(2026年 アメリカ)
短い上映時間であるにもかかわらず、それすら埋められないほど中身の薄い映画だった。現実での中東情勢への配慮からいろいろカットされたのかな?どうあれ、映画としては全然面白くなかった。
感想
Amazonプライムのジャック・ライアンシリーズは、シーズン1を完走できずに終わった。
何が悪かったんだろう?
ジャック・ライアンと言えばアレック・ボールドウインとかハリソン・フォードとか、「誠実」の2文字が額に書いてあるかのような精悍なイメージが強かったので、どこか眠た~い顔のジョン・クラシンスキーではハマらなかったのかも。
ジョン・クラシンスキーってそもそも何をされてる方でしたっけ?(和田アキ子風)と思って調べてみたら、『ジ・オフィス』というシットコムで世に出てきた人らしい。
シットコムとはシチュエーション・コメディの略で、日本で言えば『やっぱり猫が好き』(1988-1991年)がもっともよく当てはまるらしい。
ジョン・クラシンスキー=もたいまさこだと考えると、どおりでジャック・ライアンのイメージじゃなかったはずだと妙に腑に落ちた。
近年のクラシンスキーは脚本・監督を務めた『クワイエット・プレイス』シリーズで製作者側としても活躍しているのだが、この『クワイエット』シリーズにしても、さほど面白いわけでもないのにヒットだけはしていて、いったいどこに支持層がいるんだかよく分からない。
そのクラシンスキーが本作の脚本にも関与しており、こちらもきっちり面白くない。
ここまでクラシンスキー批判ばかりで申し訳ない。
別に嫌いというわけではなく、あまり意識してこなかった人なんだけど、改めて調べてみると、俺好みじゃないよなと思った次第で。
はい、ここから映画の内容。
現時点のライアンはCIAを退局済で、拠点をラングレーからNYに移したようだ。
そこにかつての上司グリーアCIA副長官代理がやってきて(「副」の「代理」・・・相変わらずよくわからん肩書だ)、ドバイへお使いに行って来てくれないかと依頼してくる。
簡単な仕事だからと言われるが、じゃあ自分で行けばいいじゃん、てか現地に行かなきゃいけない時点で怪しさ全開だろとか、いろんな疑問を浮かんでくるのだが、内容について深く詮索するでもなく、ジャックはこの依頼を引き受けてしまう。
ドラマシリーズを見ていないのでジャックがどういう経緯でCIAを去ったのかは知らないが、そこにはある程度の理由や決意があったはずで、それを簡単に翻す時点で「どうなん?」という感じだ。
また任務自体いかがわしいのに、なぜ詳細を詰めてから決めないんだろうかという素朴な疑問も。
ジャックを騒動のど真ん中に引きずり込むためのお膳立て感が強く、この時点で映画への関心は地の底へと落ちた。
ドバイへ行くと、式次第通りトラブルに巻き込まれるライアン。
待ち合わせ場所で接触した人物は何者かに狙撃され、丁度良く現場に現れたMI6工作員エマ(シエナ・ミラー)に身柄を拘束される。
エマいわく、911後に米軍内で作られたムクドリという処刑・拷問部隊にグリーアが深く関わっていたとのこと。
そのムクドリが活動再開したようなんだけど、おたくの上司が一枚噛んでんじゃないの?ってのが、エマがドバイくんだりにまでやってきた理由だ。
寝耳に水の話だが、エマの言い分にも一理あるので、今度はグリーアを疑ってかかるライアン。
なのだけれど、ジャックとグリーアの関係を考慮すれば黒幕は他にいましたって展開は簡単に読めてしまうし、残された上映時間を考えても、二転三転のこれが二転目で、もう一回転あるんだろうなということは何となく察しが付く。
というわけでここから先の展開にハラハラするでもなく、案の定、三転目が来ましたねというわけで、あまり面白くなかった。
また真の黒幕が一体何だったのかはっきりしない点も、作品の満足度を下げる原因となっている。
ムクドリが国家安全保障のため過剰な暴力や拷問を使ってもやむなしとする異常者集団であるにせよ、彼らだって飯を食わなきゃいけないし、武器を買うにも金がかかる。
強力な後ろ盾がいないとその活動は支えられないのだが、では後ろ盾が何だったのか、はっきり説明されないのだ。
MI6高官が関与しているという情報こそ一応与えられたが、ではこいつらは何がしたかったのかの説明が少なく(暴力組織の必要性を認識させるためテロを自作自演したとか意味不明・・・)、これでは不十分だろう。
ここから先は私の邪推であるが、舞台をドバイに設定したことからも、元の脚本は中東情勢が多分に絡んだ内容だったのではないか。
それが、昨今のイラン情勢から脚本に存在していた多くの要素をボツにせざるを得なくなり、結果、腑に落ちない話になってしまったんじゃないか。
そういえば『トータル・フィアーズ』(2002年)でも同様のことが起こっていたっけ。
元は中東の過激派グループがアメリカvsロシアの新世界大戦を引き起こそうとする話だったんだが、製作途中で発生した911の影響で扱えないネタの宝庫となり、ネオナチやKKKといった国粋主義者グループが世界を混乱に陥れるという、世界制覇を企む悪の秘密結社ショッカー並みのフワフワとした話に置き換えられた。
このような付け焼刃の変更をしたので映画の質は当然落ちてしまい、当時期待の若手だったベン・アフレックを主演にリブートする予定だったシリーズは一作限りで終了の憂き目を見た。
本作にも同じことが起こったのかもと思うとクラシンスキーへの同情の念を禁じ得ないが、それにしても面白くないものは面白くないので、低評価とさせていただいた。


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