内部分裂寸前の部下達の様子と、新たな販路拡大に動くフェリクスの様子が映し出される第2話ですが、かつて群雄割拠状態だったプラサを統合したフェリクスの交渉術が久々に炸裂します。やはり彼は暴力の人ではなく交渉の人だった。そんなことを再認識させられた第2話でした。
DEAは全話ラストで拘束したベルディン司令官を拷問し、カマレナ殺害への関与者を聞き出そうとしているのですが、ベルディンはCIAからの教育を受けた拷問のエキスパートであり、拷問の実地経験はDEAの比ではなく、また拷問に耐える術も持っていました。
加えて公道で拉致して目撃者もいたためにメキシコの捜査当局の手が迫っており、昼間は移送するには危険すぎる、夜までその場にいると探し当てられるおそれありと、逆にウォルト達が追い込まれます。
ここで、物語は心理サスペンスとタイムリミットサスペンスの様相を呈してきます。この展開にはなかなかのスリルと気持ちの悪さがありました。
なお、第1話で注目した武闘派の現地調達エージェントはダニロという名前であることが判明。今回はセリフも増え、業を煮やしてベルディンの腹を撃ち抜くという気の短さも披露し、ますます目が離せなくなりました。
エネディナとイザベラがそれぞれベンハミンにカルテルの絡まない独自ルートの開拓を提案し、ベンハミンが断ることで何とか実現には至らなかったものの、カルテルを離れるという風潮は組織内で充満している様子です。
加えて、ベンハミンの組織はシナロア・カルテルからの挑発を受けており、緩やかに分裂の危機を迎えています。
そうして部下達がざわついている中で、フェリクスはあらたな密輸ルートの開拓のためにドン・フアンの元を訪れています。
フアンは長年に渡ってアヘン密輸を行っており、アメリカ本土にも強い人脈を持っていて、フェリクスはその力を借りようとしているわけです。
しかし交渉はうまくいきません。フアンが問題視しているのは以下3点。
これに対しフェリクスは、メキシコ人が仲間割れをしているうちにコロンビア人にルートを乗っ取られると言い、メキシコ人同士の団結を促します。
加えて、米国内のコロンビア人80万人に対してメキシコ人は1500万人であり、アメリカ市場を獲るポテンシャルはメキシコの方が上であることで勝利の見込みをフアンに理解させ、難色を示していたフアンの取り込みに成功します。
前シーズン後半より追われる側に回って元気のなくなっていたフェリクスが久々に交渉術を披露したのですが、相手を納得させる彼の論理的な話術は見応え十分でした。
前シーズンではフェリクスの弟ラファが『スカーフェイス』(1983年)にハマりまくってダイレクトに影響を受けていましたが、本シーズンでもスカーフェイスネタが登場しますよ。
ベンジャミンの出所祝いに呼ばれたアメリカの売人達がドラッグとアルコールであふれるパーティ会場で「自分のドラッグは吸わない」とミシェル・ファイファーの台詞を引用して盛り上がるのです。このジャンルにおいてスカーフェイスは聖典であることを再認識させられた一幕でした。
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