リズム・セクション_下手くそすぎるスパイもの【2点/10点満点中】(ネタバレなし・感想・解説)

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エージェント・殺し屋
エージェント・殺し屋

(2020年 アメリカ)
007シリーズのイオンプロが、女殺し屋をテーマにシリーズ化する気満々で作った映画なのですが、話の説明が驚くほど下手くそで驚きの展開がまったく盛り上がらず、素晴らしい見せ場がたまにあるだけのつまらない作品になっていました。

作品解説

『007』シリーズ製作陣がプロデュース

本作はマイク・バーネル著『堕天使の報復』(1999年)を原作とし、バーネル自身が脚色を行いました。

『007』シリーズでお馴染みのイオン・プロが製作し、バーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンもプロデューサーとして名を連ねています。またスタッフも『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)とかなり共通していたようです(少なくとも60名)。

小説は「ステファニー・パトリック」シリーズとして続編が刊行されており、本映画化企画も同じようにシリーズ化を意図したものだと思われます。

全米では記録的不入り

本作は2020年1月31日に全米公開されたのですが、初動でたったの271万ドルしか稼げず初登場10位。劇場一館あたりの平均売り上げは891ドルで、3000館以上で公開された作品で劇場一館あたりの売り上げが1000ドルを下回る初のケースとなりました。

全世界トータルグロスは598万ドルで、製作費5000万ドルの作品としては残念過ぎる結果でした。

感想

説明が下手くそ・話が面白くない

主人公は、3年前に飛行機事故で両親と兄弟を亡くした若い女性ステファニー・パトリック(ブレイク・ライヴリー)。

オックスフォードの優秀な学生だったステファニーは事故後に身を持ち崩し、売春宿で日銭を稼ぐまでに堕ちていたのですが、そこにキース・プロクターという記者がやってきて、あれは事故ではなく爆弾テロだったと伝えます。

そこからステファニーは元MI6工作員イアン・ボイド(ジュード・ロウ)に弟子入りし、殺人スキルを習得してテロの黒幕へ復讐することがザクっとしたあらすじなのですが、どうしてこんなに下手くそにできるのかというほどストーリーテリングが下手くそで、主人公に感情移入どころか基本的な話すら頭に入ってきませんでした。

例えばステファニーがイアンの元での修業を始める場面。イアンは人里離れた場所で隠居しており、自分の身の上を知られたくない様子なのですが、その割には驚くほどアッサリとステファニーを受け入れて修行を開始するので、何か大事なシーンを飛ばしたかと思いました。

「復讐したいなら殺し屋を雇え」「そんなお金ないから殺し方を教えて」

ほぼこの二つ返事で殺し屋修業が始まるのですが、アポなしでやってきたステファニーを監禁するほどの慎重な姿勢をとっていたはずのイアンが突然軟化したように見えるため、画面で起こっていることを感覚的に掴みかねるわけです。

訓練もランニングや水泳など基礎体力作りから入るので、なんか回りくどい。その割に格闘や銃撃の訓練はアッサリめだし、上映時間の使い方を間違っているように感じます。

それはミッションに入ってからも同様。

基本的にステファニーが首尾よく殺しをやり遂げるということはなく、ターゲットに接近するが何かしらうまくいかずに格闘やチェイスが始まるのですが、”静”の部分をアッサリ終わらせて突然”動”が始まるので、「今何が起こったっけ?」と一瞬戸惑ってしまいます。

こうした不手際の結果、007のスタッフが作り上げた素晴らしい見せ場が台無しになっていました。

こんな下手くそな作り方をしている監督は一体誰だと思って調べてみると、異様にモタモタした終末もの『孤独なふりした世界で』(2018年)のリード・モラーノだったので、ああなるほどねって感じでした。

2作連続ダメだったので、今後はこの監督の作品は避けるようにします。

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