(2026年 アメリカ)
意外性ある展開は面白かったが、本当にそれだけの映画。コメディだがそれほど笑えないし、夫婦関係を描きながらも、さほど得られるものはない。

感想
Amazonプライムで配信されていたのを予備知識なしで鑑賞。
つまらなくはなかったけど、作り手が意図したほど面白くはないかも。
鑑賞後に調べたところ、本国では2026年4月末に劇場公開された作品らしい。
そんな新作が1か月強で見放題配信されるなんて、良い時代である。
ノオミ・ラパス主演のノルウェー映画『ザ・トリップ』(2021年)のようなんだが、そちらも未見。
旦那は山荘で妻を殺害しようとしていたんだけど、妻も同じ計画を持っていた。
そして時を同じくして、偶然にも逃亡犯3人も山荘に潜んでおり、夫婦仲良く捕まってしまうというのが、ざっくりとしたあらすじ。
上述の通り何の予備知識もなく見たので、意外性の連続の展開はそれなりに楽しめた。
ただし面白かったのはそれだけなんだよね。
人生や夫婦関係の真理を描きたいのか、はたまた奇妙な人物たちが織りなすダークなコメディなのか、終始テンポが安定せず見せたいものがよく分からない。
夫ダン(ジェイソン・シーゲル)の職業は映像作家と言えば聞こえはいいが、長編映画を一本監督したっきりで、現在はポップアップ広告の製作がメインだ。
10歳も年下の妻と結婚したのだが、主導権を握るつもりが妻から責め立てられてばかりの日常に嫌気がさしている。
妻リサ(サマラ・ウィービング)は一応女優だが、まったく芽が出ず30歳を過ぎても小さな舞台にしか立てていない。
年上の夫と結婚したのは安心感を求めてのことだったが、気弱なダンにイライラしっぱなしのうえ、経済的にも安定しない。
夫婦に共通するのは思い描いていたのとは違う人生を送っているということであり、さらには歳だけ無駄に重ねてしまい、離婚しただけではリセットできないところにまで煮詰まっている。
互いに高額な保険をかけあっており、相手を殺して保険金を得ることで、負債と化した配偶者を処分すると同時に人生をやり直すための原資を得ようとしているのである。
こうしてあらためて書き出してみるとなかなか興味深い人物造形だとは思うが、観客の共感を得るところにまで内容が深まっていかない。
煮え切らないジェイソン・シーゲルも、見た目は可愛いんだけど性格キッツいサマラ・ウィービングもハマリ役なんだが、やはり演出が悪かったのか。
湖畔での気まずい食事などもっと面白くできたはずなのに、どうにも夫婦関係のヒリヒリ感が伝わってこない。
本作を監督したのはコメディアンのヨーマ・タコンヌ。
コントの演出などはお手の物なのだろうけど、深みのある演出はまだまだのようだ。
ではコメディとして面白かったかと言われると、そうでもない。
日本人にとっては笑える場面が少なかったが、本国の人が見ると面白いのかな?
クライムコメディとしてはありえないほどグロ描写が多いことも本作の特徴とはなっているのだが、こちらも不謹慎な笑いにまで昇華できておらず、ただの悪趣味映画の域にとどまっている。
男女のカップル+バカな暴力装置という組み合わせは夫婦と逃亡犯とで共通しており、グループが正常に機能している方がパワーゲームで勝利するという規則性が置かれている。
当初は、カップルがラブラブだった逃亡者グループの方に軍配が上がっていたのだが、そちらの結束にほころびが生じると同時に、ダンとリサの絆が戻ってくることで、形勢は徐々にこちらに傾いてくる。
こちらもまた、あらためて書き出してみると興味深い構図だとは思うんだけど、映画を見ている間はあまり面白さを感じなかったので、やはり演出面で躓いているのだろう。


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