(2018年 中国)
中国初のフルCGアニメで、かの国らしくいろんな過去作品からの影響が見て取れるのですが、アニメとしてはハイクォリティなのでパクりと切って捨てられないレベルには達しています。ただし文化の違いか主人公の個性が余りにも自己中心的すぎて、自分的に受け付けなかったことがマイナスでした。
いろいろとパクっている模様
あらすじは『アイ、ロボット』
一般家庭にもロボットが普及した世界において、地球のために人類を打倒せねばならないと考えるお節介AIが隠し機能を搭載した新型ロボを販売するという陰謀があり、その陰謀に気付いた博士がスーパーロボを作ってこれに対抗しようとする。
そして主人公はロボット嫌いだが、なんだかんだあってスーパーロボと打ち解けてAIの陰謀に対抗しようとするという本作のあらすじは、2003年にウィル・スミスが主演した『アイ,ロボット』とまったく同じです。
『ターミネーター』『マクロス』も
そして、悪ガキが戦闘ロボのパワーにまず引かれて悪用するものの、そのうち協力して大きな危機に立ち向かうというメインプロットは『ターミネーター2』そのものだったし、細かいネタでは主役ロボ・7723の武装の紹介で「フェイズドプラズマライフル」という言葉が出てくるのですが、これは『ターミネーター』第一作においてターミネーターが銃器店で武器を揃える際に、年代ミスであげた未来の武器の名前でした。
また、敵ロボの最終形態がまんまマクロスのSDF-1だったり、主役ロボのミサイルの独特の動きがまさに板野サーカスだったりと、マクロスからの影響もかなり見て取れました。
ただしバカにはできないクォリティ
ここまで読んでいただくと、「なんだ、中国製のパクリ映画か」と思われるかもしれませんが、本作の戦闘シーンは世界トップレベルに達しており、パクリとバカにはできないクォリティを実現しています。
流線形の7723の動きの美しさとバカでかい敵ロボの物々しさの対比や、スピーディなんだけど見辛くなる一歩手前に踏みとどまった演出のバランス感覚など、戦闘シーンは圧巻の仕上がりとなっています。
主人公が自己中心的すぎる
ただし、主人公・メイにまったく感情移入できないという点が作品のボトルネックとなっています。
自分を慕ってくる7723を邪険に扱う様や、憂さ晴らしに7723の武器を悪用する様は自己中すぎました。『ターミネーター2』のジョンが許せるレベルのやんちゃぶりだとすると、本作のメイは許せないレベルのやんちゃぶりであり、視聴者が嫌悪感を抱くレベルです。
また、7723はメイを理解しようと努力しているのに対して、メイの方はあくまで面白半分で7723を使っていて、そこに双方向の友情らしきものがないという点も『ターミネーター2』との違いとなっています。
そもそも7723がメイに執着している理由もよく分からず、ドラマパートは総じてうまく機能していません。
あと、彼女の憂さ晴らしで7723は他のロボットを攻撃するのですが、愛嬌のある顔をしているロボット達が7723に真っ二つにされる様にはかなり異様なものがありました。この辺りは中国と日本の倫理観の違いによるものなのでしょうか?
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