(2026年 アメリカ)
ご都合主義の連続で、普通に考えれば”かなりひどいサスペンス”なんだが、異様なまでに面白いので、最後まで一気に見られてしまう。ここまで面白くされると、もう納得するしかない
感想
2026年6月に配信されたドラマだけど、あまり興味を持てずしばらく見てこなかった。
なんだが、Netflixで今年最大のヒットとなり、歴代トップ10にも食い込むほどの再生数を稼いでいるというネットニュースが気になったので、とりあえず第1話を見てみることにした。
主人公デヴィッド(サム・ワーシントン)は、息子マシューを殺した罪で服役中の囚人だが、自分では殺していないと言う。
ただし息子を守れなかったことは確かに自分の罪なので、黙って服役しているとのこと。
当然のことながら家庭は崩壊し、奥さんとは離婚済。
服役も5年経ったある日、元妻の妹(すなわち亡くなったマシューの叔母)レイチェルが面会にやってくる。
知人のSNSを見ていたら、背景に成長したマシューらしき子供が写っていた。
それまで修行僧のように寡黙に過ごしていたデヴィッドは居ても立ってもいられなくなるのだが、丁度そのタイミングで一部の看守からの嫌がらせが激化する。
何かしらの口封じが始まっているのか?このままでは殺されてしまう。
そこでデヴィッドは脱獄し、どこかで生きているかもしれない息子を探すというのが、ざっくりとしたあらすじ。
それにしても自由すぎる刑務所である。
不良看守はデヴィッドに対して分かりやすすぎる嫌がらせをするのだが、それが一切問題にならないという。
ついには絶対隔離が決められている凶悪犯を”うっかり”一般の囚人と混ぜてしまい、デヴィッドを襲わせるとか・・・笑
一方デヴィッドもデヴィッドで、犯罪のプロというわけでもないのに刑務所からアッサリと脱獄できてしまう。
もちろんそれはデヴィッド一人の力ではなく、家族ぐるみの付き合いをしてきた所長の助力も大きいのだが、そんなゴリゴリの利害関係者の居る刑務所で服役なんかするもんかねという
そんなわけで第1話からツッコミどころの嵐なんだが、本作が凄いのは、そんなのどうでも良くなるほど面白いということだ。
とにかく展開が早く、第1話の時点からイベントが詰め込まれており、主人公は危機また危機の連続だ。
この密度・テンションが最終話まで一切途切れないのだから見事なものである。
また絶妙なタイミングでエピソードが終わり、否応なしに「次のエピソードへ」を選択させてしまう魔力も凄い。
20年以上前に『24』にハマった時を思い出した。
あのドラマもいろいろメチャクチャだったが、視聴者の心をつかんで離さない魔力だけはすさまじいものがあり、「あともう一話」と見ているうちに深夜3時なんてこともザラだった。
久しぶりにそれほどの腕力のあるドラマに出会ったというのが率直な感想。
物語は二転三転どころか、四転も五転もする。
最後のドンデンなんて「んな阿呆な」という感じだった。
結論から振り返ると、初期のエピソードでやってたことの大半は無駄、そこで死んだ人たちは、陰謀とは全く無関係なところで死んだということになるのだが、そうした問題点もどうでも良くなるほど面白いのだから、もうぐぅの音も出ない。
主演にサム・ワーシントンというビッグネームを持ってきたことも功を奏している。
この人の演技に説得力があって、少々強引な展開があっても「まぁそんなもんか」という気にさせられるし、一般人とは思えない豪快な逃走劇を繰り広げても、「『アバター』の人だし、これくらい朝飯前なんだろう」と思わせてしまう。
もしも小市民的な俳優がやっていれば、この企画は成立しなかったはずだ。
そしてチー・マクブライドやマデリーン・ストウといった往年の俳優を起用していることも、日曜洋画劇場で慣れ親しんできた身としては嬉しかった。
チー・マクブライドは『マーキュリー・ライジング』(1998年)や『60セカンズ』(2000年)などの娯楽作で主人公の相棒ポジションにいることが多く、にじみ出る人柄の良さから、アメリカの石塚英彦というイメージだった。
90年代の時点で結構な貫禄があったので「今いくつやねん」と思って調べてみたところ、まだ64歳だった。
『マーキュリー・ライジング』の時にはまだ37歳だったらしい。30代であの貫禄はなかなか出せるものではない(褒めてます)。
マデリーン・ストウは『張り込み』(1987年)や『12モンキーズ』(1995年)でヒロインを務めた人で、90年代には主演クラスの俳優さんだった。
『バッドガールズ』(1994年)の放送時だったか、淀川長治さんがその美貌を褒めちぎっていたことを覚えている。
『ワンス・アンド・フォーエバー』(2002年)でのメル・ギブソンの奥さん役以来、しばらくお見掛けしていなかったが、24年ぶりのお姿がやたら若々しくて驚いた。
孫もいるおばあちゃん役にはまったく見えなかったが、実年齢が68歳ならば、確かに孫がいてもおかしくはない。
こうしたキャスティングの妙も作品の味になっている。
加えて、40分未満の回もあるというほどタイトなランニングタイムも功を奏している。
1話1時間弱という腹時計が備わっている視聴者にとって、本作のランニングタイムはかなり短く感じる。
それでいて起こっているイベントの数は多いのだから、それだけスピーディだということ。
怒涛の勢いで最終話まで見せられてしまった。
兎にも角にも見やすくて楽しい一大娯楽作なので、今からでも視聴されることをお勧めする。
一点だけ不満を言うと、「捜索者の血」というリベンジものみたいな邦題だけは合っていなかったかな。
このタイトルで随分と多くの視聴者を逃していると思う。


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