(2023年 アメリカ)
ついに戦争がはじまり、魔法協会、レダニア、ニルフガードの三つ巴の戦いが繰り広げられる第22話は圧巻だった。以前の21話は、すべてこのエピソードのための前振りだったんじゃないか。そう思わせるほどの密度と面白さで、このシリーズを見ていてよかったと心から思った。後の2話は恐ろしく面白くなかったが、それには目を瞑ることにしよう。
ゲラルトがディクストラから短剣を突きつけられるという衝撃の終わり方をしたシーズン3 vol.1の続き。
ディクストラ率いるレダニア軍が魔法学校アレツザを占領し、魔法会議のために集まっていた要人達を拘束。ついに戦争が始まる。
レダニアの動きに対してゲラルトとティサイアは反発し、拘束されていた魔法使い達を解放。するとその中にいたヴィルゲフォルツがエルフ軍やニルフガード軍をアレツザに招き入れてしまう。
レダニアと時を同じくして、ニルフガードもアレツザ侵攻を企てていたのだ。
かくして魔法協会、レダニア、ニルフガードの三つ巴の戦いが始まるのだが、意表を突く展開の連続には痺れまくりだった。これまでの20話あまりは、すべてこのエピソードのための下準備だった。そう思わせるほどの展開である。
見せ場もキレッキレ。
戦火を逃れるシリとイェネファーは火の魔法使いリエンスに追い付かれる。
シリはウィッチャー仕込みの剣術で対抗しようとするが力及ばず、イェネファーは持っていた剣を差し出して降伏の姿勢を見せる。
その瞬間、リエンスの背後からゲラルトが現れ、イェネファーの差し出した剣を掴むとリエンスの首をはねる。ゲラルトの現れるタイミングが完璧すぎて、巻き戻して何度も見てしまった。
シーズン2後半より場をひっかきまわし続けてきたリエンスを、この数十秒の場面で葬ってしまう。キャラクターの消費も恐ろしく豪勢だ。
製作陣は、このエピソードを長大なシリーズの前半における最大の山場と考え、ここに向けて多くの構成要素を丁寧に配置してきたのだろう。
そうしたことが見る側にも伝わってくる、まさに圧巻のエピソードだった。
その戦いの最中、ヴィルゲフォルツから逃れようとしたシリは塔の大爆発を引き起こし、その瞬間に砂漠へとワープする。
続くエピソードでは幻覚に悩まされつつ砂漠を脱出しようとするシリの姿が描かれるのだが、これがかったるくて仕方なかった。
シーズン3 vol.1の感想でも書いたが、シリ周りのエピソードはかったるいものが多い。
彼女の正体も、秘められた能力もいまだ不明な状態で、半分以上何言ってるんだかよく分からない幻覚を見せられる。これがなかなかストレスなのだ。
それでもシーズン1、2までは我慢してきたが、そろそろネタを割って話を前に進めてくれないと、いい加減、付き合いきれなくなってくる。