ボディガード -守るべきもの-【6点/10点満点中_最終回で失速する】(ネタバレあり・感想・解説)

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陰謀

6点/10点満点中

BBCの高視聴率ドラマ

本国イギリスにおいては2018年8月26日から9月23日にかけて放送され、BBCでは2008年以降でもっとも高視聴率を記録したドラマとなり、その後10月24日より全世界にてインターネット配信が開始され、こちらでも高評価を獲得しているようです。

プロがプロらしく映った素晴らしいドラマ

主人公・バッドはアフガン派兵でPTSDを患っているものの、警官としては依然として優秀であるため、暗殺の危険を抱えているモンタギュー内務大臣の身辺警護に選任されます。このような設定をとっている場合、ロクでもないタイミングで主人公がPTSDを発症させてピンチに陥るという、見ていてまったく気持ちの良くない展開を入れられることが娯楽作の常なのですが、幸いなことに本作ではそうしたしょーもないものは見せられずに済みました。仕事中は精神疾患の欠片も見せずプロフェッショナルに徹するため、見ていてとても気持ちが良いのです。また、職務中のキリっとした姿と、帰宅後の崩壊したプライベートとの落差から彼の心の傷の深さを表現することに成功しており、キャラクター描写が非常に優れたドラマだと感心しました。

さらに、感情のスイッチが完全に壊れているバッドは家庭においては厄介な亭主扱いされ、特に奥さんからは距離を置かれているのに対して、頼れるプロの顔を見せているモンタギューからは熱烈アピールを受けるという点にも合理性が感じられ、モンタギューとバッドの関係にも唐突感はありませんでした。職場ではかっこいいところも見せてまぁまぁ尊敬もされているのに、家に帰るとダメ親父扱いという現象は、多くの男性にも心当たりがあるのではないでしょうか。

※注意!ここからネタバレします。

容疑者多数のサスペンス

ボディガード(原題も同じ)というタイトルはひとつのミスディレクションとなっており、主要登場人物と思われたモンタギューが第3話で暗殺したところから、作品のテーマは要人警護から犯人捜しへとシフトしていきます。物語の中盤でモンタギューがアッサリ死んだことには心底驚かされました。

そして、本作最大の見どころは様々な動機を持った人物・組織のうち、一体誰が暗殺犯なのかを推理する楽しみであり、出てくる人間が全員怪しい、主人公までが信用できないというミステリーはかなり楽しめました。

イスラム系テロリスト

モンタギューが主導する対テロ法案の取り締まり対象であり、タカ派政治家の存在にもっとも迷惑している人たち。ロンドン市内で2度のテロ未遂事件を起こしており、暗殺事件を起こす動機も遂行する能力も持っている。

与党

現首相を差し置いてトップに上り詰めようとしているモンタギューを警戒している。

警視庁

上司のモンタギューより無能扱いを受け、冷遇されてきた。さらにはモンタギューが急接近したMI5に担当領域を侵食されかけており、モンタギューを排除する動機を持っている。

MI5

本編に登場するすべての組織の中でもっとも不気味であり、行動原理がよく分からない。モンタギューとの関係性は不明だが何らかの利害関係は存在していた様子で、その利害を侵されたために彼女を排除したとも推測される。

退役軍人グループ

自分達を戦地に送り出して不幸にした元凶がモンタギューのようなタカ派政治家であるが、払った犠牲に対して冷淡なモンタギューの態度に怒りを持っている。

主人公・バッド

退役軍人グループ同様に政治家としてのモンタギューには怒りを持っており、常に身近にいるため様々な工作が可能。暗殺の動機も機会も持った人物の一人。

一気に失速した最終話

とまぁ途中までは絶好調に面白かったんですが、最終話で一気に失速しました。

やたら長い爆弾エピソード

最終話でバッドは爆弾ベストを装着された状態で街に放たれ、いつ爆死させられるか分からないわ、駆け付けた警官隊からはテロリスト扱いされるわで散々な目に遭わされるのですが、前話までで提示された謎の大半がいまだ未消化のままでやることがいっぱいあるはずの最終話において、この爆弾エピソードに大半の尺を使っているという歪な構成にまずイライラさせられました。

また、SO15(警視庁テロ対策指令部)の対応がアホすぎることにもフラストレーションが溜まりました。SO15の担当捜査官はバッドを暗殺犯と考えていた上に、捜査の過程でバッドからウソをつかれていために個人的な感情も悪化しており、本件においては「あんな奴は人けのないところで爆死すればいいんだ」という態度を取り続けるのですが、いやいや、重要事件の第一容疑者だからこそ生きた状態で捕らえて真相を明らかにさせなきゃいけないでしょと思うのですが。

また、顔中血だらけでボロをまとうという普通の状態ではないバッドを見れば、「爆弾は自分の意思で身に付けたものではない。ハメられたんだ」という彼の必死の説明には相当な信憑性が感じられるはずだし、バッドの機転によってMI5の工作員の身柄を確保したことからも彼の潔白を信用するに足る局面は十分にあったはずなのに、一貫して「てめぇがウワサの爆弾魔か!」という姿勢で全員が望んでいるので、彼らの低能ぶりは観ていられませんでした。

真相をベラベラと話し始める暗殺関係者たち

爆弾エピソードに尺の大半を食われたためか、終盤は異常な駆け足となります。それまでのじっくりとした謎解きがウソのように次々と事件関係者の名前が判明し、捕らえるとベラベラと何でも教えてくれるという激安ぶり。こんなに簡単に自白する奴らがよく今まで秘密を守れてきたなとキャラの変貌ぶりに戸惑うと同時に、それまでは動きのあるドラマで見せてきた謎解きが、突然口頭での説明のみによって収束していくことへの落胆もありました。

意外性を狙いすぎて失敗した真犯人

また、事件の首謀者がテロの被害者にして捜査への協力者ポジションにいたナディアだったったというオチにも物語全体を通した必然性が薄く、サプライズのため無理やり犯人にされたかのような悪い印象を持ちました。だいたい、警視庁の爆弾処理班でも解体は五分五分と言うほどの高性能な仕掛け爆弾を作れるナディアはテロ組織にとっては超貴重な人材であり、そんな彼女をテロ事件の最前線に立たせるようなバカなことをしますかね?こんなことであれば、容疑者として挙がっていたその他の人物・組織にしてくれた方がまだ腑に落ちたと思います。

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Bodyguard
企画:ジェド・マーキュリオ
製作総指揮:サイモン・ヒース、ジェド・マーキュリオ
出演:リチャード・マッデン、キーリー・ホーズ、ソフィー・ランドル、ピッパ・ヘイウッド、ポール・レディ、ニコラス・グリーヴス、トム・ブルック、ヴィンセント・フランクリン、マット・ストーキー、クレア=ルイーズ・コードウェル、シュバム・サラフ、スチュアート・ボウマン、ステファニー・ハイアム、アッシュ・タンドン、ニーナ・トゥーサント=ホワイト、ジーナ・マッキー、リチャード・リデル、デヴィッド・ウェストヘッド
放映日:2018年8月26日~2018年9月23日
放送局:BBC One
製作国:イギリス

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