アノマリサ【6点/10点満点中_カウフマンワールド全開の理解不能なヘンテコアニメ】

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[2015年アメリカ]

6点/10点満点中

■全員同じ顔・同じ声

すべての人が同じ顔・同じ声だというマイケルの症状は脳科学的にはフレゴリの錯覚と言い、彼は精神疾患を患った状態にあります。なお、彼が宿泊するホテルの”フレゴリ”という名前は、この症名に由来すると思われます。

これを発症しているマイケルの肩書がカスタマーサービスのエキスパートという点が興味深いのですが、彼はよく知りもしない赤の他人にも誠心誠意接することを心掛ける中で世のすべての人々が均質化し、他人の区別がつかなくなったという背景を持っています。彼の主観はまさに地獄であり、自分以外の他人がすべて同一人物にしか見えず、話し声もすべて同一人物のもの。そんな中で自分とその他大勢以外の第三の声を聞き、その持ち主の女性であるリサという女性と一夜の関係を結ぶことがこの作品の概要となります。

■最初は特別だった人間関係が重荷へと変貌していく

マイケルはリサとの出会いに心底感謝し、奥さんとは離婚するから自分に付いて来て欲しいとリサに懇願します。しかし、これにOKされた瞬間にリサの存在はマイケルにとっての義務に変貌し、リサの細かい仕草やクセが気に障るようになり、そのうちリサの顔や声もその他大勢のモブと同化してしまいます。このくだりは、口説く時には熱心だったにも関わらず自分のものになった途端に女性への気持ちが急激に冷める男性の身勝手さを描いているような気がしたし、もっと普遍的な人間関係を描いているような気もしました。

リサだけではなく、今やモブ化している奥さんだって子供だって友人だって最初はみんなマイケルにとって特別な存在だったはずなのに、惰性の中でその特別感が薄れていったのかもしれません。前述した通りマイケルは対人スキルのエキスパートであり、だからこそ家族にも友人にも恵まれているのでしょうが、誰にも分け隔てなく親切に接する人には、実は誰も愛していないのではないかという逆説性があります。赤の他人を特別な身内と同一視できるということには、裏を返せば特別な身内も赤の他人と紙一重の存在でしかないという危うさがあるのです。

■よくわからなかったこと

チャーリー・カウフマンが「多様な解釈の余地を残した」と言っている通り、本作には一見するとよく分からない要素がいくつか含まれています。本当によく分からなかったので、列挙だけしておきます。

【舞妓人形の意味】

中盤にてマイケルはアダルトショップでボロボロの舞妓人形を購入するのですが、この人形にはそこそこの尺が割かれている割には本編での立ち位置が不明確であり、この人形を無視しても作品解釈は成立することから、なんだか気味の悪い存在に感じられました。よって、これを無理に解釈してみます。

ラストでリサの顔には傷があることが判明するのですが、この傷の位置が舞妓人形の傷と一致することから、リサとの一夜は舞妓人形を購入したマイケルの妄想であったとの考え方もできます。舞妓人形を見たマイケルの奥さんの「精液みたいなものがついてるけど」というセリフからもそれは裏付けられるのですが、この説をとると作品解釈が全体変わってくることから何だかしっくりきません。

【夢の意味】

マイケルはリサとの一夜において夢を見ます。ホテルの支配人に呼び出されて地下のオフィスに行くと、そこは真ん中に大きな穴のあいただだっ広いスペースであり、その奥に支配人のデスクがあります。そこで支配人から「私はあなたを愛しています。リサとは関係しないでください」と言われるのですが、この夢のくだりは本当に意味が分かりませんでした。

この空虚なオフィスはマイケルの心象風景であり、支配人はマイケルの意識から外れた人々を象徴しており、あなたに忘れ去られた人々との関係をまずは大事にしなさいというメッセージとして解釈すればいいのでしょうか。よくわかりませんね。

Anomalisa
監督:チャーリー・カウフマン,デューク・ジョンソン
製作:ロサ・トラン,デューク・ジョンソン,チャーリー・カウフマン,ディーノ・スタマトプロス
製作総指揮:ジェームズ・A・フィーノ,ダン・ハーモン,ジョー・ルッソ二世,キース・コルダー,ジェシカ・コルダー,アーロン・ミッチェル,カッサンドラ・ミッチェル
脚本:チャーリー・カウフマン
撮影:ジョー・パサレッリ
編集:ギャレット・エルキンズ
音楽:カーター・バーウェル
出演:デヴィッド・シューリス,ジェニファー・ジェイソン・リー,トム・ヌーナン

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