ナルコス:メキシコ編(シーズン2)第4話_大逆転の連続なのに面白くない【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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組織内外での影響力を失いつつあったフェリクスが大逆転を果たし、スノを拘束してフェリクス逮捕に王手をかけていたウォルトが捜査打ち切り寸前にまで追い込まれるという、本シーズンでもっとも大きな動きのあるエピソードなのですが、演出のまずさからかドラマティックな展開にさほどの興奮が宿っておらず、筋書きは良いのだが味付けで失敗したかのようなエピソードでした。

©Netflix

あらすじ

CIAを後ろ盾にするフェリクス

フェリクスは同業者のマッタがCIAの武器を中南米に密輸していることに目をつけ、マッタを通してCIAに接触します。アメリカ人のDEA捜査官を殺したフェリクスからすればCIAへの接触は大きな賭けであり、アメリカ軍の拠点へ出向くという行為はその場で即逮捕という危険もあったのですが、これまでも相手の望むものを提供することで話をまとめてきたフェリクスは、この大博打に勝利します。

そして、CIAを抱き込んだ後にはメキシコの大物政治家との再度の癒着もということで、甥のスノが拘束されてカマレナ殺害への関与がアメリカに知られるところとなり、窮地に立たされていた国防大臣にマッタ逮捕を指揮させます。そうして大物麻薬業者の首をDEAに差し出すことで国防大臣の地位回復と、フェリクスにとって邪魔な存在だった同業者の排除の両方を成し遂げます。

晴れて麻薬と武器密輸のルートを単独で牛耳ることとなったフェリクスはカリ・カルテルとの交渉でも優位に立ち、再度強い権力を取り戻したのでした。

捜査打ち切り寸前にまで追い込まれるウォルト

そんな進撃のフェリクスのあおりを喰らったのがDEAでした。

前回で拘束したスノよりカマレナ殺害への関与者の証言を得ていたDEAは、後は同じ内容を大陪審で証言させれば上がりという、勝利まで限りなく近づいた状態にありました。しかしフェリクスがCIAと結託したことから、大陪審の証言台に座らせる頃にはスノに手が回っており、スノは証言を撤回。

さらには、CIAの影響を受けた国務省がDEAに横やりを入れ始め、勝利間際から一転して、捜査は打ち切りの危機を迎えます。

独自の販路を作ろうとするカルテルの手下たち

ボスが激しいパワーゲームに興じている中、カルテルの手下たちも水面下で動き始めます。

コロンビアと独自に結びついたイザベラは前回ベンハミンにブツの輸送を打診して断られていましたが、今回は妹のエネディナに接触します。

一旦は断るエネディナでしたが、家族のためではなく自分のためにビジネスを行うのだとマインドを切り替えたことでイザベルの持ってきたチャンスに賭ける心境となり、その依頼を受けることにします。

エル・チャポは前回ベンハミン達と揉めたことで懲罰的に課せられることになった税金を不服としており、ベンハミンの組織を経由せず独自に麻薬をアメリカに密輸することを思いつきます。

国境のこちら側に物流拠点となる倉庫を、あちら側に密輸の窓口となる小屋を購入し、国境線の下にトンネルを掘って麻薬を密輸するという『ボーダーライン』(2015年)でも描かれたルートを思いつくのです。

仲間からは「小卒のお前が何言ってんだ」と笑われるのですが、彼に知識がないからこそ、こんなことを本気でやろうという気になったのでしょう。常識のある人間ならば、砂漠のような軟弱な地盤に400mのトンネルなど掘れるわけないと諦めるところなのですが、無知ゆえの強さか、エル・チャポは本気でトンネルを掘ろうとするのです。

死者1名を出しながらも根性でトンネルを掘り進んでいき、開通の見通しが立つところにまで持っていってみせます。

登場人物

ウォルト・ブレスリン(DEA)

スノの供述によりカマレナ捜査官殺害に関与した者の逮捕とアメリカへの身柄引き渡しの目途が立ったことから、甥のダニーと過ごすことにします。

ダニーはウォルトの弟グレッグの息子であり、2年前に麻薬依存症のグレッグを銃撃で失って以降、ウォルトは残されたダニーに愛情を注いできました。

ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド(グアダラハラ)

相談できる相手がいないほど詰んだ状態にあったフェリクスは、刑務所に収監中のドン・ネトの元を訪れます。ドン・ネトからはすでに無傷で生き延びる道はなく、メキシコの刑務所に入るよりもマシなアメリカで罪の告白でもして逮捕されてはどうかと提案されます。同じ刑務所にいる弟ラファは殺したいほどの目つきで兄をにらんでおり、二人が会話することはありませんでした。

イザベラ

ティフアナの密輸ルートが欲しいイザベラはベンハミンの妹エネディナに接触し、カルテルを通さないコカインの流通を依頼するが、断られます。仕方なく筋の悪い輸送業者に接触するのですが、その交渉の現場にエネディナが現れ、数日前の返答から一転して流通を引き受けると言われます。

アマド・カリージョ・フエンテス(フアレス)

ようやくパブロ・アコスタをフアレスの滑走路建設現場に引き戻せたが、その恋人ミミが現場に現れることに悩まされています。ミミからはパブロを引退させるよう迫られるのですが、組織を離れるとアコスタの安全は守れないと反論します。

ベンハミン・アルジャーノ・フェリクス(ティフアナ)

自らの働きかけで実現したティフアナを通過するドラッグへの課税はフェリクスの決定とした上で、自分は反対の立場をとっているとシナロアの前では偽ります。

ホアキン・グスマン “エル・チャポ”(シナロア)

ティフアナからの課税を避けるため、アメリカへの直接の密輸を思いつきます。それは国境線を挟んでメキシコ側の倉庫とアメリカ側の小屋を購入し、トンネルを掘ってコカインを密輸するという方法でした。地盤の軟弱な砂漠でのトンネル掘りは難航を極め、協力者を1名崩落事故で失うのですが、根性で掘り進めていきます。

感想

組織内外での影響力を失い、当エピソードの冒頭ではドン・ネトからアメリカへの自首を勧められるほど追い込まれていたフェリクスが一発逆転を果たし、再度強力な地位を取り戻すというドラマティックな回だったのですが、あまりに展開が速すぎたことと、重要な展開が特にタメもなく流されていくことから、もっと面白くなきゃおかしい話なのに、なぜこんなにワクワクしないんだろうともどかしい思いがしました。

これはウォルト側の物語にも言えます。スノ拘束で圧倒的な優勢から一転して、証言はとれない、捜査に横やりは入る、荒っぽい捜査手法が批判にさらされると、これまでやって来たことが無に帰す回だったのですが、こちらも思うように感情が乗っかりませんでした。

後半なんて、甥っ子のダニーに大金を置いてメキシコに舞い戻るという、ほぼ死ぬ覚悟で戦場に再出撃するかのような熱い場面まであるのですが、これも本来必要な熱を帯びていません。

展開は面白いはずなのに、演出のまずさで失速したエピソードでした。次回以降の再起を期待します。

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