ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー_長くて支離滅裂、MCU最低作品【2点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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マーベルコミック
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(2022年 アメリカ)
前作も個人的にはハマらなかったが、本作は輪をかけてつまらなかった。内容のわりに長すぎるし、登場人物たちの行動の筋が通ってなさすぎ。質低下が指摘されて久しいMCUだが、私の中では最低作は本作となった。

※注意!文句ばかり書いているので、作品を好きな方は閲覧注意でお願いします。

感想

長くて支離滅裂、MCU最低作品

世界的には好評だった前作『ブラックパンサー』(2018年)にハマらなかったうえに、MCU全体の質低下もあって、本作への期待値は上がらず、劇場での鑑賞はパスしていた。

それがこの度ディズニープラスに上がっていたことから、ようやっとの鑑賞となったのだが、これほど下がりきった期待値の中で見ても失望させられるほど、本作はつまらなかった。

つまらないし、展開は遅いし、やたらと暗い場面が多いしで、何度も寝落ち。3度目の鑑賞でようやく最後まで辿り着いたのだから、本作の惨状がお分かりいただけるだろう。

全編を通して「チャドウィックさん追悼式」みたいな内容で、前任者ならこうしたのにということをひたすら言い続けるだけ。急逝した主演俳優への敬意の表明は必要ではあったにせよ、ここまで執拗な追悼は故人すら望んでいないのではなかろうか。

そして肝心の内容はというと、チャドウィックさん追悼で埋め尽くしたのは必然だったといえるほど薄い。

急遽ブラックパンサーを担うことになったシュリ(レティーシャ・ライト)の成長譚が軸となるんだけど、そもそも彼女は脇で自由奔放にしているからこそ輝くキャラクターであって、主人公になるよう設計はされていないので、魅力は半減している。

そんなシュリの前に立ち塞がるのは海の王国タロカン帝国で、彼らがワカンダ王国を存亡の危機にまで追い込むことになるんだけど、その目的やら行動原理やらは支離滅裂。

詳しくは後述するが、とにかくこいつらの言ってることが意味不明だし、最終的にワカンダと戦争することになる流れにも必然性がなく、ぶつかり合うための口実が無理やりこじつけられただけのようにも感じた。

そしてもうひとりの主人公であるリリ・ウィリアムズ/アイアンハート(ドミニク・ソーン)は突然降って涌いたようなキャラクターで、彼女の物語にも面白味がない。理工系の天才という以外にはっきりとした個性がなく、そのバックボーンや信条が見えてこないのだ。

最初はまったく意図せぬ形だったとはいえ、彼女はワカンダvsタロカンの当事者となる。

では彼女はどんな心境でこれに臨んでいるのか、それは10代らしい冒険心なのか、持ち前の科学の腕をいかんなく振るえる場だとして張り切っているのか、自らの発明に対する責任を取っているのかが見えてこない。

太陽のような明るい雰囲気ではあったので、観客からの大きな支持を取り付けるポテンシャルはあったと思うんだけど、製作陣が彼女の良さを引き出せてあげていない感じがした。

詳しくは、年内の配信が予定されているドラマを見てねってことなのだろうか?

最近のMCUって、単体で成立させようという気がなくなっているのでよろしくない。

タロカンの言ってることが滅茶苦茶

とまぁ思いつく問題点をザっと書くだけでも↑のような感じになるんだけど、本作最大の問題点は、タロカン帝国の主張がおおよそ筋違いということだ。

タロカンはもともとメソアメリカの原住民だったんだけど、大航海時代のコンキスタドールに耐えかねていた矢先に、ヴィブラニウム成分を含んだ海藻を摂取したことで水棲の体質を得た民族である。

以降は陸上の人類からは身を隠して深海で生活してきたのだが、アメリカが深海のヴィブラニウム採掘を開始しようとしたことから、人類社会と対峙せざるを得なくなる。

そんな彼らがまず絡んでいったのが、同じくヴィブラニウムをテクノロジーの核とするワカンダ王国なんだけど、その理由がほぼ言いがかりレベル。

  • ワカンダが開国したせいで全世界がヴィブラニウムに注目した
  • その結果、タロカンの生活圏までが荒らされそうになっている
  • そもそもワカンダが開国しなければこんなことにはならなかったのだから、ワカンダは責任をとれ

そしてタロカンの要求とは、騒動の元凶であるヴィブラニウム探知機の発明者を拉致して来いというものであり、その人こそ後のアイアンハートことリリ・ウィリアムズなんだけど、さすがにそんな要求は滅茶苦茶なので、シュリはリリに危険を警告しに行く。

その後、タロカンは地上の国々を攻撃しなきゃ安心できないと言い出し、ヴィブラニウム探知機の発明こそが我々に対する宣戦布告のようなものだとか、物凄いことをバンバン言い始める。

そしてシュリに対して「ワカンダと我々が手を組んで、一緒に世界を滅ぼそう」と提案し、拒んだらお前らも敵と見做すとか、これまた0か100かの極端な要求をして、シュリを困らせる。

結局、ワカンダはタロカンからの攻撃を受けてしまうんだけど、直接的な敵対行動をとったでもなく、「協力してくれないなら敵」理論で本土を攻撃されるワカンダが気の毒になってくる。

ここで驚くのが、製作陣はタロカンを同情すべき背景を持つ、どちらかと言えば温厚な人々として描いているということだ。

やっていることはどう見ても獰猛な戦闘民族なのに、実は温厚な人たちですとか、一体どういう奴らなんだと。言ってることとやってることがあまりにも違いすぎて、私はついていけなかった。

なので、ワカンダがタロカンに反撃する終盤にも、コミック映画らしい興奮が宿っていない。タロカンはいい人達ですと言われてしまうと、ワカンダが彼らの軍隊を蹴散らしたところで「やったー!」と盛り上がることもできず、どういう心境で眺めればいいのか分からなくなった。

そしてこれはMCU全般の建付けの問題なのだけど、サノス戦の後にこういう強力な勢力が初登場すると、「指パッチンの時に君らは何をしてたんだ」という気持ちになる。

MCUという映画史上空前のシリーズも、そろそろ無理を隠し切れなくなっているように感じる。

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