グランド・ジョー【8点/10点満点中_群を抜く貧困ドラマ】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2013年 アメリカ)
違法な伐採業の仕切りをしているジョーの元に、ゲイリーという少年が仕事が欲しいとやってくる。ジョーはゲイリーを受け入れることにするが、ゲイリーの家庭環境は貧困地域の中でも群を抜いて悪く、ジョーはゲイリーの面倒を見るようになっていく。

8点/10点満点中 闇が深すぎて目が離せない

ニコラス・ケイジが本気出しましたよ

借金返済のため手あたり次第にB級映画に出演しまくっており、TSUTAYAには八の字眉毛で困った顔をしたニコラス・ケイジ主演作が何本も並んでいて、もはやどれがどれだか区別のつかない状況となっています。

たまに見てみれば、いつも同じ表情・同じ演技でやっつけ感全開であり、悪い意味でスティーブン・セガールと並ぶハリウッドのVシネ王の座に君臨しているのがここ10年のニコラス・ケイジですが、本来の彼はオスカー受賞経験を持つ演技派でした。本作は、そんなケイジが10年ぶりに本気を出した作品であり、やはりこの人は演技ができる人なのだということを再認識させられました。

白人貧困層の物語

本作はレッドネックと呼ばれる南部の白人貧困層を扱った作品です。要は、『悪魔のいけにえ』で主人公を襲っていた側の人たちですね。教養がなく、仕事も金もなく、刑務所入りは当たり前で、酒飲んで売春宿に行くことが最大の娯楽という生活を何世代にも渡って続けており、おそらく彼らの子の世代も同じことを繰り返すのだろうという閉塞感に満ちた地域の実情を描いたドラマでした。

まさにド底辺なのですが、そんな環境においても比較的マシな状態にある主人公・ジョーと、群を抜いて酷い状態にある少年・ゲイリーの交流が、なかなか感動的に描かれています。

見応えのある演技

オスカー俳優・ニコラス・ケイジ

地域からの信頼を得ている人物ではあるが、ストレスが許容範囲を超えると破滅型の一面を覗かせるというジョー役にニコラス・ケイジが完全にハマっており、包容力と危険性の両面を見事に表現しています。そうそう、ニコラス・ケイジって本来はこういう役者だったんだよなと、演技派の帰還にはとても嬉しくなりました。

貧困子役・タイ・シェリダン

そんなジョーと交流するゲイリー役にはタイ・シェリダン。最近でこそ『X-MEN:アポカリプス』や『レディ・プレイヤー1』と言った大作に出演していますが、ちょっと前まではマシュー・マコノヒー主演の『MUD-マッド-』やシャーリーズ・セロン主演の『ダーク・プレイス』等、ハリウッドの貧困子役として大活躍していました。『レディ・プライヤー1』でも貧困層役でしたか。まぁずっとそういうイメージでやってきてる人ってことです。本作でも、実に安定的な演技を見せています。

父・ウェイドがいろいろとヤバイ

同情の余地のないクズっぷり

そんなジョーとゲイリーを揺さぶるのがゲイリーの父親であるウェイドですが、その同情の余地のないクズっぷりには目が釘付けになりました。ウェイドにあるのは狂気でもないんですよね。人間としての根幹部分から完全に間違っている正真正銘のクズとでも言うか、もうそれは貧困とか生活苦とかって言葉で説明がつくようなレベルではなく、そもそもがおかしい人間なのです。

さらに、息子であるゲイリーとは異常に年が離れており、父親というよりも祖父にしか見えない点が気になったのですが、これについてはゲイリーの母親はウェイドの娘でもあり、ゲイリーは近親相姦により生まれた子であるとの裏設定があると解釈しました。

もはやモンスター映画

ウェイドの存在感は本編中突出しているのですが、他の登場人物達にとっても観客にとってもまったく理解不能なメンタリティと、彼が関わると物事が必ず悪い方向へと進み始めるという厄病神感から、もはやモンスターに等しい存在と化していました。途中から「ゲイリー、早く逃げて!」と思いながら観てましたからね。

ウェイドの存在は本当に不快だったのですが、その異様な存在感が作品における重要なアクセントとなっており、上記の通りのニコラス・ケイジやタイ・シェリダンの上質な演技との間で見事な化学反応が起きています。

ウェイド役のゲイリー・ポールターについて

ウェイドを演じたゲイリー・ポールターなる人物はなんと本物。キャスティング担当がテキサスで偶然見つけたホームレスを使ったようです。ポールターは本作の撮影終了後に再びホームレス生活に戻り、映画の公開前に溺死体で発見されたと言いますから、映画の内容が現実の事件で裏付けされた形になり、余計に本作の後味を悪いものとしています(本作における後味の悪さとは褒め言葉です)。

本物の迫力がすごいことになっているゲイリー・ポールターさん
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