ゲーム・オブ・スローンズ/最終章はなぜ不評だったのか【個人的には7点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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ファンタジー

(2019年 アメリカ)
全世界熱狂の超ド級ドラマ、ついに完結―。鉄の玉座を制するのは誰だ。史上最大、壮絶な戦いがここに。(ワーナーの宣伝文句より)

©HBO

※大きくネタバレしております。未見の方は読まれないようにしてください。

不評を買った最終シーズン

2011年から始まった『ゲーム・オブ・スローンズ』は数字も評価も記録破りであり、テレビドラマの歴史に名を残すシリーズとなっています。

プライムタイム・エミー賞では通算で132賞にノミネートされそのうち47賞を受賞し、史上もっとも多くを獲得したドラマとなりました。うち2015年、2016年、2018年と三回にわたって作品賞ドラマシリーズ部門を受賞しています。

IMDBのレイティングは9.3(2019年12月23日閲覧)であり、この数字は歴代すべてのテレビ番組で第8位。また最終話の視聴者数はストリーミングまでを含めると1930万人であり、これは2002年9月に『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』が記録して以来17年間破られなかった1343万人という記録を大幅に塗り替える凄まじいものでした。

そんな輝かしいシリーズなのですが、最終章のみ大変な批判を受けました。エピソード毎のIMDBのレイティングを見ると、シーズン8の第1話が7.6、第2話が7.9、第3話が7.5と従前シリーズの数字と比べるとかなり見劣りするものであり、最終三話に至っては第4話が5.5、第5話が6.0、第6話が4.1と普通のドラマと比較してもかなり悪い部類に入る数字を付けられています。

最終話放送後には撮り直しを要求する署名活動が起こり、130万人を超える署名があったと報道されました。最終章のみが、なぜこんなに拒絶されたのでしょうか。

ファンの期待する内容と違いすぎた

何となくみんなの頭の中にあった予想図

  • 死者の脅威がついに王都にも伝わる
  • 比較的理解のある人々(ジョン、デナーリス、ティリオン、ジェイミー、シオン)の働きかけによりターガリエン・ラニスター・スターク・グレイジョイの大連合が形成される
  • しかし理解のない人々(サーセイ、サンサ、アリア、ユーロン)がそれまでの経緯から従前の敵対者を信用できず、なかなか足並みが揃わない。
  • 特に煮え湯を飲まされ続けてきたスタークはラニスターへの警戒心を解くことができずにいろいろ引っ掻き回すが、経緯を知る視聴者は「あれだけやられれば、まぁ仕方ないかな」と思いながら眺める。
  • アリンの阿保王子ロビンが何かしらやらかす
  • そうこうしているうちに死者が壁を突破し、ウィンターフェルが戦場となる。
    • 総司令官:デナーリス
    • 参謀:ブラン、サム、クァイバーン
    • スターク軍司令官:ジョン
    • ラニスター軍司令官:ジェイミー
    • ターガリエン軍司令官:ジョラー
    • グレイジョイ軍司令官:ヤーラ
  • 大同団結して決戦に臨み、特に北部にとって脅威でしかなかったラニスター軍が防衛面で貢献して頑固な北部人もラニスターを認める。
  • 体よくサーセイが死んでくれて、鉄の玉座が空く。
  • ジョンとデナーリスのどちらかが死んで、生き残った方が死んだ方の遺志を引き継いで鉄の玉座に就き、第2期ターガリエン王朝の開始。
  • ティリオンが王の手に就任し、弱者に寄り添った善政を行う。

実際の最終章

しかし最終章はファンの予想のはるか上を行く驚愕の内容となっており、全世界の視聴者は激しく混乱したのでした。

  • ラニスターは連合に参加せず、大同団結ならず。
  • あれだけ煽ってきた死者との戦闘がたった一晩で終結。ホワイトウォーカーは意外と大したことなかった。
  • ターガリエンvsラニスターの最終決戦は兵力も戦術もほとんど関係なく、ドラゴン一頭で片が付く。
  • デナーリスがありえないほど暴走して虐殺者と化す。
  • ラニスターもターガリエンもほぼ壊滅し、なぜかブランが玉座に就く。

なぜ受け入れられなかったのか

とはいえ、GOTはこれまでもファンの予想を裏切る展開を準備し、その意外性も含めてファンから支持されてきました。ではなぜ、最終シーズンのみ拒絶されたのかを見ていきたいと思います。

事態をひっかき回す憎まれ役がほぼ居なくなっていた

今となっては懐かしいジョフリー王に始まり、ウォルダー・フレイ、ライサ・タリー、ハイスパロー、ラムジー・ボルトン、ピーター・ベイリッシュ等、このシリーズを進めていたのは悪漢や卑劣漢達でした。

こいつらが事態を引っ掻き回すことでドラマが動いていたと言っても過言ではないのですが、この手のクズみたいな奴らはシーズン7まででほとんど死んでおり、残ったクズはサーセイ・バラシオンとユーロン・グレイジョイくらいでした。

視聴者にストレスを与える展開を嫌われ者に任せることで人気キャラを守るという構造となっていたのがこれまでのシリーズだったのですが、憎まれ役がいなくなってしまうと人気キャラにその役回りをさせることが必要となります。

一番闇落ちして欲しくない人が闇落ちした

その犠牲となったのがデナーリスでした。日本ではそうでもないのですが、海外でデナーリスは大人気キャラ。

例えば『ドラゴンボールZ』で、最終的に悟空が狂って宇宙を破壊し始めて悟飯やベジータが泣く泣く悟空を葬るという展開がありえないように、2011年から8年間もデナーリスに感情移入しながら見ていた視聴者達にとって、デナーリスが闇落ちするという展開は意外性を通り越して、絶対にやって欲しくないことだったのかもしれません。

しかもその狂い方のレベルがおかしかったという点も、ファンの癇に障ったのではないでしょうか。従前の憎まれ役達には彼らなりの行動原理があり、弱肉強食の世界においてある程度の合理性はきちんとあったのですが、デナーリスについては敵を完全に圧倒して勝敗がついた後にも王都破壊の手を止めず、単なる虐殺者になってしまったので、デナーリスを悪者にしたいという製作陣の悪意のみが感じられました。

もっと道理に適った行動を取らせていれば印象は違ったのかもしれませんが、不必要な殺戮はさすがにやりすぎでした。

ホワイトウォーカーが意外と大したことなかった

記念すべき第1章第1話のタイトルが「冬来たる」だったことからも分かる通り、ホワイトウォーカーとの種の存亡をかけた決戦こそがこの壮大なシリーズの着地点であることは当初から織り込み済でした。

『ゲーム・オブ・スローンズ』(玉座を巡るゲーム)というタイトルにしても、ウェスタロスの諸侯達は玉座を取り合って戦争を始めるが、ホワイトウォーカーという脅威と比較すると遊びみたいなものだよという逆説的な含みがありました。

それほどまでにホワイトウォーカーの脅威が煽られまくっており、長大な物語はすべてその決戦に向かって進んでいたのですが、いざ開戦するとたった一晩で片が付いてしまい、それほど大した敵でもなかったというガッカリ感がありました。

ブランが存在意義を発揮できなかった

バラシオン王朝はサーセイの死によって滅び、次の玉座には一体誰が座るのか。この重要な〆で出された回答がブランの即位ということに、多くの視聴者は当惑しました。

ブランを推したティリオン曰く、もっとも魅力的な物語を持つ人物はブランだったということなのですが、ブランっていろいろやった割には大きな戦に関与していないし、ホワイトウォーカーとの決戦でも何のために居たのかよく分からなかったし、もっとも視聴者の共感を得ていない人物だったような気がします。ブランパートって一番面白くなかったし。

いろんな人気キャラがいる中で、なぜブランが王なんだろうか。しかも人気キャラのデナーリスを死なせ、ジョンに不遇を与えてまでブランを即位させた製作陣の判断に、多くの視聴者は付いて行けませんでした。

ただし、個人的には「あり」な最終章でした

ここまで客観的な分析をしてきましたが、この最終章、個人的には興味深く拝見しました。少なくとも「何となくみんなの頭の中にあった予想図」の通りにすると多分白けたはずで、これくらい無茶苦茶をやってこそゲーム・オブ・スローンズだなと。

ブラン即位にしても、バラシオンでもラニスターでもターガリエンでもない、個人単位で大勢を納得させられる人物を選ぶという方法は血統主義からの脱却を示しており、各家が玉座を巡って戦争をしていた時代からの前進を感じました。これはこれで良い着地点だったと思います。

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コメント

  1. […] 今回は『バイオハザードⅢ』(2007年)で退治したはずのアイザックス博士が復活。わざわざ復活させるほどの人気キャラだったとも思えないのですが、これを演じるイアン・グレンがテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』にて知名度と人気を獲得したことから、今回はすべてを仕組んだラスボスとして超絶ランクアップ。 […]

  2. […] ショーン・ビーン(スペンス):1959年イングランド出身。上記のジョナサン・プライスと同じくロンドン王立演劇学校に奨学生として入学しました。後に007のヴィランを演じるという点(『007/ゴールデンアイ』(1995年))、『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演するという点もプライスと共通しています。1981年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにて演劇デビュー。1984年に映画デビュー。ハリソン・フォード主演の『パトリオット・ゲーム』(1992年)のメインヴィラン役でハリウッドに進出しました。劇中でよく死ぬ俳優として有名。 […]