モータルコンバット2/ネクストラウンド_こういうのでいいんだよ!【7点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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キャラもの
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(2026年 アメリカ)
世界の命運がかかった物語なのにやたら狭い世界観、重大な試合なのにやたらいい加減なルール、前作で死んだキャラがいとも簡単に復活するチープなストーリーと、映画としては欠点だらけなのだが、「そもそも真面目に映画化するような話じゃないだろ!」と開き直った結果、B級アクションとしてはかなりの良作となっている。

感想

第一作『モータルコンバット』(2021年)は、結局モータルコンバットが始まらず場外乱闘のみで終わるという、とんでもない映画だった。

映画秘宝の記事によると、当初計画では17本もの映画が製作される予定となっており、前作は壮大なユニバース構想の序章として製作されたものだったらしい(ジェームズ・ワンが絡んでいたのはそのためだったのか)。

ただし作品評が振るわなかったり、ワーナーとディスカバリーの合併によってHBO Maxのリリーススケジュールが大きく変わったりといろいろあった結果、5年も放置の状態が続いてしまった。

「もうやんないのかな?」と思われた矢先に製作されたのが本作『ネクストラウンド』だが、清々しいまでの方向転換が図られていることには笑ってしまった。

私は前作を5年前に見たっきりで、新作を見るにあたっての復習もしていかなかったのだが、それでも大して問題ないほど、本作からは”仕切り直し感”が漂っていた。

なにせ前作の主人公だった鎧男がロクにセリフもないままぶっ殺されるほどで、「前作はなかったことにしたい」という製作者側の強い意志を感じた次第である。

本作の主人公はジョニー・ケイジ(カール・アーバン)。

原作ゲームではジャン=クロード・ヴァン・ダムをモデルにしたキャラのようで、格闘技の元チャンピオンにして現役のアクション俳優という設定である。

映画版ではそこからさらに発展させて、スターとしての旬は遠の昔に過ぎ去っており、今ではオタク向けイベントに出ても閑古鳥すら鳴いていない状態。

中年の危機というテーマを追加したことで、芽の出ない若手が覚醒する物語だった前作とはまったく違う味付けの作品となった。

前作のラストで一人寝返って欠員が出ていた人類チームの補充要員としてジョニーが選ばれるのだが、突然現れた浅野忠信が目の前で雷を使いこなしても特に動じることはなく、また魔界との天下一武道会という設定もアッサリ受け入れてしまう。

前作と同じこともできないので致し方のない措置ということは理解できるが、それにしてもジョニーの物語としては筋が通っていない。

演じるカール・アーバンにとっても、演技プランを立てづらかったのではないだろうか。

いきなり人類代表に選ばれたジョニーは特に訓練もないままモータルコンバットに出場させられ、あっさりと敗退するのだが、それで反省するでも落ち込むでもなく、「あぁ負けちゃった」くらいの温度感なので、真剣みが全然足りていない。

人類が魔界に支配されるかどうかがかかった試合だということは伝わってるのか?

そんなわけで前半は全然話に乗れなかったんだけど、矢継ぎ早に展開される超絶アクションを眺めていて、「あ、これは真面目に見ちゃいけない映画なのね」ということに気づき(気付くのが遅いか)、それからはものすごく楽しめた。

ゲームの決め音楽をフルオーケストラで重厚にアレンジした超絶かっこいいテーマ曲が流れれば、否応なしに興奮させられる。

アクションのコラージュとして見れば、本作は大いに楽しめるのだ。

そして物語は、敵の大親分シャオ・カーンを不死身たらしめている”護符”の破壊ミッションへと移っていく。

試合そのものから場外乱闘に主題が移ることは、前作からのシリーズの悪癖である。

大体さぁ、不死身のキャラが試合に出ちゃいけないでしょ。まず負けることがあり得ないんだから。

モータルコンバットのルールの甘さ・運営のユルさが気になって仕方なくなる。神々が運営してる格闘大会なんだよね?

ただし、このパートになると主人公のジョニーが途端に生き生きし始める。

アドベンチャーの過程でジョニーが強さを獲得し、また思いがけない形で特技が生かされるという展開は、月並みながらもよく出来ている。

本作はいろいろと出来がよろしくないのであるが、そもそものゲームの世界観がユルいのだから、どう頑張ってもこの程度にしかならないのだろう。

『バイオハザード』『トゥーム・レイダー』のようにまっとうなアクション映画として評価されようとはせず、ただひたすら視覚体験のみを追求した本作は、ゲームの映画化企画として正しい方を向いていたと思う。

こういうのでいいんだよ。

私はぜひとも続編が見たいのだけれども、客足が伸びている様子がないので厳しいのかな。

公開週の日曜午後に郊外の映画館で見たのだが、そこそこ大きめのハコが準備されていたにも関わらず、客は私を入れて5名という壮絶なことになっていた。

金曜にレイトショーで見た『マスターズ・オブ・ユニバース』(2026年)も閑古鳥が鳴いていたけど、こちらも負けず劣らずの低調ぶりである。

てか、どう考えても観客がかぶっている『マスターズ・オブ・ユニバース』と『モータルコンバット』を同日に公開するって配給会社は頭おかしいのか?どちらかが引かなかったのだろうか。

そして『マスターズ・オブ・ユニバース』と『モータル・コンバット』が大きなスクリーンを占拠する一方で、スピルバーグの『ディスクロージャー・デイ』が全米公開から4か月もお預けという措置も不条理だ。

今なら大きなスクリーンは余裕で空いているのだし、全世界と同時タイミングの6月10日公開は可能だっただろ。

最後は『ディスクロージャー・デイ』の日本だけ公開遅れの愚痴になってしまったが、本作は悪くない出来なので、ぜひとも大きなスクリーンで見ていただきたい。

こういうB級アクションを立派なスクリーンで見られる機会も限られているので。

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