ゲット・アウト【5点/10点満点中_12年前のコケ映画をパクったオスカー受賞作】

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[2017年アメリカ]

5点/10点満点中

■黒人が抱く居心地悪さの疑似体験

本作ではっきりと黒人を差別した白人って、鹿をはねた際に運転手でもない主人公に身分証提示を求めてきた警官だけで、他の白人には本心がよく分からないという気持ち悪さが常に付きまとっています。恋人のお父さんと話すと「オバマは良い大統領だよね。三選させたかったくらいだ」と言うし、ゴルファーだったというじいさんと話すと「ウッズは最高のプレイヤーだ」と言うのですが、主人公からすれば、それらの著名人を本心からリスペクトしての発言なのか、人種差別主義者だと思われたくないから社交辞令的に言っているだけなのかの区別がつきません。

人種差別が悪いことだという倫理観が浸透したのは良いものの、白人が露骨に差別してくることが少なくなった分、目の前の白人が本心から自分を歓迎しているのか、内面の敵意を取り繕った態度をとっているだけなのかの区別がつかないという、別次元の問題が発生しました。本作は恐らく映画史上初めて、そうした闇に潜った差別心の怖さを表現した作品であり、幸せな家族に笑顔で歓迎されているはずなのに、常に薄気味悪さが付き纏っているという絶妙な空気感が観客をも不安にさせます。

■白人による黒人文化の盗用が裏テーマ

本作で描かれる人種の対立構造はかなり特殊で、白人が黒人を脅かすという話ではあるものの、本作の白人達は黒人の能力に対するリスペクトを確かに持っており、リスペクトゆえにその能力の乗っ取りを企てようとしています。白人が黒人をモノとして扱うような差別的な態度を見せる一方で、白人が黒人になろうとする話なのです。

これって、一方で人種差別をしながら、もう一方で音楽やファッションなど黒人文化の優れた部分を吸収してきた白人による文化盗用を個人のレベルで表現したものなのかなと思いました。

■『スケルトン・キー』と同じ話

主人公が田舎の怪しげな豪邸に行き、不可思議な現象に巻き込まれた末に、自分の肉体を乗っ取られる話って、2005年にケイト・ハドソンが主演した『スケルトン・キー』とまったく同じ話ですよね。違いと言えば、『スケルトン・キー』が黒人に体を乗っ取られようとする白人の話だったのに対して、本作はその逆という点でしょうか。

上記の通り、本作は文化盗用をテーマにしながら、ヒットしなかった12年前のホラー映画のネタをパクるという姿勢は一体どうなのとは思いましたが。

■リアリティの醸成には失敗している

『スケルトン・キー』がアメリカ古呪術を基礎とした話だったのに対して、本作はそうした超常的な前提を置かず現実世界と地続きの物語になっている分、リアリティの面では厳しい点が多々見られました。

主人公を誘い込んだ彼女はいくらなんでも演技が完璧すぎるだろとか、お母さんの使う催眠術が無敵過ぎだったり、脳を入れ替えるという大手術を民家でやってるんかいとか、さすがに引っかかる部分が多くありました。こんなことならば、呪術やSFに逃げてしまった方が観客に対して余計な疑問を抱かせずに済んだような気がします。

監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
製作:ジェイソン・ブラム,ショーン・マッキトリック,エドワード・H・ハム・Jr.,ジョーダン・ピール
製作総指揮:レイモンド・マンスフィールド,クーパー・サミュエルソン,ショーン・レディック,ジャネット・ボルトゥルノ
出演者:ダニエル・カルーヤ,アリソン・ウィリアムズ,ブラッドリー・ウィットフォード,ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ,スティーヴン・ルート,キース・スタンフィールド,キャサリン・キーナー
音楽:マイケル・エイブルス
撮影:トビー・オリヴァー
編集:グレゴリー・プロトキン
製作会社:パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ,ブラムハウス・プロダクションズ,QCエンターテインメント
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(米),東宝東和(日)
公開:2017年2月24日(米),2017年10月27日(日本)
上映時間:103分
製作国:アメリカ合衆国

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