(2023年 日本)
前作とほぼ区別がつかなくなるほど、話の内容も合戦の流れも『2』と酷似しており、連続で見ると満足度はかなり低め。あと信の人間離れした跳躍をアリとしたら、もう何でもアリになってしまうので、あれはやめた方がいいと思う。

感想
大ヒットシリーズ『キングダム』の第3弾だけど、なぜ今回よりタイトルにナンバリングされなくなったのかは分からない(本ブログでは区別がつくようにナンバーを入れている)。
『1』(2019年)には厳しめの評価をした一方で、『2』(2022年)は良かった。
そして『2』と同時撮影されたと思しき本作の内容は前作と酷似しており、面白いっちゃ面白いんだけど、同じ映画を2回連続で見せられた気分になったので、『2』よりも評価は落ちるかな。
隣国・趙が大軍勢を率いて秦国領土への侵攻を開始し、秦国軍は王騎(大沢たかお)を総大将にこれを迎え撃つというのが、ざっくりとしたあらすじ。
前作との違いは敵国が魏か趙か程度のことで、相変わらず秦国軍は内部がまとまらず数的劣勢状態にある。
ここまでくると、バラバラに動く将軍や宰相たちこそが秦国最大の脅威であり、外敵と戦うよりも内部に巣食う不満分子の粛清の方が重要じゃないかって気もしてくる。
嬴政(吉沢亮)が王騎を総大将に任命する際にも丁寧な説明を要する。王が家臣に「引き受けてくれますか?」とお伺いし、その思いを丁寧に伝えなければならないのだから、秦国王宮の学級崩壊ぶりもかなりのものだ。
その説得の際に嬴政の思い出話が披露されるのだが、これがまぁ長いこと長いこと。
幼少期、趙国に人質として取られていた嬴政の立場が危なくなり、闇商人 紫夏(杏)の助けを借りて趙を脱出するのだが、ゴール直前で紫夏は殺されてしまう。
恩人の死に無念と憤りを感じた嬴政は、この戦乱の世を終わらせるためにも中華統一を果たさねばならないと決意したのだけど、嬴政の回想であるにも関わらず一部に紫夏の回想が紛れ込むなど、映画文法的には出鱈目なことになっている。
また戦乱の世を終わらせたいと言いながら、結局武力統一を図ろうとしているのだから、そもそもの目的と実際やってることとの乖離でスッキリしないものがあったり。
というわけで、嬴政の回想が中心となる前半パートはあんまり面白くなかった。
後半でようやく戦が始まるんだけど、見た目がほぼほぼ前作と同じなので、こうして感想を書くために思い出そうとしても、どっちがどっちだか区別がつかなくなっている。
今回、主人公 信(山崎賢人)は百人隊を率いており、趙軍のNo.2 馮忌(片岡愛之助)の首を取るという特殊任務を、王騎 総大将から直々に仰せつかっている。
そんな彼らの奮闘が後半の軸になるのだけれど、本隊が陽動をしている隙に信が親玉の首を取りに行くという流れは『1』『2』から変化がなく、毎回毎回同じ戦法なのでいい加減飽きてくる。
信は大勢の敵兵を一人で相手にできる超人だし、彼が率いる農民兵たちも、こちらが数的不利な状態であっても将軍の周囲を固める精鋭部隊とやり合える猛者揃いなので、もはや勝てる気しかない。
最終的には、人間離れした跳躍力で護衛を飛び越した信が馮忌のクビを跳ねるという、これをアリとしたらもう何でもアリになっちゃうだろという大技でフィニッシュ。
穂先メンマやわらぎを食べた時のような顔で討ち死にする愛之助
大将の首を取られた瞬間にピタっと動きを止める趙軍
依然として数的優位は続いているのだから戦い続ければいいのに。劣勢の側が大将のクビまで取られて「もう終わったわ」となるなら分かるんだけど・・・
そんなこんなで後半の合戦場面も納得感がなかったし、これは原作の問題なのだろうけど、戦の流れがワンパターンなのも引っかかった。
残るは最新作一本のみだけど、四度同じような合戦を見せられるのはツライかなぁ。
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