フロントライン_コロナよりも怖いマスコミ【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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実話もの
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(2025年 日本)
コロナ・パンデミックの最初の舞台であるダイヤモンド・プリンセス号の対応に当たったドクターたちの実録ドラマ。現場の足を引っ張るばかりだったマスコミと御用学者たちへの厳しい追及姿勢は興味深いが、娯楽作としての盛り上がりどころを逃しているので、面白くはない。

感想

このブログの「雑談」にも散々書き散らかしてきたが、コロナ禍における日本社会の過剰反応が物凄く嫌いだった。

そこにきてダイヤモンド・プリンス号の対応に当たる医師たちの雄姿を描いたという触れ込みの本作であるが、「コロナ怖い&医師ヨイショで、最後はお涙頂戴のいつもの日本映画だろ」と勝手に思いこみ、当初まったく食指が延びなかった。

なんだが、ある暇な日曜にアマプラで無料配信されてるのを見たら、思ってたのと全然違う話なので驚いた。

新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号に災害派遣医療チーム (DMAT)が派遣されるという概要を書くと、何とも簡単な話にも思えてくるが、実のところ現場は相当大変なものだったようだ。

問題はその”大変さ”の内容で、未知のウイルスとの戦いで苦戦したのならともかく、マスコミが日々垂れ流す風評こそがDMATを最も悩ませたものであったことが克明に描かれる。

事態の転換点となったのは六合承太郎(吹越満)という感染症専門医が、船内の感染対策が全然なっていないという動画を発信したこと。

騒ぎのネタが欲しいマスコミはこの動画を大きく扱い、DMATは国賊扱いを受け始める。

現場がうまくいっていないとの風評から関係各所との連携にヒビが入り、またウイルス感染しているのではないかと怯えた人々からの村八分に遭って隊員達の家族の社会生活は崩壊。意思決定も人繰りも一時的に困難な状態に陥る。

六合承太郎のモデルとなったのは、神戸大学の岩田健太郎教授である。

この人物の発信した動画のことはうっすら覚えているが、当時は私も含めた大勢がその発言を信用し、ダイヤモンド・プリンセス船内の状況は非常に劣悪なものであると思い込んでいた。

その後、岩田教授は動画を削除して実質的な発言撤回となったが、一度はこれを大々的に報じてしまったマスコミは訂正報道をすることもなく、「日本はダイヤモンド・プリンセスの対応にミスった」という印象のみがうっすらと残った。

加えて「感染予防」を口実に、ウイルスに近づいたとおぼしき人たちを差別することが公然とまかり通った。

それは患者だけではなく、疾病対策に取り組んでくれた医師に対してもである。

後世の人たちには信じられないかもしれないが、その社会風潮を主導したのはマスコミだった。

本件をきっかけにあらためてコロナ禍で起きたことを振り返ってみて、興味深い記事を発見した。

自民党議員がコロナ報道に「介入」を総務省に要求(志葉玲タイムス 2020年3月20日)

完全に暴走状態だった報道を前に、自民党議員が総務省に対し「事実と違う報道には指導をきちんとしていただけませんか」と質問をしたのだが、タイトルにもある通り、ジャーナリストたちは猛反発。

ただし庶民感覚からすると、コロナ禍という緊急事態において、マスコミという情報のプロが、面白おかしく記事を書き散らかしてる状態こそが問題であったし、この議員は「言論の自由に配慮しつつ、誤報にはちゃんと訂正報道を入れてくれ」と、割とまともなことを主張していた。

一方マスコミは、報道の自由が1ミリでも冒されると判断すると蜂の巣をつついたように大騒ぎするのが恒例であり、この発言もまた「報道への圧力」という仰々しい言葉で封殺された。

「報道の自由」とはそんなに大事なものなのだろうか?

なおこの発言をしたのは、現経済安全保障大臣の小野寺紀美議員である。

現在の小野寺氏は、記者からの場違い質問に対し毅然と言い返すことで大衆支持を獲得しているが、マスコミと対峙する彼女の姿勢は入閣の5年以上も前からのものだったことを今回知り、なんとも感慨深いものがあった。

閑話休題

兎にも角にもマスコミは、視聴者がテレビに釘付けになるようなネタを探していたのである。

芸能人の不倫のようなどうでもいいネタで視聴率稼ぎに興じるのは結構なことであるが、ウイルスパンデミックという緊急事態を煽りに煽りまくるのはさすがに迷惑極まりないし、乗客たちの命を心配しているようで弄んでいる様には嫌悪感を覚えた。

作品内では、医師たちはコロナウイルスに対してではなく、もしも死人を出したらマスコミになんて書かれるかということに怯えきっている。

病院によっては、風評を恐れて患者の受け入れを渋るほどの状態に至っており、マスコミは対策を進めて欲しいんだか邪魔してるんだかよく分からん状況となっていた。

とある病院の理事会。

いったんはダイヤモンド・プリンセスの乗客受け入れに同意していたものの、件の六合教授の落とした爆弾と、その後の現場に対する風当たりの強さから「やっぱ無理~」と決定を翻す。

それに苛立った主人公の小栗旬は「パンデミック対応は医療従事者としての仕事の本質であり、これができないと言う奴は、一生医療業界から身を引け」と、実に的確なツッコミを入れる。

フィクションならば、この発言で全員がハタと目を覚まし、ここから対策が進んでいくのであるが、どこまでもリアリティにこだわる本作では、小栗旬や窪塚洋介がいかに良いことを言ったところで、大勢は変わっていかない。

ただ地道に対応を繰り返していくのみの作劇なので、正直なところ、映画としてはあまり面白くない。

面白くはないんだけど、ウイルスパンデミックでこんなことが起こったという記録として、後世に残していきたい作品ではある。

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