大洪水_子供がウザイ!【4点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

スポンサーリンク
スポンサーリンク
終末
終末

(2025年 韓国)
ディザスター映画かと思いきや、意外な捻りの効いた意欲的な作品。その心意気は買いたいのだが、如何せん構成力・演出力が追い付いていなくて、ネタバラシの時点で関心が尽きてしまうのが悲しいところ

安定のネトフリクォリティ(悪い意味で)

Netflixで配信されているのを何気なく鑑賞。

作家主義を謳うネトフリは、作ると決めた作品には過干渉しないことで知られている(年間製作本数を考えるといちいち口出しもしきれないか)。

作家のビジョンを貫徹させることは一般的には美徳とされているが、中途半端な作家を自由にさせるとツメの甘い作品が生まれてしまう。

ネトフリのオリジナル映画はたいていその罠にハマってしまうのだが、本作も例に漏れず安定のネトフリクォリティだった。

確かに光るものはある。けれどそれを磨き切れていないのだ。

大洪水×ウザイ子供

主人公は、ソウルのタワマン住まいの母子家庭の親子。

ある朝、目を覚ますとたいそうな豪雨の真っただ中だったんだが、そうは言ってもここはタワマン、浸水なんてするわけないわよといつも通りの時間を過ごしていると、お部屋が床上浸水をはじめてこれはえらいことねというのが、ざっくりとしたあらすじ。

ひたすら上へ上へと目指すというシンプルなサバイバルの構図は『ポセイドン・アドベンチャー』を彷彿とさせ、そこに最新の映像技術を用いて未曽有の大災害を圧巻のビジュアルで描く。出足は上々だ。

なんだけど、ちょいちょい引っかかってくるのが子供の存在だ。

ハッキリ言うと、こいつが死ぬほどウザい。

「今が緊急事態の真っただ中である」という認識の欠けた言動を連打し、しかも仕草や顔立ちにも可愛げがない。

イヤ~な子供像を煮しめて作り上げたようなキャラクターであり、こいつが何かしゃべりだすたびにこちらの不快度数は上がる一方だった。

最後まで見ると、こいつがこれだけウザイことにも意味があったことが分かるのだけど、普通のディザスターものだと思っていた時点では厳しすぎるキャラクターだった。

そんな中、主人公には政府機関と思しき先から電話がかかってくる。

曰く、この大洪水は南極に小惑星が堕ちたことによるもので、間もなく地球は滅亡いたします。つきましては文明存続のためAIエンジニアであるあなたを保護に向かうので、屋上まで上がってきてください。

この電話をキューにして物語の緊張感は一気に高まるのだが、子供のウザさは相変わらずだ。

地球滅亡に当たり、優先的に生かされる道が開かれたにも関わらず「うんこがしてぇ」とか、マジで自重してほしい。

A.I.×オール・ユー・ニード・イズ・キル(ネタバレあり)

ここから大きくネタバレするので、未見の方はご注意いただきたい。

このウザい子供、実はアンドロイドの体にA.I.を載せた人造人間で、人間の感情をモデリングするため生身の母と同居していたということが明かされる。

で、政府機関(と思しき組織)としては、洪水前の時点でサンプリングが完了している子供側のデータを回収することと、母親側のモデルを完成させるため主人公に研究を続けさせることが目的というわけだ。

テクノロジーに親子の情愛を絡めたストーリーとしては、否応なしにスティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I.』(2001年)を彷彿とさせられる。

本作の子供がウザかったのは、ハーレイ・ジョエル・オスメント譲りだったのだ。

かくして主人公は宇宙船に載せられて宇宙ステーションへと送り込まれるのだが、その道程で宇宙船も流星群に襲われ主人公も絶命する。

この時点で上映時間の半分。

これから先どうするんだと思っていたら、またしても洪水の朝から物語が始まる。

どうやらここはバーチャル空間で、子供側のデータから再生された母親が、完全なる母性を獲得する正解パターンを見つけ出すまで、何度も何度も同じ日を繰り返しているようだ。

来ているTシャツの胸には番号が記されている。

おそらくこれは母親のバージョンだろう。すでにその数は2万を超えている。

何度もループされる修羅場からは、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)を彷彿とさせられた。

『オール・ユー~』では、ペラッペラなダメ男だったトム・クルーズが、次第に戦士の顔になっていくという成長譚が刻まれていたので面白かったのだが、一方本作の主人公はDAY1の時点から良い母親だったし、サバイバルにおいても明らかな失敗を犯していないので、成長の幅が小さい。

結果、彼女が経験するループが同じことの繰り返しに見えてしまい、全然面白くないのがつらかった。

初登場の時点で「頼りないが愛すべき主人公」を完璧に演じていたトム・クルーズって何気に凄い俳優なんだなと、こういう失敗作を見ると実感させられる。

またディザスターものからハードSFへの転換など、企画レベルでは面白くとも、いざやるとなると高度な構成力が必要とされる部分が何ともお粗末で、中盤で主人公が死ぬというサプライズすら観客に驚きをもって迎えられていないので、本作は企画倒れの映画だったといえる。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
記事が役立ったらクリック
スポンサーリンク

コメント