楽しみだったナルコス:メキシコ編のシーズン2が始まりました。第1話では、フェリクスの帝国は崩壊こそ免れたもののDEAとの戦争で疲弊してきているということが描かれ、ここからどう盛り返すのかという第2話以降への期待をつなぐエピソードとなっています。
あらすじ
DEAの動き
カマレナ捜査官の弔い合戦
冒頭、優しそうな小児科医が謎の覆面集団に拉致されます。なんて酷いことするんだと思って見ていると、この覆面集団はDEAであり、拉致されたのはシーズン1でカマレナ捜査官の拷問に加わっていた医師であることが分かります。
DEAはカマレナ殺害に関わった者を探し回っており、発見した者にはかなり厳しめの拷問を加えているのですが、そうは言っても捜査なので殺したりはせず、最終的にはアメリカの刑務所に送り込むという動きとなっています。
レジェンダ作戦
メキシコの麻薬カルテル一掃のための作戦であり、本来は減刑をちらつかせて小物から大物の情報を得ることを基本的な動きとしているのですが、上から下までカルテルに買収しつくされているメキシコではなかなかうまくいかないことがナレーションで説明されます。
そこでカマレナの報復と結びついて、カマレナの死に関わった者に拷問を行ってカルテルの情報を聞き出すという動きへと移っています。
フェリクスの動き
逮捕こそ免れたものの、カマレナ捜査官を殺してしまったためにDEAの人員が2倍に増員され、ドラッグ流通量の4割が押収されるという窮地に陥っています。
部下からは「苦しいので俺の取り分を増やしてくれ」なんて相談されるのですが、そもそも本体も苦しいので分配などできるはずがなく、「そういやお前んとこで娘が生まれたんだって」と言ってごまかすような状況です。
その他の部下は「ボスへの誕生日プレゼントです!」と言ってどこからか本物のトラを連れてきて、テンションの上がりきった状態で”Eye of the Tiger”を演奏させて踊り狂うという具合でアホ全開。
部下はアホか、頭の良いのは腹に一物抱えているという実に苦しい組織運営となっており、加えてコカインの供給元であるカリ・カルテルのパチョに未払金の支払を要求すると「ちゃんと払うから条件の変更をするつもりはない」と言われ、けんもほろろという有様です。
ラスト、祭りの後に残されたトラと目が合い、お互い苦しい状況にあるよなぁと心を通じ合わせます。
登場人物
シーズン1から時間が空いていることもあって「あれ誰でしたっけ?」というキャラクターも多かったので、写真付きで整理しておきますね。
ウォルト・ブレスリン(DEA)
DEA捜査官でレジェンダ作戦の指揮をとっている。
ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガジャルド(グアダラハラ)
前シーズンで何とか逮捕は免れたが、カマレナ捜査官を殺害したためにDEAとの戦争状態となっており、ドラッグの4割を押収されるという窮地に陥っている。
イザベラ
フェリクスのガールフレンドで腹心だが、単身コロンビアを訪問してフェリクスを通さない独自の動きを始めている。
アマド・カリージョ・フエンテス(フアレス)
フアレスを離れて地元に戻りたがっている。しかしフェリクスからフアレスの重要性を説かれた上で、遅れているフアレスの滑走路建設を進めるよう言われる。
ベンハミン・アルジャーノ・フェリクス(ティフアナ)
カリフォルニアに組織の倉庫を構えているがドラッグの在庫が滞留しており、また在庫が動いていないのでキャッシュも回っていないことに困っている。フェリクスに窮状を訴えるが、現状を変える気はないと一蹴される。
ホアキン・グスマン “エル・チャポ”(シナロア)
シナロワの部下。仲間達と共にフェリクスにトラをプレゼントする。
パチョ・エレラ(カリ・カルテル)
コロンビアのカリ・カルテルの幹部で、流通と警備を担当している。フェリクスの誕生日パーティに出席した際に未払金の支払いを要求されるが、DEAとの戦争はフェリクスが勝手に始めたものであり、コロンビアは無関係として条件交渉に応じなかった。
感想
シーズン1の時点からフェリクスはビジネスマンっぽいと感じていたのですが、本作でもその傾向は続いています。
部下が不審な動きをしたり、分け前の増額要求をしてきた場合、パブロ・エスコバル辺りなら「てめぇ、誰にもの言ってんだ」みたいな態度で押さえつけるところですが、フェリクスはあくまで「まぁ頑張ってくれや。お前には期待してるんだ」という言い方で部下をなだめ、完全に会社の経営者です。
カリ・カルテルとの未払金交渉においても、「俺はあんたらに文句ないんだけど、プラサがうるさいんだ」と、こちらも役員会がうるさいのでお願いしますよと言っている代表取締役のようで、ヤクザ感のなさが妙におかしかったです。
ともかく、商売はうまくいっていない、腹心達は不満を抱えている、仕入元のカリ・カルテルは非協力的、DEAからは首を狙われていると、フェリクスは八方ふさがりの状況にあり、この苦境をどう打開するのかが今後の見せ場になってくると思います。
一方、カマレナ捜査官殺害に怒り狂ったDEAは『ミュンヘン』(2006年)の暗殺部隊の如き暴力組織となっており、もはや麻薬組織よりも過激な活動を取り始めています。注目は後半でチラっと登場した現地の調達工作員であり、ターゲットのボディガード達との銃撃戦ではアサルトライフルを扱ってたった一人で複数の敵を倒すという戦闘スキルの高さと、偶然居合わせた一般人の目撃者までを口封じに殺そうとする殺人マシーンぶりで、今後こいつが一波乱起こすのではないかとの期待を高めます。
新シーズンのエピソード1としては充分な出来であり、以降のエピソードへの期待感は高まりました。
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