ゴジラ キング・オブ・モンスターズ_ドラマは酷いが怪獣バトルはイケる【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2019年 アメリカ)
ゴジラとムートーの戦いから5年後の世界。秘密機関モナークは中国でモスラの幼虫との交信を試みていたが、怪獣こそが地球の主とする過激な環境テロリストに襲撃され、怪獣と交信を可能にする装置”オルカ”を奪われてしまう。環境テロリスト達の目的は、南極で氷漬けになっているモンスターゼロと呼ばれる怪獣の復活だったが、それはかつて地球の覇権をかけてゴジラと争ったキングギドラであり、ギドラの復活を察知したゴジラも南極を目指すのだった。

© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,

5点/10点満点中

スタッフ

監督はマイケル・ドハティに交代

前作を大成功されたギャレス・エドワーズは本作での続投も内定していたのですが、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2015年)を途中で降板した経験からメジャーでの仕事に限界を感じ、しばらく大規模な映画は作らないと言って、本作を降板しました。

『ローグ・ワン』の顛末はこちら

その後を継いだのがマイケル・ドハティであり、本作は彼が初めて手掛けた大作でもありました。ドハティがそのキャリアで初めて脚光を浴びたのは『X-MEN2』(2003年)の脚本を書いた時であり、よくできているが面白くはなかった『X-MEN』(2000年)の悪評を払しょくするかのような娯楽大作路線への転換に成功し、サターン賞脚本賞にノミネート。以降はブライアン・シンガーのお気に入りとなり、製作が難航していた『スーパーマン リターンズ』(2006年)の脚本家チームにも参加し、この仕事でサターン賞脚本賞受賞。『スーパーマンⅡ 冒険篇』(1980年)と『スーパーマン リターンズ』を繋ぐコミックの原案も手掛けています。2016年には『X-MEN/アポカリプス』の脚本にも参加。

監督としてはオムニバス映画『ブライアン・シンガーのトリック・オア・トリート』(2005年)とコメディホラー”Krampus”(2015年)を手掛けているのですが、そのどちらもレジェンダリー製作ということで、本作以前よりレジェンダリーとは親密な関係を持っていました。

脚本家は3名

  • マックス・ボレンスタイン:コミック『ゴジラ アウェイクニング<覚醒>』(2014年)の原案を書いたご縁で前作『ゴジラ』(2014年)に参加。さらには『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスター』(2019年)と連続して脚本に関わっており、レジェンダリーによるモンスターバースの中心となっている脚本家です。加えて、5本予定されている『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフの一本をHBOから任されており、今後どんどんその名を目にすることが増えそうな脚本家です。
  • マイケル・ドハティ:監督と兼務。本作にはまず脚本家として雇われ、その10日後に監督への就任が発表されました。本作の続編『ゴジラvsキングコング』の脚本も執筆しています。
  • ザック・シールズ:マイケル・ドハティが監督と脚本を兼任する際に、脚本側の補強として参加することが多く、『ブライアン・シンガーのトリック・オア・トリート』(2005年)とコメディホラー”Krampus”(2015年)で共同脚本を手がけました。本作の続編『ゴジラvsキングコング』の脚本もドハティと共に執筆しています。

登場人物

ラッセル一家

  • マーク・ラッセル(カイル・チャンドラー):元はモナークに所属しており、怪獣と交信する機械”オルカ”を開発していたが、前作でのゴジラvsムートーに巻き込まれて息子のアンドリューを失ったショックで、怪獣と関わることをやめてモナークからも離脱した。以降はエマとマディソンとも疎遠になっていたが、二人をアラン・ジョナに誘拐されたことから、モナークに戻った。
  • エマ・ラッセル(ヴェラ・ファーミガ):マークの妻で、マディソンの母。アンドリューの死に対してはマークと正反対の反応を示しており、以前にも増して怪獣に関わるようになり、マークが開発中だったオルカを完成させた。オルカを狙うアラン・ジョナに娘のマディソン共々誘拐される。
  • マディソン・ラッセル(ミリー・ボビー・ブラウン):マークとエマの娘で、亡くなったアンドリューの姉。現在はエマと生活しているが、両親とは違い怪獣に対して特別な感情は抱いていない様子である。

特別研究機関MONARCH(モナーク)

  • 芹沢猪四郎(渡辺謙):生物学者で、前作から引き続きゴジラを追っている。小役人風の見た目だが劇中、彼よりも上の役職者が見当たらず、トップに近い存在だと思われる。
  • ヴィヴィアン・グレアム(サリー・ホーキンス):古生物学者で、芹沢にいつもくっついている。演じるサリー・ホーキンスが『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)で多くの賞を受賞したしたことから大きな役柄になるのかと思いきや、前半でキングギドラに食われて絶命するという拍子抜けの終わり方をした。
  • アイリーン・チェン(チャン・ツィイー):親子三代でモナークの研究員を務めているのだが、どの学問に精通しているのかはよく分からない。どうやら双子だったらしいが、見せ方が悪くてよく分からなかった。『モスラ』(1961年)の小美人に相当する役柄だと思われる。
  • ヒューストン・ブルックス(ジョー・モートン):地質学者で、『キングコング:髑髏島の巨神』での調査隊にも参加していた。

その他

  • ウィリアム・ステンツ大将(デヴィッド・ストラザーン):前作では米第七艦隊提督として登場し、ゴジラとムートーへの対策を指揮していた。前作で活躍したようには見えなかったが、本作では少将から大将に昇格している。
  • アラン・ジョナ(チャールズ・ダンス):元イギリス陸軍大佐で、エコテロリズムに傾倒している。人類こそが地球にとっての害虫であり、怪獣に人類の駆除をさせることで地球を救うという思想を実践するため、傭兵部隊を率いて世界各地でテロを起こしている。

登場怪獣

  • ゴジラ:身長119.8m。2億7000万年前のペルム紀の生態系の頂点に君臨していた種族で、地球に害を為す者を排除するという使命感を持っている。
  • キングギドラ:体長158.8m。モナークからはモンスター・ゼロと呼ばれている。古代には地球の覇権をかけてゴジラと争った種族とされている。南極で氷漬けになっていたところを、ジョナ率いるエコテロリスト達が爆弾で解凍した。
  • モスラ:翼長244.8m。蛾のような怪獣。ゴジラとは共生関係にあった。中国で卵が発見され、モナークの管理下に置かれていたところ、卵が孵化して幼虫が誕生した。幼虫は蛹を経て成虫となり、対ギドラ戦ではゴジラと共闘した。
  • ラドン:翼長265.5m。メキシコの活火山に眠っていた翼竜のような怪獣。羽ばたいただけで市街地を吹き飛ばすほどの突風を発生させる。

感想

モナークの存在がもはやマンガ

『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年)では小さな研究機関の一つに過ぎず、『ゴジラ(2014年)でも謎の部分の多かったモナークですが、本作では特務機関ネルフばりの異常な規模の組織だったことが判明します。全世界に大規模な基地を所有し、各国の領空・領海に自由に入ることができ、しかも秘密主義でアメリカ政府から情報開示を迫られてもこれを拒めるほどの権力を持っています。加えて自前の軍隊までを保有しており、『機動戦士Zガンダム』のガルダみたいな超巨大輸送機で世界中どこにでも現れます。

ここまでくると、さすがにやりすぎですね。超常的な事件の裏側で暗躍する研究者集団という前作の位置づけが丁度良かったのに、自前の基地や軍隊を動かしており、しかもそれが非現実的な規模となってくると、リアリティとは一線を画した世界の話のように感じられて冷めてしまいます。『ゴジラ』(1984年)にスーパーXが出てきた時のようなガッカリ感ですね。

ラッセル一家のドラマが意味不明

本作のドラマの中心を担うのは怪獣に息子を奪われた被害者にして、怪獣の研究者でもあるラッセル一家なのですが、彼らのドラマがピンとこないので、全体的に感じるところの少ない内容となっています。

父・マークはまぁいいとしましょう。愛する息子が怪獣騒動の犠牲になったことから怪獣を憎むようになり、怪獣研究からも手を引いたという、一般に理解可能な反応を示していますから。問題は母・エマですね。息子を喪うという辛い経験をしたことで余計に怪獣研究に没頭し、怪獣こそが地球の守護神であるという発想に至るという、常識を逸脱した方向に指向が飛んでいます。彼女の内面をより分かりやすく描く必要があったと思うのですが、監督も脚本家もこの点を放棄しているために、ドラマが非常に通りづらくなっています。せっかくカイル・チャンドラーとヴェラ・ファーミガという良い俳優を揃えており、彼らの実力があれば非常に深いドラマにもできたはずなのに、脚本の不備が残念で仕方ありません。

エコテロリストの行動原理が意味不明

人類は地球にとっての害虫だから、怪獣様に滅ぼしていただくんだというエコテロリストの行動原理は本当に訳分からなかったです。自分自身も駆除対象でしょと。その活動の結果、実は外来種だったキングギドラを蘇らせてしまい、自分達こそが地球に害を与えてしまうという大ミスをしてしまうのだから、支離滅裂です。

エンドロール後には生き延びたジョナがギドラの首を引き取りに行くという場面があるのですが、地球のバランスがどうのこうのと言っていた人たちが、ここに来て宇宙怪獣を信仰の対象に切り替えることは意味不明でしたね。あなた方はゴジラを崇拝し、キングギドラを脅威とみなさねばならない立場じゃないのと。

特盛状態の怪獣バトルは見応え十分

そんな感じで人間側のドラマはメタメタだったのですが、それを補うほど怪獣バトルに迫力があって、満足感は得られました。特にラスト、こっちからは人類の軍隊を引き連れたゴジラが、あっちからはキングギドラが突進してくるという構図には大興奮でした。地球の存亡をかけた一大決戦という感じがしましたね。

ただし、そうした怪獣バトルの足元で地味~にマディソン救出作戦が展開されているのは、心底どうでもよかったのですが。そもそもラッセル一家に感情移入していない上に、この一大事の中で子供一人を救出するために軍隊が人と設備を動かすわけないじゃんと、この展開にはツッコミしかありませんでしたね。

あと、ラストバトルで気になった点がもう一つありました…。

ラドンがヘタレすぎてひどい

東宝三大怪獣(ゴジラ・モスラ・ラドン)に数えられているものの、他の2体と比較して登場作品数が著しく少ないラドン。ゴジラやモスラのように頻繁にリメイクされているわけでもなく東宝での扱いがとにかく悪いのですが、その希少性や判官贔屓的な日本人の国民性もあってか、ラドンのファンは意外といます。ハリウッドがいよいよラドンを扱うということに私も期待をしており、実際、その復活場面は非常に素晴らしい出来だったのですが、問題は、ヘタレという性格付けをなされていることでした。

復活直後のラドンは自信満々にキングギドラに空中戦を挑んでいくのですが、実力差が露になるとすぐにギドラの軍門に下り、以降は舎弟として活躍します。地球の存亡をかけてゴジラ・モスラ組がギドラの前に立ちはだかるラストバトルでは、ラドンはまさかのギドラ側で参戦。『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)ではちゃんと地球側に立って戦ったのに、今回の体たらくは一体何事かと呆気にとられました。しかも、ギドラ敗北後にはゴジラに跪き、仲間に入れてくださいと全力で謝罪するというヘタレぶり。ラドンの扱いはちょっと悪すぎましたね。

まとめ

ドラマパートがあまりに酷いので合格点は出せないのですが、怪獣バトルに見応えがあるので見る価値のある映画だとは思います。

ゴジラ(2014年)【9点/10点満点中_史上最高の怪獣映画】(ネタバレなし・感想・解説)

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