クロース:孤独のボディーガード【4点/10点満点中_ノオミ・ラパス以外すべてつまらない】(ネタバレあり感想)

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エージェント・殺し屋
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4点/10点満点中

■ノオミ・ラパスが良い

冒頭、ノオミ・ラパス扮するサムは紛争地で報道記者とカメラマンの護衛をしています。
砂漠を車で走っていると武装勢力からの襲撃を受け、運転手は射殺。AK47で武装した敵相手に、こちらはたった一人で2名の警護対象を守らなければならないという窮地に陥るものの、サムは冷静に対応して複数人の敵を返り討ちに遭わせます。

この冒頭でサムのスキルの高さや腹の座り方が描かれるのですが、ノオミ・ラパスの身のこなしには説得力があったし、修羅場をくぐり抜けてきた者らしい雰囲気もあって、彼女は非常に様になっていました。

■出来が悪すぎて大幅にカットされた?

と、冒頭こそ良かったものの、すぐに不安が襲ってきました。
大富豪の娘・ゾーイのボディーガード(男)がゾーイに手を出してしまい、彼女の継母・リマは彼を解雇。
交代要員として女性のボディーガードを要望されたので1週間という期間限定でサムが雇われてゾーイの警護に付くのですが、そもそも気難しい10代の小娘である上に、お気に入りの前任者を外されたのでゾーイは超不機嫌。サムとゾーイの初日は最悪なものでした。
そこから二人が信頼関係を築く過程が描かれるのかと思いきや、場面は一気にサムの最終日にまで飛び、そこにはサムへの感謝を素直に表現するゾーイの姿がありました。
二人のドラマがあまりに飛んでしまっているので、何か重要な場面を見落としたのかと思ってちょっと巻き戻したのですが、やはり見落としはありませんでした。
恐らくそこにあったであろうドラマが全カットされていたのです。

こうした不自然な編集には悪い予感しかしませんでした。
いったん完成させた映画の出来があまりに悪すぎてプロデューサー達によってズタズタにカットされ、監督としても自分の作品の出来が悪すぎて言い返せないような状況が出現していたことが想像できてしまうからです。

■企画段階にはあったはずの重厚さが欠けている

そして、その悪い予感は的中しました。
異国の地から脱出しつつ陰謀の首謀者を突き止めるというサスペンスアクションとして全体がうまく回っておらず、矢継ぎ早にイベントを垂れ流しているだけで観客も一緒に推理するという形になっていないので、単純に面白くありませんでした。

ゾーイとサムの脱出劇を作品の縦糸とすると、リン鉱石の採掘権を巡ってのイギリス企業vs中国企業のパワーゲームが横糸だったと思うのですが、特に後者はかなり適当に処理されてしまうので、作品の一要素が完全に死んでいます。
本来はもっとじっくり考えさせられるような重厚な内容だったものが、あまりに出来が悪すぎて90分でサクっと見られるライトな娯楽アクションに改造されたのだろうと推測されます。

※注意!ここからネタバレします。

■頭の悪い奴が足を引っ張る展開

庵野秀明監督が「頭の悪い奴が足を引っ張る展開が嫌い」という趣旨の発言をしていましたが、本作にはそうした展開がいくつかあったこともマイナスでした。
特にサムとゾーイが立て籠もった屋敷に敵・味方が押し掛けてくるクライマックス。地元警察は買収されていて信用できないということでリマは警備会社を引き連れてやってくるのですが、屋敷にはリマ一人で入って行って、案の定、ピンチに陥るというアホなことになります。
またゾーイはゾーイで、リマがピンチと見るや、戦闘のプロであるサムが隣にいるにも関わらず自らがリマの元に走って行き、余計に事態を悪化させると言うアホなことをします。
自ら危険を呼び込むような二人の行動には、「なんでそんなバカなことをするんだよ」と見ていてフラストレーションが溜まりました。

■敵が手抜きをしているようにしか見えないアクション

また彼女らを脅かす敵の構成員らもアホ揃いで、レイプしようとしてサムやゾーイに隙を突かれるという展開が何度かあるのですが、国際的な謀略戦が背景にあって、組織からの指示で動いている人間がそんな土壇場でレイプなんて考えるだろうかと、こちらもあまりに不自然で萎えてしまいました。
全般的に男性側が不自然な隙を作ったり、格闘で本気を出していないように見えた点はマイナスでした。

主人公達をピンチに陥れたいのでそのシチュエーションが不自然に発生し、そして彼女たちにピンチを切り抜けさせねばならないので、不自然な形で形勢が逆転するという、そういうことを繰り返すわけです。
こんなサスペンスアクションには手に汗握れませんね。

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監督:ヴィッキー・ジューソン
製作:ルパート・ウィテカー、ジェイソン・ニューマーク、ヴィッキー・ジューソン
製作総指揮:サラ・ラドクリフ、ノオミ・ラパス
脚本:ヴィッキー・ジューソン、ルパート・ウィテカー
撮影:マルテ・ローゼンフェルト
編集:リチャード・スミザー
出演:ノオミ・ラパス、ソフィー・ネリッセ、インディラ・ヴァルマ、オーエン・マッケン
上映時間:94分
製作国:イギリス、アメリカ合衆国
配給:Netflix
公開日:2019年1月18日

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