[2014年日本映画]
6点/10点満点中
■ダメダメな安藤サクラが最高
悪い目付きにプリンになった茶髪という容姿ではあるがヤンキーというわけでもなく、妹との掴み合いでは劣勢に立たされるし、ムカつく相手に対してキレたりもしない。自分をレイプして処女を奪ったおっさんに対してすら怒りを向けず、「あ、そうっすかぁ・・・」みたいな感じですべてをやり過ごす一子のダメ人間ぶりが最高であり、物凄く悲惨な話が淡々と、というかダラダラと続く前半にはすっかりハマってしまいました。ダメ人間なんだけど多少の可愛げがあり、ブスなんだけど多少の色気のある一子役への安藤サクラのハマリ具合も素晴らしく、「これは日本の『ナポレオン・ダイナマイト』だ!」とひたすら感心してしまいました。
■一子の変貌がいきなり過ぎて大事なドラマを逃している
ただし、ホレた男に裏切られた瞬間に一子のダメさが一瞬で吹っ飛び、へなちょこパンチが突然キレッキレになるという展開には、ちょっと乗れませんでした。人間、誰しも自分のダメさ加減を認識して「変わらなきゃ」という目的意識を持つ瞬間はあるのですが、変わりたくてもすぐには変われないことが人生の難しさではありませんか?心ではキレッキレのパンチを出したいのにどうしてもへなちょこパンチしか出せなくて、出来ない自分にイラついたり、このままずっと出来ないかもしれないのにいつまで努力を続けるのかと絶望したり、人から笑われることに耐えたりしながら、それでも諦めずにサンドバックを叩き続けることで、少しずつキレッキレに近づいていくという点にこそドラマが宿ると思うのですが、本作においては、その地味で辛い部分がすっ飛ばされてるんですね。心にボっと火が点いた瞬間に別人に変われるのであれば、世の中は立派な人で溢れてますよ。
低予算であるために時間がとれず、前半のブヨブヨ体形をたった10日でボクサー体形にしたという安藤サクラの女優魂には恐れ入ったのですが、それでも後半はちょっと面白くありませんでした。
100 Yen Love
監督:武正晴
脚本:足立紳
製作:間宮登良松
出演者:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平
音楽:海田庄吾
主題歌:クリープハイプ「百八円の恋」
撮影:西村博光
編集:洲崎千恵子
製作会社:東映ビデオ
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
公開:2014年12月20日
上映時間:113分
製作国:日本
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