トレイン・ミッション【4点/10点満点中_犯人の行動が出鱈目でつまらない】(ネタバレあり感想)

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4点/10点満点中

リーアム・ニーソン主演×ジャウム・コレット=セラ監督の4作目

リーアム・ニーソンと言えばコンスタントにB級アクションに出演しつつ、その合間でスコセッシやコーエン兄弟の映画に出演するという特異なタイプの俳優となっていますが、『96時間』にリーアム・ニーソンを主演させてセガール扱いをしたリュック・ベッソンがアクション俳優ニーソンの生みの親だとすると、ジャウム・コレット=セラこそがその定着に一役買った育ての親だと言えます。2011年の『アンノウン』を皮切りに『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』と来て、よほど気が合うのか本作がコンビ4作目となります。

この監督の映画はどれも導入部は非常に素晴らしいものの、広げた大風呂敷を畳めずにアクションで有耶無耶にして終わるという特徴があるのですが、本作もその残念な傾向から脱することができず、エンドロールを眺めながら「なんでこうなった」という思いに浸る内容となっています。

サラリーマンが異常事態に巻き込まれていく序盤のみ良い

例に漏れず序盤だけはいいんですよね。主人公・マコーリーが日々出勤する様が映し出され、こうして家族の日常を支えてきた善良な男であるということが示されるのですが、国籍を問わず多くの人々に思い当たるような場面の切り取り方が実に良く、このイントロを見るだけで泣ける人もいるんじゃないのってほどの完成度なのです。また、いつも通りに出勤して真面目に仕事をしていると「お前は稼ぎに見合った仕事をしていない」として年下の上司からクビを言い渡され、古くからの友人に「家族にどう説明すればいいんだ」と相談する辺りのリアリティも素晴らしく、ニーソンとセラは非常に良い仕事をしています。

その後、ヴェラ・ファーミガから「人探しをしてくれたら10万ドルあげます」と実に怪しい話を持ち掛けられ、前金の2万5千ドルを隠してあるという車両内のトイレに行くと本当に大金を発見。これから息子の学費がかかるというタイミングでリストラされた身にはオアシスのような金なので多少魔が差す瞬間がありつつも、積極的には話には乗れないという中で徐々に引き返せない状況へと追い込まれていきます。まずは見知らぬ女に持ちかけられた話を疑い、本当に金があったという事実に驚き、いかにも怪しい金を受け取るかどうか迷うというプロセスをちゃんと入れているので、主人公の心の揺れに不自然な部分がないし、こんなことを依頼してくる女の目的とは一体何なんだという関心も惹きつけられました。

犯人の要求が無理筋すぎる

ただし、肝心の本編は序盤の期待値を維持できていませんでした。だいたい、顔と名前どころか性別も年代も分からない、バッグを持っていることと終着駅で降りることの二つの情報しかないたった一人の乗客を、降車駅に到着するまでに探せという犯人グループの要求がそもそも無理筋すぎますよね。「元警官だから人探しは得意でしょ」って、無理だってば。また、いくら金で釣ったり家族をネタに脅したりしても、最終的に思い通りに動いてくれる保証のない部外者のマコーリーを使うという計画自体の不確実性も何とかならなかったんですかね。降車駅にスナイパーを配置するか爆弾を仕掛けるかして、ターゲットが電車を降りた瞬間に殺すという方法の方が確実だと思います。

犯人がなぜこんなにクソめんどくさい方法を選択したのかという点にまったく説得力がなく、頭に浮かんでくるのは疑問符ばかりなので映画に集中できませんでした。序盤の前振りが良くて期待値を上げられた分、あまりに考えの足らない本編にガッカリ感が増すのでした。

※ここからネタバレします

そもそも論を無視した後半の大スペクタクル

さらに、汚職絡みの殺人事件を揉み消すというそもそもの目的がありながら、証人の暗殺に失敗しそうだと見るや、列車を脱線させて乗客を皆殺しにしようとするという殺人事件の比ではない大犯罪を起こす犯人グループ。目的に対して手段があまりにも整合しておらず、最後に一発大きなイベントが欲しかったという製作側の意図しか透けて見えないガッカリな見せ場に手に汗握ることはありませんでした。

また、この見せ場ではリーアム・ニーソンのスーパーマンぶりも悪い方向で作用しています。暴走中の列車から乗客が乗っている最後尾車両のみを切り離すという無茶苦茶なことをするのですが、暴走側の車両で一生懸命連結を外す作業をしていたニーソンが、列車が脱線した瞬間に「とぉー!」と飛んで最後尾車両にビタンと張り付いて危機一髪助かったぜ!という、人間技を大きく逸脱したパフォーマンスを披露。さっきまでは犯人からの脅しにビクビクする地に足の着いた人物像だったのに、ここに来て何でもありのスーパーマンに変身しちゃうのかいと呆れてしまいました。

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The Commuter
監督:ジャウム・コレット=セラ
脚本:バイロン・ウィリンガー、フィリップ・デ・ブラシ、ライアン・イングル
原案:バイロン・ウィリンガー、フィリップ・デ・ブラシ
製作:アンドリュー・ローナ、アレックス・ハインマン
製作総指揮:マイケル・ドライヤー、フアン・ソラ、ジャウマ・コレット=セラ、ロン・ハルパーン、ディディエ・ルプファー
出演者:リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ジョナサン・バンクス、サム・ニール
音楽:ロケ・バニョス
撮影:ポール・キャメロン
編集:ニコラス・デ・トス
製作会社:スタジオカナル、ザ・ピクチャー・カンパニー、オンブラ・フィルムズ
配給:ライオンズゲート(米)、ギャガ(日)
公開:2018年1月12日(米)、2018年3月30日(日)
上映時間:105分
製作国:アメリカ合衆国、イギリス、フランス

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