(2025年 アメリカ)
『裸の銃を持つ男』シリーズ(1988-1994年)のまさかの続編で、主演はリーアム・ニーソンというご祝儀のような映画だが、笑いのセンスは変わっていて、私のような旧作ファンにはちと合わなかった。
感想
Amazonプライムに上がっていたので鑑賞。
オリジナルの『裸の銃を持つ男』シリーズ(1988-1994年)はメチャクチャ好きで、10代の頃には3作品とも何度も何度も見返した。
特に素晴らしかったのは羽佐間道夫さんがフランク・ドレビン警部の声を担当した日曜洋画劇場版で、初見時には食った夕飯を全部吐きそうになるくらい笑った。
幸いなことに日曜洋画劇場版の録画ビデオは3作品とも手元に残っているのだが、できればHD画質で楽しみたいので、Blu-rayへの吹き替え版収録を望んでいる。
地上波吹替版収録にさほど熱心ではないパラマウントなので、あまり期待はできないが。
オリジナルの何が凄いかというと、そのギャグの密度だ。
コメディ映画であっても、ストーリーなるものは多少なりとも存在するところだが(でないと映画の尺は満たせない)、『裸の銃』シリーズには話らしい話が本当になく、ギャグと悪ふざけのみで全編が覆いつくされている。
しかも、登場人物が話している背後でもギャグが走っていたことに何度目かの鑑賞で気付くという恐るべき密度で、全編ずっと笑っていられるという、本当に異常なコメディ映画だった。
製作したのは、デヴィッド&ジェリーのザッカー兄弟とジム・エイブラハムズ。
ZAZという映画製作チームを結成していた3人は、他に『フライング・ハイ』(1980年)なども制作していたのだが、バカをやり続けるのも疲れるのか、合間で『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)や『マイ・ライフ』(1993年)といった真面目な映画も制作していた。
そういえば、どちらも人が死ぬ映画だ。コメディをやるとメンタルが削られるのだろうか?
そんな異常作の続編ということで、本作は実に難しい企画だったことが伺える。
リーアム・ニーソンという大物を主演に持ってきたことからも(このキャスティングには心底驚いた)、制作陣の並々ならぬ気合が伺えるし、コメディ映画としては水準を軽く超えてきていると思う。
笑える場面はいくつかあったし、真面目な部分がほとんどないという純粋コメディぶりも気持ちいい。
ただZAZが制作した『裸の銃を持つ男』の、特に第一作と比較すると、どうしても見劣りしてしまう。
ギャグの量がやはり不足しているし、どんな国籍の人でも笑える単純化されたギャグでもなく、「今のはアメリカ人だと笑えたのかな?」と思えた場面も多い。
加えて、ちゃんとストーリーが存在しているのがガッカリだった。
語るべきものがあっちゃダメなんだよ。
またサービス精神満点のリーアム兄さんがやりにいってるのにも、コレジャナイ感が漂っていた。
オリジナルに主演したレスリー・ニールセンは『禁断の惑星』や『ポセイドン・アドベンチャー』などに出演していた渋めの俳優で、本来はコメディ俳優ではない。
また『フライング・ハイ』にせよ『裸の銃』にせよ、ニールセン自身はいつも通りのシブイ演技をしているだけで、周りのシチュエーションがまったく噛み合っていないことが全体の笑いになっていた。
一作目のヒットに気を良くしたニールセンがやりにいくようになってから、シリーズの質は徐々に落ちていったし。
リーアム兄さんというキャスティングからは、第一作のニールセンの再現という意図は感じられる。
しかし兄さんがやりにいってるせいで、こちらは冷めてしまった(スカート姿の兄さんとか要らないし)。


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