スーパーティーチャー 熱血格闘_ド兄先生の教育論が熱い【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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青春もの

(2018年 香港)
特殊部隊上がりのドニー・イェンが高校教師になるというコメディとしか思えない題材なのですが、意外と真面目な教育論がぶち込まれていて、その主張は傾聴に値します。ただしドラマ部分には日本の学園ものをトレースしただけという雑さがあって、映画としてはさほど洗練されていなかったので評価低めです。

感想

教師役のドニーがなかなかイケる

特殊部隊あがりの凄い奴が、思うところあって高校教師になる。この概要でほぼ説明のつく素直な話です。

教育現場にアクションヒーローが上がり込む映画といえばアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『キンダガートン・コップ』(1990年)やトム・ベレンジャー主演の『野獣教師』(1996年)といった先例があるのですが、それらが潜入捜査のため先生に化けているというものだったのに対して、本作のドニー・イェンは本業として教師を選択していることが差別化ポイントとなっています。

このド兄先生ですが、カルチャーギャップに戸惑っていたシュワ、終始殺気立っていたベレンジャーとは違って、教師としての芯を持ち、教え子たちを優しいまなざしで見守っており、良い先生ぶりが実に板についています。

生徒が関心を持てる話題から授業を始め、抜群の話術で授業に取り込んでいく様などは、普通に学園ものとして完成されていました。

不良に対して鉄拳制裁を喰らわせていたベレンジャーとは打って変わって、ド兄先生は決して生徒に手を上げることはしないし。あくまで粘り強い対話で問題を解決しようとしており、その様は金八先生のようでした。

そういえば金八先生こと武田鉄矢も『刑事物語』シリーズでは日本映画界屈指のカンフー使いぶりを披露しており、カンフーと教育界は道を求めるという点で意外に親和性があるのかもしれません。

知恵は力なりという教え

ド兄先生が一貫して訴えるのは「知恵は力なり」という教えです。

教室には5人の問題児がいて、彼らは家庭環境などに問題があってまともに勉強していないのですが、ド兄先生は知恵こそが現状を打破する力であると教えます。

そして進学実績を重んじて不良を退学処分にしようとする校長に対しても、学校は彼らにこそ知恵を授けてあげるべきと食い下がります。

今の日本では「学力がすべてではない」「子供のやりたいことを後押ししてあげよう」という甘ったれた教育論や、格差は厳に存在しているにも関わらず表面的な平等性で誤魔化すような中途半端な平等主義が蔓延っていますが、ド兄先生は社会の本質から逃げません。

  • 自己実現のために勉強は大事
  • 生まれ付いた環境による有利不利は厳に存在する
  • 不利な環境に置かれた者こそ知恵を身に付けろ

ぐぅの音も出ないド正論です。

ド兄先生は音楽の好きな生徒には歌う舞台を、車の好きな生徒には運転する機会を与えたりもするのですが、だからと言って夢に向かって走れという腑抜けたことは言いません。

夢を追いかけるにも勉強は大事。目の前の学力テストや高等教育への進学という問題にはきちんと取り組ませようとします。なんという立派な姿勢なのでしょうか。

日本の学園ドラマのダイジェストのような内容

そんなわけでド兄先生の教育哲学には感服せざるを得なかったのですが、ドラマの運び方はあまりうまくなかったので、映画としてはさほど洗練されていません。

不良5人組が教師の悪口を言う場面は『GTO』、教師が生徒を守るために戦う場面は『ごくせん』、教師が人生論や哲学を語る様は『金八先生』と、既視感ありありの場面が続きます。

また、ド兄先生が各生徒の問題を解決して回るパートもお手軽すぎ。

10年ものの筋金入りのアル中親父を説得して断酒会に送り込んだり、男尊女卑的な家庭環境をたちどころに改善したりと、あまりの仕事の速さにご都合主義しか感じませんでした。

教育論の部分ではなかなか重いことを言っていたのに、別の面では人も環境も簡単に変えられるという実に楽観的な内容になっているので、バランスの悪さも感じたし。

問題児の数を減らしてでも、一案件を丁寧に描くというアプローチを取るべきだったと思います。

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