ドリーム ホーム 99%を操る男たち【6点/10点満点中_後半失速する】

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6点/10点満点中

個人的に楽しめる題材でした

余談ですが、私が子供の頃、父親が失業して住宅ローンを返済できなくなり、生まれてこの方住んできた家を処分せざるをえなくなった経験がありました。その時の悔しいとか情けないとか恥ずかしいとかって記憶とも相俟って、本作を興味深く鑑賞することができました。

序盤のインパクトの凄さ

冒頭、主人公の家に不動産ブローカーがいきなり押しかけ、「貴重品だけ持って2分以内に退去しろ」と言われる場面のインパクトは絶大です。

どう聞いても無茶な話なのですが、不動産屋は裁判所の命令書を持ち、さらには地元保安官まで従えており、法は不動産屋の味方なのです。「俺の家に勝手に入るな。不法侵入だ」と主張しても、「この家は銀行のもので、不法侵入してるのはあんたの方だ」と言い返される。世の中には様々な不条理があるが、法だけは弱者の味方をしてくれるだろうという庶民の淡い期待を裏切る構図がそこでは繰り広げられており、その絶望感はハンパなものではありません。

また、どれだけ金に困っていても、子供にだけは「うちのオヤジ、テンパってんな」ってところは見せたくないのが親心ですが、この最悪のタイミングで子供が下校し、まさに追い出しにかかられているところを見られてしまうという辛さ。冒頭は本当に痛い描写の連続で心をえぐられました。

個人のドラマから社会的な問題を提起する見事な中盤

その後は、何とか金を稼がねばならんとオヤジが焦り、いくつかの偶然から憎き不動産ブローカーの元で働くこととなるのですが(ゾッド将軍の元で悪事に手を染めるスパイダーマンという配役が笑わせます)、「金を稼ぐのに好き嫌いは言っちゃおれん」という彼の姿勢には、これまた共感させられました。家族の生活を守ることとは、それほど重要なことなのです。

主人公は国の補助金制度を悪用した詐欺でゾッド将軍から実力を認められ、その後、債務者の追い出し業務にも就くこととなるのですが、つい数日前に家を追い出された主人公が今度は追い出す側となることで、観客は同じ行為を別の視点から観察することが可能となります。冒頭では不動産ブローカーが悪の根源のように見えていたが、実際には彼らは法に基づいて動いているのみであり、問題は国の仕組みにあることがこの捻じれた構図から導き出されるようになっているのです。この構成は見事なものだと思いました。

後半がぬるくて腰砕け

ただし、面白いのは中盤まで。残念ながら、後半になると共感できない展開が多くなってしまいます。

まず、主人公は稼いだ金でプール付きの大きな家を家族のために購入するのですが、「私達が欲しいのは前に住んでいた家であって、こんな豪邸じゃない」とワガママを言い出すローラ・ダーンがとにかくめんどくさくて仕方ありませんでした。一家の大黒柱が、どんな思いでこの家を買ったと思ってるんだと小1時間説教したくなりました。

また、最後の最後で主人公に良心が芽生える点にも違和感を覚えました。黙っていれば永久にバレない悪事を告白して赤の他人を救うのですが、あれだけ悪事にどっぷり浸かっていた主人公が、ここにきて正義に目覚める様は綺麗事のように感じられてしまいました。また、主人公が社会的に死ぬことは家族を路頭に迷わせることであり、他人を救うために自分と自分の家族を犠牲にするなんていうことが不合理にも感じられました。

不動産ブローカーと主人公は自業自得で破滅するようなラストの方が、作品の趣旨には合っていたように思います。

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