3人のキリスト_テンポが遅く起伏に欠ける【5点/10点満点中】(ネタバレなし・感想・解説)

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実話もの
実話もの

(2017年 アメリカ)
精神科医の実話を元にしたドラマなのだが、治療過程はテンポは遅く起伏に欠けて面白くなかった。医師同士の主導権争いが始める後半でやや持ち直すのだが、全体としては標準以下の作品だと言える。

感想

タイトル詐欺ですな

Netflixでたまたま目に付いたので鑑賞。

作品は2016年に撮影され、2017年のトロント映画祭で初お目見えしたのだが、その後お蔵入りして、2020年1月に全米公開された。

日本では劇場公開すらされず、2022年6月にサブスク公開となったというわけで、この扱いからどうやら評判は良くなさそうだということが見えてくる。

映画は1960年代に実際に行われた心理学の臨床実験に基づいているらしいのだが、wikiの該当ページ(イプシランティの3人のキリスト)を見ると、映画からはかけ離れた内容だった。

ハリウッドにおける”Based on True Story”とは往々にしてこういうものである。

ショック療法や薬剤投与といった1950年代の精神医学に疑問を持つ研究者ストーン(リチャード・ギア)が、キリストを名乗る3人の精神病患者に対して実験的な治療を試みるというのがざっくりとしたあらすじ。

リチャード・ギアと3人の患者たちの演技は素晴らしく、見るべきものは確かにある。

ただし作品のテンポは驚くほど遅く、特に前半部分は眠気の嵐に見舞われた。途中で脱落する人も多いのではないかと思う。

この手のドラマって、はじめには「どう考えても無理だ」と思わせるようなひどい状況があって、七転八倒の末に解決策を見つけ出すという流れが王道だと思うのだが、本作ではそれがない。

患者とのコミュニケーションは最初からうまく流れていくので、展開に起伏がなく映画としての面白みに欠ける。

患者全員が自分をキリストだと信じているのだから、彼らの主観では他の2名はウソをついているということになるわけで、3人の患者がもっと揉めなきゃおかしいと思うのだが、そうしたトラブルもほぼ描かれていない。

そのうち自然に棲み分けが出来てきて、キリスト云々の話は消えてなくなるので、タイトルから期待される内容になっていない。これにはガッカリだった。

学者の主導権争いは面白い

なのだが、後半に入るとちょっと面白くなる。学者同士の主導権争いが始まるのだ。

そもそもストーン博士は研究畑の人材なので、精神病院での敬意は得られていない。座学だけで実地を知らない大先生扱いなのである。

そのうえストーン博士は従来の精神医学に懐疑的な立場であり、新しい治療法を試したいという目的で病院にやって来たのだから、尚のこと、既存医療を実践している現場の医師達からの評判は良くない。

なのでストーンが幅広い患者を対象に独自診療を施すことは却下され、キリストを自称する3人の患者を診ることだけをようやく許可されたという状況があった。

なのだがストーンの方法が実を結んで業界紙の表紙を飾るようになると、他の医師がは手のひらを返してストーンの手柄を横取りしようとする。

このクズのようなオーバス医師を演じるのは、『エンド・オブ・デイズ』(1999年)でシュワルツェネッガーの相棒を演じたケヴィン・ポラックで、「私は悪いことなんかしていませんが」って顔をして最低なことをするので、まぁムカついた。

が、こういうクズが現れると映画とは面白くなるもので、後半はやや持ち直した。

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