ナルコス:メキシコ編(シーズン2)第6話_テーマは組織マネジメント【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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フェリクスの苦悩は続くのですが、今回は主に組織マネジメントの問題が描かれます。経営者が弱っていることに気付いた一部の部下が増長し始め、それをたしなめる力を見せないことで他の部下達もザワ付き始めるという負の連鎖。

「こういう構図わかるなぁ」と、麻薬カルテルという特異な世界の物語でありながら、通常の会社組織にもよくある問題に着眼した辺りがこのエピソードのキモです。傑作回だった前話に引き続き面白い回でした。

©Netflix

あらすじ

次期大統領に手を回そうとするフェリクス

冒頭、裕福な家の子供二人が戦争ごっこをしています。家政婦に銃を突き付けてふざけているのですが、引き金を引いた瞬間におもちゃだと思われた銃から実弾が発射され、家政婦の頭を撃ち抜きます。しかし兄弟は人を殺してしまったことに対してまったく動じることなく、再び遊びに興じるのでした。

場面は変わって現代に。フェリクスはかつて二人の兄弟が家政婦を撃ち殺した豪邸に来ています。家の主は物腰の穏やかな中年男性であり、弟は次期大統領になると言います。

ここは前話でフアン・ゲラの後ろ盾であることが判明した財務大臣の実家であり、目の前にいるのはその兄。そして表の政治家であるこの兄弟もまた、人の死に対する関心の薄いサイコパス的な性格であることが分かります。

この兄、物腰は穏やかなおじさんなのに、ホテル経営をしているフェリクスに対してホテルは美人が多いとか、テニスウェアを来た女性は美しいとか、社会的な立場で会いに来た初対面の人間に対して言うようなことかということをバンバン言い、かなりアブナイ奴であることが視聴者にも伝わってきます。

フェリクスはこの兄に政治献金を申し出るのですが、フアン・ゲラとの関係を理由に断られます。フェリクスにとって政治家から金の受取を拒否されたことは初めてのことだったので、不審に思ったフェリクスはカルデローニに命じて兄弟の背景を調査させます。

すると、財務大臣とその兄は政権をとった暁には国営企業を民営化して友人達に安値で販売し、大儲けした友人達から利益を得るつもりでいたため、裏社会から金を受け取る必要がなかったということが分かります。

すなわち、金を使って政治家を操れる時代が終わろうとしていたのです。利益をばら撒くことで人を動かしてきたフェリクスにとって、これは大きなピンチでした。

シナロアvsティフアナ

前話でティフアナのラモンが、シナロアのエル・チャポが国境に掘ったトンネルを破壊し作業員を殺害したことがきっかけで、シナロアvsティフアナは抗争に突入しました。

ただしカルテルのボスであるフェリクスは両者に停戦命令を出し、フェリクスの地元でもあるシナロアはこれに素直に従い、幹部のコチロコがティフアナへ未払の税金を持参することにします。

他方、ティフアナのベンハミンはグアダラハラでフェリクスが狙撃されたとの極秘情報を得てフェリクスの権力基盤が揺らぎつつあることを知り、フェリクスの停戦命令に従わないことにします。

電話をかけてきたフェリクスに対して、今ティフアナが抜ければカルテルは崩壊するとの脅しをかけた上で、コチロコの殺害を宣言。フェリクスはこれを止めることができませんでした。

リーダーはツライよ

シナロアの幹部はフェリクスにとっても顔なじみが多く、ティフアナの離脱を防ぐためとは言えコチロコを犠牲にすることは苦渋の決断でした。増長したティフアナからの要求と、シナロアからの抗議の板挟みになったフェリクスは精神的に弱り切って、別れた妻子の住む家に姿を現わします。

しかし前妻マリアからは姿を見せられると迷惑だと言われ、二度と自分と子供の前に姿を現わさないようにと言われます。

さらに、車で農道を通ると農民たちが「メキシコに害をなしてきた者を罰するときである」という政治家の演説を熱心に聞いており、いよいよ自分達の時代が終わりつつあることを知るのでした。

追い込みをかけるDEA

ウォルト達は目的をフェリクスの逮捕から商売の妨害へと切り替え、金が回らなくなったところで政治家から見捨てられることを狙いにいきます。その具体的なターゲットは空路を仕切るアマドであり、アマドの輸送するブツを押さえるための作戦を開始します。

アマドがベリーズで購入した飛行機に発信機を取り付け、その信号を追いかけてフアレスの空港を発見します。

そして空港への張り込みの結果、フェリクスは6機の飛行機を同時に運用するつもりであることが分かるのですが、大量のコカインを一つの場所に固めて同時に動かすということは、もし踏み込まれればすべてを失うことに繋がります。

ガサ入れに備えてコカインを分散させるという当然の安全策がとられていないことから、ウォルトはフェリクスがもはや捨て鉢であることを見抜きます。そして、この空港に搬入されるコカインを押収すれば、こちらから手を下すまでもなくフェリクスは払う金がなくなってコロンビアに殺されるだろうと予想します。

登場人物

ウォルト・ブレスリン(DEA)

DEA本体に隠密作戦を黙認させ、アマドの飛行機に発信機を取り付けてフアレスの空港を発見。摘発に向けて張り込みを開始する。

ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド(グアダラハラ)

シナロアとティフアナの抗争を止めるため地元シナロアに戻る。シナロアの幹部たちはティフアナに税金を払わなかった自分達の非を認めた上で、未払の税金を支払うことにするが、ティフアナのベンハミンは停戦指示に従わず、金を持ってきたシナロア幹部のコチロコを殺すと宣言。シナロアとティフアナの板挟みとなります。

イザベラ

エネディナと共にコロンビアの業者にコカインの買い付けへと向かいます。そこで、フアン・ゲラがカリ・カルテルのコカインを運ぶことになったことを知り、フェリクスに強敵が現れたことは自分達にとってのビジネスチャンス到来と読みます。

アマド・カリージョ・フエンテス(フアレス)

コカイン空輸用の飛行機の買い付けにベリーズへと向かいます。アマドは元警察官だったことが判明。

ベンハミン・アルジャーノ・フェリクス(ティフアナ)

グアダハラでフェリクスが暗殺されかけたとの情報を得て、フェリクスの権力基盤が揺らぎつつあることを知り、シナロアとの停戦を要求してくるフェリクスに盾突きます。

ホアキン・グスマン “エル・チャポ”(シナロア)

トンネルを破壊され、作業員を殺されたことへの怒りからティフアナとの抗争で人を殺しまくっていたのですが、フェリクスからの停戦指示で活動を止めるのでした。

感想

統制の利かなくなった組織

前回、フアン・ゲラに裏切られてカリ・カルテルとの交渉に完全敗北したフェリクスは、いよいよ組織のマネジメントにも行き詰り始めます。

ティフアナのベンハミンは暗殺未遂事件からフェリクスの弱り目であることを知り、「いまティフアナが抜けるわけにはいかないだろ」と言ってフェリクスに対して増長した態度を取り始めます。

もしパブロ・エスコバルならこんなことを言ってくる部下はぶっ殺しているところなのですが、どこまでもビジネスマンっぽいフェリクスはティフアナを失うわけにはいかないからと、増長したベンハミンをそのままにします。

すると、次に怒るのはティフアナとのトラブルを抱えているシナロアであり、俺らは親分の言うことを聞いて停戦に応じ、金も払うと言っているのに、なぜ言うことを聞かないティフアナを自由にさせているのかと、当たり前のことを言ってきます。

戦力になっている部下のしつけとは、多かれ少なかれどの組織も抱えている問題ですよね。会社にとって辞められては困る人材ではあるが、会社や上司を舐めきった態度を取るので全体の統制を乱す存在でもある。

今いなくなられると困る。でも野放しだと他の部下達への示しがつかない。痛いところを突かれたフェリクスの苦悩がよく伝わってきました。やはりメキシコ編はビジネスドラマでもあり、多くのビジネスマンが抱える普遍的な悩みが描かれています。経営の視点で見ると面白さは二倍になります。

金で転ばない政治家

さらにフェリクスの苦悩は続きます。

これまで金をばら撒いて人を動かしてきたフェリクスですが、初めて金を受け取らない政治家に出会いました。ここに、表の政界との繋がりを失ったのです。

また地元の農民たちは清廉潔白な主張をする政治家の演説に聞き入っており、金による癒着が今後難しくなっていくこととなります。

個人間の信頼関係や、仲間内からの評価というものにメキシコ社会におけるパワーの源泉が移っていこうとしている中なのですが、それらはフェリクスにもっとも不足しているものであり、これから先への不安をさらに募らせるのでした。

フェリクスを追うウォルトは、ドラッグを分散させて運ぶという当然の安全策がとられていないことから、フェリクスはもはや捨て鉢であることを見抜き、彼の終わりが近いことを予想します。

旧時代の遺物になりかけているフェリクスへの同情心すら誘われる展開でした。

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