ナルコス(シーズン2)_手負いの獣が暴れる恐怖【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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正常な判断力を失ったエスコバル

前シーズンでは異常に冴えた洞察力と判断力で巨大帝国を築き上げたエスコバルの姿が描かれましたが、一転して本シーズンでは彼の転落が描かれます。そこには手負いの獣の恐ろしさがあって、身を守るために何をしてくるか分からないことが作品全体の緊張感を高めています。

エスコバルにとって大きかったのは従兄弟であるグスタポの死であり、エスコバルを恐れず本音で話す彼の意見がエスコバルと組織にとっては重要だったのですが、前シーズン後半でグスタポを失った時点より、エスコバルの判断力ははっきりと低下しました。ラ・カテドラル収監中に外部で麻薬取引を維持してくれていた部下を裏切り者と見做して殺害、組織の戦闘能力が低下している中で政府と同業者を同時に敵に回すなど、エスコバル個人の感情に任せた判断が目立つようになったのです。

また、ハッタリと勢いでのし上がってきた自身の成功体験から離れられないエスコバルは、現状維持のためにあえて撤退するという意思決定を下すことができず、相手から仕掛けられればより大きな反撃をするという基本発想でどんどん負けを大きくしていきます。さらには、組織内の誰もドツボにはまっていくリーダーを止めることができず、それどころか「そうこなきゃ!親分」とか言ってリーダーを煽るという始末であり、リーダーの周りがイエスマンで固められた組織はロクなことにはならんという教訓も残します。

修羅場と化したコロンビア

こうしてメデジン・カルテルは破滅の道をひた走り始めたものの、問題は巨大帝国であるがゆえにすぐには倒れてくれないことであり、制御の利かなくなった暴力装置が大きな社会不安を引き起こします。

この辺りが本シーズンの面白さであり、追い込まれたエスコバルが過度に神経質になってめちゃくちゃな攻撃を仕掛けてくる、それに対抗するためコロンビア政府は武闘派の大佐を召喚、CIAは極秘活動を展開し、ライバル組織は武装ゲリラを都市に放ち、関係各方面がやりたい放題をしてコロンビアは修羅場と化します。

さらには、コロンビア政府内では強硬路線の大統領と宥和路線の司法長官が対立し、司法長官による懐柔策がエスコバルの暴走を助長するという結果をもたらします。平和主義・人道主義に基づく判断が、かえって暴力を煽ることもあるという歴史的な教訓も本シーズンには込められており、非常に興味深く鑑賞することができました。

最終2話は蛇足だった

残念だったのは、第8話のラストでほぼ勝負がついたにも関わらず、9話10話と二話に渡ってダラダラとエピローグをやってしまったこと。シーズン1から続く異常なテンションと勢いがここで途切れてしまいました。エスコバルの心象風景を描くエピソードは確かに必要でしたが、それはシーズン最終話だけでよかったと思います。

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