オール・イズ・ロスト〜最後の手紙〜【8点/10点満点中_本当に焦ってる人間は喋らない】(ネタバレなし・感想・解説)

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(2013年 アメリカ)
海上を漂っていたコンテナに衝突し、ヨットが沈み始めた。無線は水没して使い物にならない。唯一の生存の道は、一秒でも長くヨットを浮かべておき偶然発見される可能性を高めることのみだった。

8点/10点満点中 プロの仕事ぶりだけで100分をもたせた驚異の演出と演技

プロフェッショナルの仕事ぶり

だだっ広い大海原で唯一の生命線であるヨットが浸水し、無線機まで壊れた。
この序盤の時点で普通の人間ならパニックを起こしているところですが、主人公は慌てず騒がずやるべきことを淡々とこなし続けます。
むしろ、少しでも感傷的になるとまともな精神状態ではいられなくなりそうだから、自らにジョブを課し続けることで正気を保っているようにも見えます。

そうした姿勢も含めてプロフェッショナルの塊のような男なのですが、タフな精神力と航海士としての確かな腕前を持ったこの主人公役にロバート・レッドフォードは適役でした。
バックグラウンドに係る説明が一切なくても、彼の挙動を見るだけで熟練の航海士であることは観客に対してはっきりと伝わってきます。

なお、本作でのレッドフォードの演技は批評家からの絶賛を受けたものの、オスカーにはノミネートすらされなかったことが問題視されました。
アカデミーは一体何を基準に選んでいるんだと。
レッドフォード自身によると、ノミネートのためのキャンペーンを映画会社がしなかったのだろうとのことでしたが、本当に良いものが見落とされる映画賞ってどうなのという気がします。

何をしても根本解決には至らないという恐怖

しかし、大自然の前では人間の存在などちっぽけなもので、的確な判断を繰り返したところで状況は好転せず、それどころか生存可能なスペースはじわじわと減っていきます。
これがとにかく怖いのです。
どれだけ的確な行動をとってもそれらは対処療法に過ぎず、海水がどんどん迫ってくることの恐怖。
主人公に自力で帰還する道は残されておらず、できる限り長く生存して偶然発見される可能性を少しでも高めるしかないという絶望的な戦いを強いられます。

長編第2作目にして円熟の演出

『マージン・コール』で素晴らしい手腕を披露したJ・C・チャンダーの演出は引き続き絶好調であり、全編セリフなしという実験的な体裁をとり、さらには多くの観客にとっては馴染みのない海難事故を題材にしながらも、主人公が何をやっているのかがきちんと伝わるように作られているのだから驚かされます。

また、この手の映画にありがちなサメネタ、トビウオネタ、クジラネタに逃げることもなく、ひたすら海水との戦いに絞ったストイックな姿勢や、シンプルな内容でありながらも観客を退屈させないという絶妙なイベントの詰め込み方など、すべてにおいてレベルの高い作品だと思います。

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All Is Lost
監督:J・C・チャンダー
脚本:J・C・チャンダー
製作:ニール・ドッドソン、アンナ・ガーバー、ジャスティン・ナッピ、テディ・シュワルツマン
製作総指揮:ロバート・オグデン・バーナム、グレン・バスナー、ジョシュア・ブラム、ハワード・コーエン、エリック・ダルベロフ、カシアン・エルウィズ、コーリー・ムーサ、ザカリー・クイント、ローラ・リスター、ケヴィン・チューレン
出演者:ロバート・レッドフォード
音楽:アレックス・イーバート
撮影:フランク・G・デマルコ、ピーター・ズッカリーニ
編集:ピート・ボドロー
製作会社:ビフォア・ザ・ドア・ピクチャーズ、ワシントン・スクエア・フィルムズ
配給:ライオンズゲート(米)、ポニーキャニオン(日)
公開:2013年10月18日(米)、2014年3月14日(日)
上映時間:100分
製作国:アメリカ合衆国

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