(2022年 アメリカ)
滅茶苦茶に面白かったです!分けて見るつもりが、1日で全話見てしまいました。大柄なリーチャーは原作通りだし、アクションは見応え十分。ミステリーとしてもよく出来ており、最後の最後まで存分に楽しませていただきました。
登場人物
リーチャーの関係者
- ジャック・リーチャー:元軍警察官で、多数の受勲歴を持つ。除隊後には家も車も電話も持たず、年金で生活する風来坊となっている。音楽ファンであり、ブルース歌手の聖地巡礼のためにジョージア州マーグレイブを訪れたところ、あまりにも目立ちすぎる体格が災いして殺人犯に間違えられて逮捕された。「正確さは重要だ」と言って相手の発言を訂正する癖がある。
- ジョー・リーチャー:ジャックの兄。マーグレイブにて死体で見つかる。生前はシークレット・サービスで通貨偽造の捜査をしていた。
- ジョセフィーヌ・リーチャー:ジャックとジョーの母で、フランス人。夫の仕事場である米軍基地内でトラブルを起こしたジャック少年を責めず(正義があったのはジャックの方)、「直感に従って動きなさい」との言葉を残す。これがジャックとジョーの仕事観に繋がっている。
- フランシス・ニーグリー:リーチャーの元部下にして友人。現在は私立探偵で、リーチャーの依頼でメンフィスでの調査業務を引き受ける。
マーグレイブ警察
- オスカー・フィンリー:地元警察の警部。ハーバード卒だがボストンを離れて田舎町マーグレイブに赴任してきた。北部訛りがあるため地元に馴染めていない。別れた妻への未練を抱え、禁煙中でイライラしている。人柄は良くないが、悪の手が回っていないためリーチャーと行動を共にすることとなる。
- ロスコー・コンクリン:地元の巡査で、当初よりリーチャーに対して好意的。リーチャー、フィンリーと共に事件の捜査を行う。先祖代々マーグレイブの住民だが、少女期に両親を失い、警察官のグレイに育てられた。
- グローヴァー・ティール:市長で、モリソン署長が殺された後には臨時の警察署長に就任。クライナーとはずぶずぶの関係であり、彼を嗅ぎ回るフィンリーとロスコーに圧力をかける。
- ジャスパー:地元の検視官。田舎町であるため殺人事件は未経験。
- スティーブンソン:地元の警察官で、ハブルの従兄弟。
- ベイカー:地元の警察官。
- エドワード・モリソン:警察署長で、自宅にて死体で発見される。
クライナー工業
- クライナー:5年前にセントルイスからモーズリーにやってきた実業家。いくつもの会社を設立したことから街の繁栄の基礎となり、地元民からは尊敬されている
- KJ:クライナーのバカ息子で、ロスコーに気がある。
- ドーソン:クライナーの甥で、いつもKJと一緒にいる。
- ピート・ジョブリン:発見された死体の一人。クライナーのもとでトラック運転手をしていたが、職業には見合わぬ裕福な生活を送っていた。
マーグレイブの住人
- ポール・ハブル:善良な銀行マンで、通貨担当だった。発見された射殺体に彼の電話番号のメモが入っていたことから捜査線上にあがり、黒幕の陰に怯えて容疑を認めたことから一時的に収監された。
- チャーリー・ハブル:ポールの妻で、二人の娘がいる。身に危険が迫ったためピカードに保護される。
- モーズリー:バーバーの店主。古くからのマーグレイブの住人で、市長やクライナーに対する反感を抱いている。
その他
- タナー・スパイビー:リーチャーとハブルが収監された刑務所の刑務官。本来は安全に隔離すべき二人を凶悪犯と同じ区画に入れて、暗殺しようとした。
- ピカード:FBI捜査官。旧友のフィンリーから応援を要請され、ハブルの家族を保護する。
- モリー・ベス・ゴードン:安全保障省局員で、生前のジョー・リーチャーの同僚。リーチャーの捜査に協力して、生前のジョーが残した書類の提供を約束する。
- カスティーリョ教授:コロンビア大学の教授で、ジョーの捜査協力者だった。
感想
真・ジャック・リーチャー
ジャック・リーチャーと言えば、トム・クルーズが主演した『アウトロー』(2012年)と『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(2016年)という2本の映画版があって、私は結構好きでした。
が、2メートル近い大男という設定のリーチャーを、170cmあるなしのトム・クルーズが演じたことには批判も多く、大した結果も残せないまま映画シリーズは終了しましたが、今回、Amazonスタジオさんが原作通りのジャック・リーチャーを作ってくれましたよ!
演じるのは『ミュータント・タートル』シリーズや『TITANS/タイタンズ』のアラン・リッチソン。
これら代表作が示す通り、浮世離れした見た目の俳優さんであり、190cm近い身長にムキムキボディと、ジャック・リーチャーを演じるにふさわしいルックスを持っています。
映画版を支持すると言った私ですら、リッチソンのリーチャーを見てしまうとトム・クルーズのリーチャーには違和感しか感じなくなったわけで、それほどリッチソンははまり役だったといえます。
第1話の初登場場面では、連れの女性を怒鳴るチンピラを睨みつけるだけで黙らせるのですが、今回のリーチャーにはそれだけの威圧感が備わっています。
どう見ても普通の人間じゃないという。
そして、肉体の屈強さに負けず劣らず頭脳も明晰であることがリーチャーの特徴なのですが、「〇〇は△△だった。だから××であるはずだ」という推理もばっちりと決まっており、リッチソン演じるリーチャーが、ちゃんと優秀な男に見えるという点も秀逸でした。
加えて、リーチャーの一本気なところが時として笑いに転化されているのですが、リッチソンは絶妙なコメディセンスでこれもこなしています。
彼以上の俳優はちょっと思いつかないほどのハマり具合であり、もしも彼が続投してくれるのであれば、永遠にでもこのシリーズを見続けていたいほどです。
犯罪ミステリーとして破格の面白さ
そんな主人公に加えて、物語も最高でした。
大好きなブルース歌手の聖地巡礼のため人口1700人の小さな町にやってきたリーチャーが、殺人容疑者となったことからこの町の裏側にある汚職と戦うことになるというのが、ざっくりとしたあらすじ。
その犠牲者の一人が兄ジョーだったことから、俄然、リーチャーは捜査にのめり込みます。で、
- 偽札捜査官だったジョーは、この町の何を調べていたのか
- 以前に環境保護局からも調べられていたようだが、それと今回の件はどう関係するのか
という2つの謎が提示され、リーチャーは点と点を線で結ぶ地道な捜査活動を行っていくのですが、散りばめられた謎がクライマックスに向けてピタっと重なり、一つの大きな陰謀を形作るという構成には唸らされました。
また、終盤で明かされる謎の正体にもガッカリ感がなく、広げまくった大風呂敷をちゃんと畳めているという点でもポイント高かったです。
加えて、意外な展開や裏切りも違和感なく織り込めており、実に上質なミステリーとなっています。
アクションも見ごたえあり
そんなミステリーに加えて、アクションの出来にも目を見張るものがありました。
リーチャーの巨体からは数々の殺人技が繰り出され、刃物や銃器の扱いにも長けている。ジェイソン・ボーンもかくやという怒涛のアクションヒーローぶりを見せてくれるのです。
リーチャーはいきなり手を出すのではなく、「今のうちにやめておいた方がいいぞ」などと牽制の一言を言う場合が多いのですが、それを聞き入れなかった敵を予告通りにボコボコにするという有言実行ぶりもかっこよかったですね。
シーズンクライマックスでは巨悪をくじくのですが、圧倒的な戦力で卑怯な奴らを痛めつける様には反撃のカタルシスが宿っており、西洋の水戸黄門といった風情までを感じました。
Amazonスタジオさん、良いドラマ作りましたね!
コメント
こんにちは。
私も言わんドラゴさんと同じくトム・クルーズ版も楽しんだくちなのですが、
おっしゃるとおり、本作の出来はすごくよかったと感じました。
原作も数冊読んだのですが、原作イメージはまさにドラマ版なんだろうと。
Season2の制作も決定したようなので楽しみですが不安もちょっとあります。
というのも同じくAmazonオリジナルのJackRyanもS1はとても楽しめたのですが、
S2は急にクオリティが下がった気がして個人的にはあまり楽しめませんでした。
ReacherのS2でJackRyanと同じようなことが起きないとよいなぁと思っています。
原作を読まれた方でも高評価ということは、やはり本作は出来が良かったということですね。
Amazonスタジオのオリジナルコンテンツが安定していないというご指摘も、その通りだと思います。
デヴィッド・フィンチャーやウォシャウスキー姉妹らと組んだ作家主導の作品からオリジナルコンテンツを始めたネットフリックスとは対照的に、Amazonは有望なコンテンツを買い付けてくるという企画主導のスタイルをとっていますが、その体制に問題があるのではとも思っています。
オリジナルコンテンツといっても制作過程に結構違いがあるんですね、
知りませんでした。
私はネットフリックスは加入していませんが(amazonとdisneyのみ)、
気になるオリジナル作品も結構あるなぁと思っていたので、
今回のお話を聞いて俄然関心が強まってきました。
ありがとうございます。
シュワちゃんのコマンドーに似た感覚を覚えた。シーズン2を作りたいから最後は放浪する描写にしたのだろうが、個人的には美しいロスコーと一緒に幸せに暮らして欲しかった。
人間関係を蓄積していかず、旅をした先々でトラブルに巻き込まれるという「裸の大将」方式でいくんでしょうね