(2026年 アメリカ)
7年ぶりに劇場公開されるスターウォーズとして大宣伝がなされているが、良くも悪くも中身がなく、単純娯楽で押し切ろうとする潔すぎる作風となっている。賛否両論起こりそうだが、個人的には賛成票を投じたい。

感想
まず悪いお知らせだ。
本作は様々なフォーマットでの上映がなされているが、IMAX3Dでは絶対に見てはならない。
私は3Dで見たかったわけではないのだが、IMAX上映館でちょうどよい時間帯の回が3Dだったのでこれを選択したところ、惨憺たる視聴体験で萎えた。
そもそも3Dを意図して製作された作品ではないので3Dが効果を上げる場面がほとんどないばかりか、3Dメガネというフィルターを通すと暗すぎる場面も多く、見辛いったらありゃしなかった。
ここまで酷い経験をした3D映画は『バイオハザード: ザ・ファイナル』(2016年)以来なので、声を大にして警告しておきたい。
追加料金を払ってまで見辛い方式を選択する必要はありませんよ!奥さん!
文句はここまで。
映画の内容自体は悪くなかった。てか良かった。
ディズニープラスの連続ドラマ『マンダロリアン』の映画版。
シーズン3のクライマックスで新共和国の仕事を引き受ける道を選択した主人公ディン・ジャリン(ペドロ・パスカル)の、その後が描かれる。
元は賞金稼ぎだったディン・ジャリンだが、本作よりミッションを請け負うエージェントとなり、銀河のトム・クルーズと化して八面六臂の活躍を見せる。
見せ場→インターバル→見せ場→インターバルの繰り返しで、本作に話らしい話はない。
ひたすらに視覚体験のみを追い求めた作風で、キャラクターの成長なんてものは飾り程度、世界観の深掘りなんてものは皆無だ。
これを物足りないと感じる観客が多く発生するであろうことは想像に難くないが、個人的には「これはこれであり」といったところ。
大満足というわけではないが、2時間きっちり楽しめたので、アクション映画としては十分合格点だったと思う。
だいたい、スターウォーズで本当に面白かったのなんて『帝国の逆襲』(1980年)と『ローグ・ワン』(2016年)の2本だけで、1977年の第一作すら現代の目で見ると鈍重すぎて眠たくなってくる。
1999年のEP1以降は「今回は酷くなくてよかったね」なんて感想も出てきていたシリーズであり、熱心なファン層が思っているほどスターウォーズって面白くない。
そんなシリーズ内で考えれば、本作は十分良い方に入るんじゃなかろうか。
スパイアクションのテンプレ通り、序盤から大アクションが炸裂して目を楽しませてくれる。ディン・ジャリンの身のこなしはテレビシリーズ以上にキレッキレで、見せ場の規模やスピード感も増している。
危機また危機の連続に、絶妙なタイミングでの加勢の到着と、アクション映画としての盛り上げどころはきちんと押さえられており、職人監督ジョン・ファブローの手腕が光る。
ディズニーが本作を安心安全な娯楽作にしようとした意図は明白で、本作のディン・ジャリンは一点の曇りもないヒーローとなっている。
仲間にやさしく、弱いものに親切なナイスガイで、シーズン1では一応描かれていた冷徹な殺し屋としての横顔は完全に消え失せた。
この方針転換に違和感がなかったと言えばウソになるが、冒頭のミッションでターゲットを殺してしまった件を上司のシガニー・ウィーバーに咎められるという一幕を設けることで、今回のディン・ジャリンが安易に殺しを選ばないということを飲み込ませた構成は実にうまい。

フィギュア付きドリンクカップも思わず買ってしまった面白さ
もう一つディズニーの意図を感じたのは、一見への配慮である。
テレビシリーズどころか、スターウォーズを一本も見ていなくても理解できるほど話が単純化されている。
ボ=カターン・クライズやグリーフ・カルガといったシリーズおなじみの面々すら一切顔を見せず、またシリーズを見てきた人ならお馴染みのディン・ジャリンという主人公の本名すら使われず「マンダロリアン」の呼称で統一されるという徹底ぶりで、シリーズからの切り離しがなされている。
世界観の深耕、テレビシリーズにあった帝国と共和国という政治体制の考察といった側面もなくなり、何の予備知識もなくても入り込める配慮が行き届いている。
また大物キャラの客演なんてものもないので物足りなさを感じる客層も出てくるだろうけど、ファンサだけではシリーズが先細っていく一方なので、今回は新規顧客開拓に振り切ったという戦略も理解は可能である。


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