からかい上手の高木さん(実写映画)_あまりに無惨な出来【2点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

スポンサーリンク
スポンサーリンク
その他コミック
その他コミック

(2024年 日本)
人気漫画の10年後を描いた実写版だけど、掘り下げるべきドラマが見つからなかったのか、薄めるだけ薄めた水っぽいカルピスのような出来になっている。邦画界がこんなひどい映画を作っていては、若い映画ファンが育たないだろうと不安になってきた。

感想

2018年にはアニメ化、2024年にはテレビドラマ化がなされた人気漫画の実写化企画で、テレビドラマの10年後が描かれる。

・・・ってことなんだけど、私は漫画もアニメもドラマもまったく見たことがない。知り合いの女性が見に行きたいというので、それに付き合って映画館に行った次第。

普段まったく見ないジャンルの映画だけあって、まず映画館の客層に驚いた。ほとんどが10代の女の子たち。40代のおっさんは僕一人なので、死ぬほど恥ずかしくなってきた。

『ゴジラvsコング』等の上映館で女性客を見かけることがあるが、彼女らはこんな思いであそこに座っていたのかと、その勇気を賞賛したい気持ちになった。

そして客層がこれだと内容も相当厳しいだろうと覚悟したが、実際、私にとっては厳しすぎる内容だった。全然面白くないの(笑)

ただし面白くないと感じたのは私一人ではなく、周囲の女の子たちも途中から椅子のひじ掛けにもたれかかるなど、明らかに飽きている様子だった。

鑑賞後、連れの女性にも聞いたが「面白くなかった。誘ってごめん」とのことだったので、単純に映画としての出来が悪かっただけだろう。

未読なりに推定可能な内容から原作はこんな感じだったのかと尋ねたところ、おおよそこれで合ってるとのこと↓

高木さんという中学生の美少女が、西片くんというフツメンに恋をして、いろいろちょっかいをかけるんだけど、西片くんがあまりに鈍感なのでイタズラがイタズラとして通ってしまう。そんな男女の意識のズレを描いた青春ラブコメディ。

これが原作および4月に放送されたテレビドラマのあらすじで、映画版では10年後に二人が再開してからの物語が描かれる。

原作のポイントは、精神の発達に個人差が現れる中学生という年齢設定と、美少女とフツメンというステータス差にあると思われる(読んでないので勝手な推測)。

精神年齢が幼くて恋愛に対する感度が低い上に、美少女から一方的に惚れられているとはゆめゆめ思ってもみないフツメンが、わが身に起こっていることを正しく認識できずに起こるスレ違い。

・・・勘の良い方ならお察しだろうが、主人公2人が成人の年齢に達した本映画版では、どうやってこのすれ違いを発生させるんだという問題が生じる。大人は中学生よりもフラットだ。

この問題への映画版の回答とは、西片をまったく成長させないということだった。

設定上は25歳ではあるが、恋とか愛とか全く分かりませんという、純粋無垢を通り越して完全なバカになっている。

大人西片が甘ったれた口調で「わからないよ~」「どうしよ~」とか言う様には虫唾が走った。

だいたい、西片を成長させないのであれば、10年後を舞台にした意味がないだろ。高校編でもいいわけだから。

西片を演じているのはイケメンの登竜門 仮面ライダー出身の高橋文哉(仮面ライダーゼロワン)

西片をイケメンにしてしまうと、美人とフツメンのコミュニケーション格差というもう一つの趣旨が没却しちゃうので、いよいよ二人のすれ違いは西片がバカだからの一点のみになってしまう。

さすがにこれはないだろう。念のため連れの女性にもあの西片はどうだったか、女性にとっては魅力的だったのかと確認したが、あれは酷いとのことだった。

そして監督も脚本家も、この企画には掘り下げるべきテーマがないと気づいていたのか、うす~い話をめちゃくちゃ引き延ばした構成になっている。一つ一つの場面が異様に長いのだ。

観客が一瞬で理解できる話を、たっぷりの間と堂々巡りの会話で5分10分続ける。

そんなことが繰り返された挙句のクライマックスは圧巻だった。高木さんと西片の二人が映ってるだけのシンプルな構図で、二人は付き合うという結論が分かり切った会話を、まったく動くことのないカメラワークで延々10分以上に渡って見せる。

喫茶店で隣の席の会話に耳を傾けてる方がまだ楽しいわというほどの酷い内容で、これを映画と呼ぶのはさすがにどうかと思った。

そんな手間ひまも金もかかってない映画だったので、エンドロールが異常に短いのが笑った。スタッフもキャストも最少人数で作られているのだ。

あと江口洋介の扱いね。

高木さんと西片の中学時代の担任で、10年後も現役なんだけど、Vシネのブルース・ウィリスみたいにいくつかの場面にちょこっと顔を出してるだけ。拘束数日のお手軽な仕事だったんだろうと、こちらもまたカックンだった。

こんな手抜き映画ばかり作ってると、若い映画ファンが育たないだろうと不安になってきた。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
記事が役立ったらクリック
スポンサーリンク

コメント

  1. yujin23duo より:

    どうせならこの勢いで漫画やアニメも見てみるのは如何でしょう、

  2. 匿名 より:

    典型的主演女優ありきで作られた映画って感じですよね。
    私も正直この西片を見て、言い方はあれですが、発達面に問題を抱えたキャラクターなのかと邪推しちゃう程で。
    映画を作るにしても、大人になった高木さんの公式スピンオフ漫画があるんだから、それを準拠にして作ればいいのに、と…。

    上の方もおっしゃる通り、アニメ版は見ていて損はない作品ですよ!
    オタク向けアニメではありますが、高木さんの余裕たっぷりな強キャラ感や、ギリギリでくっつかない寸止めな甘酸っぱさが、いわば若い子を虜にした魅力でした。