合わせたフィスクの脅威は留まるところを知らないばかりか、良くも悪くも彼をハンドリングしてきた妻ヴァネッサの死により、いよいよメンタル面での凶暴さも増す。

シーズン後半ではいよいよ政治的にも追い込まれるのだが、そこで勢いを失うどころか、手負いの獣のごとく手が付けられない状態となる。

傷ついた獣は失うものがなくなり、また生存本能からアドレナリンが分泌されるため、普段よりも激しく、予測不能で凶暴な反撃を仕掛けてくるという。

終盤のフィスクはまさにそれで、演じるヴィンセント・ドノフリオの圧倒的な威圧感もあり、そう長くはもたないだろうが、やけくそになってからの大暴れがめっちゃ怖いという状態となる。

一方のデアデビルはというと、この切羽詰まった状況でも不殺を唱えていてちょっと面倒くさい。

中盤より参戦するジェシカ・ジョーンズ(クリステン・ジョーンズ)がカラっと爽やかに怪力を炸裂させる分、デアデビルのじとじと感は余計に悪目立ちしてしまう。

パートナーのカレンもさすがにイラついてる様子だけど、そこにうまい合いの手を入れてくるのが、かつての相棒フォギーのエピソードだ。

弁護士として駆け出し時代のマットとフォギーは、ある犯罪者の弁護を担当するのだが、そいつは少年期のフォギーをイジめていた男だった。

大人になった今でも柄が悪く、フォギーを侮蔑する発言をやめない。

さすがのマットも「あんな奴の弁護はやめておこう」「てか救う価値ある?」となるわけだが、フォギーはそいつのために最善を尽くし、最後にはその誠意が相手にも伝わる。

ここでどんな悪人でも救おうとする姿勢の重要性を学んだマットは、デアデビルになった今も不殺を守り続けているというわけだ。

かくして底抜けに凶暴になったフィスクvs度を越した常識人のデアデビルのバトルは、NY市民をも巻き込む革命的な運動へと発展していく。

法廷闘争とヒーローバトルが一つにまとまり、大きなうねりを生み出した終盤2話のテンションの高さは圧巻だった。

デアデビルの不殺精神がクライマックスとなる展開にも大きな感動があり、やはりこのシーズンの構成は神がかってよく出来ている。

小さな不満を言えば、ちょいちょい出てきたCIAのおっさんが最後まで何をしたかったのかが分からずで、シーズン3に向けた顔見せだったのは理解できるんだけど、このシーズンに絞ってみると不要な存在だったと思う。

また、なまじ現実的な政治設定が置かれている分、かえってリアリティのなさを感じる部分もあり(さすがにフィスク市長はリコールされてるだろ、てかマスコミは何も言わないのかetc…)、風刺劇として必ずしも成功しているとは言えない。

そういえばフィスクは何がしたくてあんな悪行三昧だったのかも、わかんなくなってきたし。

フィスクはフィスクなりに地元NYへの愛着を持っている様子なので、力の信奉者である彼なりのNYの守り方があれだったのかな?

もしくは、フィスク自身には大きな野心もヴィジョンもなく、ヴァネッサに言われるがままにやってきた結果が、フィスク市政だったのか。

シーズン1の内容もうろ覚えなので、そのあたりがちょっとよく分からなくなってきた。

もっとコミック寄りの内容ならば、悪い奴が悪いことをするのは当たり前という思考にも振り切れたけど、中途半端にリアルを追っているので、そもそも何の得があってそんなことやってんだという点は気になってくる。

最後は文句を書いてしまったけど、こうした不満は些末なもので、ヒーローものとしては破格の完成度を誇っているので、見られる環境にある方にはぜひ見ていただきたい作品だ。

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