キャプテン・マーベル【4点/10点満点中_意欲的なのは分かるけどつまらない】(ネタバレあり・感想)

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(2019年 アメリカ)
クリー人の戦士ヴァースには6年以上前の記憶がない。作戦中の事故で敵軍の兵士数名と共に地球に落下した彼女は、キーアイテムの争奪戦を繰り広げる過程で、思いもよらぬ自身の出自を知ることとなる。

4点/10点満点中 ヒーローものの盛り上がり所をことごとく外している

導入部の引きの強さ

主人公に記憶がなく、自分は一体何者なのかを探るドラマはアクション映画の定番で、直近では『アリータ:バトルエンジェル』もこのパターンでしたね。

観客と同じフラットな状態から物語がスタートし、物語の中でキャラクターが語られるというメリットがある手法なのですが、『メメント』状態で謎を散りばめた本作の導入部はなかなか魅力的でした。

キャプテン・マーベルの基本設定を知っている人たちが見るとどうだったのかは分からないのですが、彼女に係る知識のない状態で見た私は謎含みの展開に良い意味でかなり振り回されました。また、擬態能力を持つ敵・スクラルの存在により、目の前の人物が本物かどうかも分からないというもう一つのハードルも設定され、ヒロインが二重の困難に阻まれるという建付けも良かったと思います。

ニック・フューリーのエピソードゼロ

本作はニック・フューリーの物語でもありました。

シールドがヒーローを集めた特殊機関になる前、フューリーは捜査官として本件に関与するのですが、まだクールになる前のよく喋るフューリーが新鮮でした。また、エイジング処理によって若返ったサミュエル・L・ジャクソンの違和感のなさも凄いことになっていました。

ただし、テクノロジーでもサミュエルの体力面の面倒までは見られなかったのか、走ったりしゃがんだりがかなりキツそうだったのはご愛嬌ですが。もう70歳ですからね。

見せ場のない中盤がつまらなすぎる

これってヒーロー映画?

ロクな見せ場もない謎解きがいつまで経っても終わらないので、次第に「大丈夫か?この映画」と不安になってきます。

ストーリーが魅力的であること、語り口が斬新であることは結構なのですが、あくまでそれは追加要素であって、メインはヒーローがド派手に戦うことだと思うんですね。いくら出来が良くても、サブの要素が出しゃばり過ぎていたのでは「これじゃない」と思われてしまいます。

敵が弱すぎ

また、中盤までの障害となるスクラルって、序盤で主人公が圧倒していた相手ですよね。いったんはスクラルにとっ捕まって彼らの母船に拘束されたものの、戦力的には主人公が優勢であり、難なく拘束から逃れると彼らの軍団をたった一人で相手していました。

そんなスクラル数人との追っかけっこが盛り上がるはずがありません。主人公が勝つことが分かりきった相手なんだから。ハラハラドキドキさせられるよりも、本気出してカタを付けに行かない主人公へのフラストレーションの方が勝りました。こういう、戦力を拮抗させるためにどちらかが手を抜いているとしか思えない戦闘って嫌いです。

※ここからネタバレします。

ヒロイン覚醒後の戦闘が無意味

気合でパワーアップする様に興ざめ

ヒーロー/ヒロインが気合で「うぉ~!」となってエネルギー波がブワっと広がり、それまでとはレベルの違いすぎる技で敵を圧倒するという展開が私は大の苦手なのですが、本作もまさにそのパターンで興ざめでした。そういえば『ワンダーウーマン』のクライマックスもこんな感じだったし、主人公が女性の場合にはこうしなきゃいけないって決まりでもあるんでしょうか。

しかもその覚醒に伏線が張られていたわけでもなく、ただの気合なんですよね。例えば『ドラゴンボールZ』ではサイヤ人とは特殊な民族であり、スーパーサイヤ人という格上に昇華する者がごく稀に現れるという伏線を張りまくった上での悟空の覚醒があったんですが、本作にはそういうものもありません。ストレスを受けたヒロインが気合を入れるとパワーアップ。こういうご都合主義的な展開は面白くありません。

覚醒後の戦闘のつまらなさ

覚醒した瞬間にキャプテン・マーベルが起こしたエネルギー波は舞台となる巨大宇宙船全体の電気系統に影響を及ぼすほどの強力なものであり、ここから彼女は有機体を越えたエネルギー体へと生まれ変わりました。さっきまでの敵では相手にならないレベルであることはすでに明らかなのに、そこからダラダラダラダラと戦闘は続きます。

中盤で見せ場をセーブした分をここで一気に吐き出しているのだろうとは思うのですが、主人公の圧勝が分かりきったこの戦闘には何の感情も伴いませんでした。むしろ、主人公の勝算が低い覚醒前こそ見せ場の連続にすべきで、クライマックスはヒロインの覚醒でサクっと終わっていればよかったんですよ。『マトリックス』の第一作だってそうしてましたよね。

イラクを攻撃してしまったアメリカ軍の弁解

戦争とは何ぞやというテーマを打ち出すことはマーベル映画の定番となっています。

本作では、侵略者だと信じ込まされてきたスクラルこそが被害者で、主人公がついていた側が実は侵略者だったといいう善悪の転換がなされます。今まで善だと信じてスクラルを攻撃してきたことを主人公は反省し、スクラルの首領であるタロスに謝罪するのですが、これに対してタロスは「気にするな。戦争とはそういうものだ」と言います。

戦争を主導する人間に悪意はあっても、その言葉を信じて動く末端の兵士には責任はなく、お互いにやるべきことをやっただけだよねと。この考察は非常に深いと思ったのですが、同時に、アメリカ軍がやったことをアメリカ人が免罪するという流れでいいのかとも思いましたが。

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