アメリカン・アニマルズ_若気の至りで人生詰む【7点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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実話もの
実話もの

(2018年 アメリカ)
現実に起こった絵画盗難事件の映画化なのですが、単に犯行の様子を作劇で再現するのみならず、事件当事者のインタビューを挟むことでより事実に肉薄させた構成が優れています。コミカルに始まった話がどんどん深刻になっていき、最後は現実の重みを伝えるというメッセージ性の打ち出し方もよく出来ており、小品ながら見る価値のある作品となっています。

感想

ご本人出演という構成の妙

2004年にケンタッキー州で起こった絵画強盗事件の映画化作品であり、基本的には俳優を出演させた作劇ではあるのですが、本作がユニークなのは刑務所でのお勤めを終えた事件当事者4人のインタビューが合間合間に挿入されるということ。

この斬新な手法を取ったことの意義は大きく二つあって、まず一つ目は当事者間の証言が食い違っている部分の両論併記が可能となっています。

具体的には絵画のバイヤーを事前に見つけていたかどうかという部分で、首謀者のウォーレンはオランダにまで飛んでバイヤーに会ってきたと主張するのですが、その他の3人はウォーレンの作り話じゃないかと思っています。

もし完全なる作劇ならば一つの筋に絞らなければならなかったところですが、インタビューを挿入することでストーリーに脚注部分を設けて、多面的な情報を観客に伝えています。

二つ目の意義は、犯行動機の不可解性をありのまま伝えられていること。

本件に関わったのは特に生活に困っているわけでも、頭が悪いわけでもない大学生達で、なぜ大それた泥棒をしようと思ったのかと聞かれても、「大学生活に幻滅していた」みたいな曖昧な回答しか返ってきません。

もしこれが完全なる作劇ならば「主人公達の動機が分からない」ということで作品の瑕疵になったであろう部分なのですが、当事者にこの発言をさせることで、この人たちは本当に何も考えていなかったということが観客にも伝わる仕組みになっています。

そして彼らに明確な動機がないことで、若気の至りがこじれるとこういう失敗に繋がるという普遍性のあるテーマにまで敷衍できており、このユニークな泥棒事件を対岸の火事とは思わせない力も持っています。

これぞ構成の妙という奴ですね。

オーシャンズ11みたいにならない

ともかく、大学図書館に展示されている高価な画集を盗むことにした大学生達は計画を練るのですが、その過程は友達との共同作業のようで楽しかったりもします。

勉強と称して『現金に体を張れ』(1956年)を一緒に観たり、『レザボア・ドッグス』(1992年)のように色で呼び合ったり。

『オーシャンズ11』を見てイメトレもするのですが、現に計画を実行に移すと、当然のことながら映画のようにはいかないわけです。

まず4人は「老人には誰も注目していない」という理由で特殊メイクを施して老人に変装するのですが、大学図書館に似つかわしくない老人が現れる、しかもどこか様子がおかしいので、むしろ注目を集めてしまいます。

これでは無理と判断して一旦退散し、変装なしで翌日出直し。

今度は何とか展示室に侵入するのですが、人はスタンガン一発で失神してくれないわ、ショーケースの鍵はどこにあるんだか分からないわ、画集は想像以上に重いわ、逃走中にテンパってエレベーターで別の階を押してしまうわ、逃走経路は計画時に想定していたのと全然違う状態だわと、何もかもがうまくいきません。

結局、お目当ての画集は盗めず、二次目標だった古書数点だけを取って逃げるのですが、その価値算定のために訪れた鑑定士に個人携帯の番号を教えてしまうわ、犯行に使ったのと同じメアドを再利用してしまうわと、「私達がやりました」という証拠を残しまくってしまいます。

準備段階では、我々観客の目にも「案外いい線いってるんじゃないか」と思われた犯罪計画がこうも無惨に崩れ去っていく様を見ると、つくづく悪いことはするもんじゃないと思います。

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