マイル22_タイトでかっこいいアクション映画【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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エージェント・殺し屋

(2018年 アメリカ)
二人の殺人マシーンが東南アジアを舞台に大暴れする見事なアクション映画であり、殺すことへの躊躇もなく敵をどんどんなぎ倒していく様には拍手喝采しそうになりました。全米公開時には批評的にも興行的にも苦戦したようなのですが、そんな前評判など気にしない気にしない。

あらすじ

ロシア蓮舫保安庁(FSB)によって放射性物質セシウムが奪われた。CIAエージェント・ジェームズ・シルバ(マーク・ウォルバーグ)が率いる作戦チームは米国内のFSBのアジトを急襲するが不発で、続いて東南アジアの国家インドカーにセシウムがあるとの情報を得て、現地へと飛んだ。

最初の摘発は空振りだったが、インドカーの元警官リー・ノア(イコ・ウワイス)が重要機密が入っているというハードディスクを持ってアメリカ大使館に現れる。このハードディスクは制限時間内に開封しなければ情報が自動消去される仕組みとなっているが、リーはアメリカ政府が自身の亡命を認めるまではパスワードを教えないと言う。

インドカー政府がリーの身柄引き渡しを求めてくる中で、CIAはリーの移送を決定する。

スタッフ・キャスト

監督は『ローン・サバイバー』のピーター・バーグ

1962年NY出身。元は俳優だったのですが、出演していたテレビドラマ『シカゴ・ホープ』(1995-1999年)で脚本や監督も務め、キャメロン・ディアス主演の『ベリー・バッド・ウェディング』(1998年)で長編監督デビューを果たしました。

マイケル・マン製作の『キングダム/見えざる敵』(2007年)あたりから写実的なアクション演出を披露するようになり、マーク・ウォルバーグと組んだ『ローン・サバイバー』(2013年)、『バーニング・オーシャン』(2016年)、『パトリオット・デイ』(2016年)で監督としての評価を確立しました。

純粋な娯楽路線に振り切った『ハンコック』(2008年)と『バトルシップ』(2012年)は失敗したため、以降、そのジャンルには手を付けていません。

脚本は作家のリー・カーペンター

本作の脚本を執筆したのは小説家のリー・カーペンター。プリンストン大学で英語の学位を、ハーバード大学でMBAを取得した才媛であり、フランシス・フォード・コッポラの文学雑誌『ゾーエトロープ』の編集者として活躍しました。

その後、彼女自身も小説を発表するようになり、戦争小説『11日間』(2014年)が高い評価を獲得しました。

なお、彼女は高名な化学者エルテール・イレネー・デュポン(1771-1834年)の子孫だと言うことです。

主演はマーク・ウォルバーグ

1971年ボストン出身。高校中退後には殺人未遂を始めとした犯罪三昧の日々を送り、警察のご厄介になること合計25回。古今東西、昔のワル自慢をする歌手・俳優は多くいますが、ウォルバーグと宇梶剛士はマジです。

兄ドニーの誘いでボーイ・バンドに参加し、アイドル的な人気を獲得。1994年に映画デビューし、数年間はレオナルド・ディカプリオの取り巻きの一人のような形で活動していましたが、ディカプリオが断った『ブギーナイツ』(1997年)の主演でブレイク。

面白いことに、ディカプリオは『ブギーナイツ』に出演しなかったことを後悔し、ウォルバーグは出演したことを後悔する発言をしています。ウォルバーグが『ブギーナイツ』を忌避しているのは、自身が敬虔なカトリックであるためだとか。

21世紀には娯楽大作の常連となり、ティム・バートン、マイケル・ベイ、リドリー・スコットといった多くの有名監督と仕事をしましたが、ピーター・バーグとの関係性は特に深く、本作を含めて5本もの作品でタッグを組んでいます。

共演は『ザ・レイド』のイコ・ウワイス

1983年ジャカルタ出身。彼の祖父はインドネシアの伝統武術シラットのマスターであり、10歳からシラットを学びました。2005年にはシラットの演武部門でチャンピオンとなり、ギャレス・エヴァンス監督に見いだされて『ザ・タイガーキッド 〜旅立ちの鉄拳〜』(2008年)に主演。

続く『ザ・レイド』(2011年)が世界的な人気を博したことから国際的な活躍をするようになり、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)にも出演しています。最新作はアクションシリーズ第3弾『G.I.ジョー: 漆黒のスネークアイズ』(2021年公開予定)です。

感想

魅力的な殺人マシーン達

冒頭、CIA工作員ジェームズ・シルバ(マーク・ウォルバーグ)のチームがロシア人の隠れ家を襲撃するのですが、やたら高い戦闘スキルと無人機の支援まで受けた武装の厚さ、そして殺すことに一切の躊躇がない、あれだったら殺しの許可さえ出れば喜んで殺しますくらいの勢いには、昨今のアクション映画が失いかけていたものを感じました。

気が付けばアクション映画界は殺しの無意味さを嘆く殺人マシーンで覆いつくされましたが、かつてアクション映画とは好きこのんで人殺しをするヒーローたちに席捲されていました。

『コマンドー』(1985年)『コブラ』(1986年)『レッドブル』(1988年)…どれだけ人が死んでも、最後に自分と近親者さえ無事であれば問題ないのだという圧倒的な割り切りの元で戦うヒーローたちには、それはそれで良い味がありましたが、本作のジェームズ・シルバにも同様のものを感じました。

続けてタイトルバックではシルバの生い立ちに触れられるのですが、幼少期から特定分野に対する圧倒的な適性と、その他の部分での反社会性によって軍やCIAの注目を集めていたシルバは、なるべくして殺人マシーンになったという、これまた燃える背景を持っています。

怒りや攻撃性を抑えきれず、絶え間なくイライラしてターゲットを探しているような男、それがジェームズ・シルバなのです。

舞台は移って東南アジアの架空の国インドカー。ここにはバッキバキの体をした男リー・ノア(イコ・ウワイス)がいます。背景が深く語られることはないものの、どうやら妻子を失ったっぽい様子。

リーの表の顔は元警官であり、アメリカ大使館に重要機密の入ったハードディスクを持ち込み、そのまま大使館に拘留されます。

リーの口封じを図りたいインドカー政府は即座に殺し屋を送り込み、丸腰状態のリーは凶器を持った2名の殺し屋を相手にすることを余儀なくされるのですが、リーは見事な身体能力と戦闘スキルで武装した殺し屋を返り討ちに遭わせます。

この一幕はデヴィッド・クローネンバーグ監督作品『イースタン・プロミス』(2007年)のサウナでの戦闘シーンを思わせる壮絶さがあって、ハラハラさせられました。

シルバとリー、この2人の戦闘マシーンには目が釘付けになりました。こういう素晴らしいキャラを登場させるアクション映画は良いアクション映画です。

見ごたえあるアクションの応酬戦

殺し屋が2名も送り込まれたことでリーが重要人物であることを認識したCIAは、アメリカ本国への移送を決定。大使館から空港までの22マイル(≒35km)をシルバのチームに護送させることにします。

対してインドカー政府はリー奪取のために大規模な襲撃をかけ、ここに少数精鋭のシルバチームvsワラワラと湧き出てくるインドカー戦闘員という燃えるカードが実現します。

クリント・イーストウッド主演の『ガントレット』(1977年)、ブルース・ウィリス主演の『16ブロック』(2007年)、クリス・ヘムズワース主演の『タイラー・レイク -命の奪還-』(2020年)など、移送ものはアクション映画の一ジャンルとなっていますが、1マイル進むにも激しい抵抗を受けるという当該ジャンルの構図には、やはり燃えるものがありますね。

ただし、こちらには銃や爆発物の扱いに長けたジェームズ・シルバと、マーシャルアーツの使い手リー・ノアがおり、この東西殺人マシーンコンビは敵をどんどん蹴散らしていきます。この爽快感にもまた、溜まらないものがありました。

真面目な社会派アクションばかりを撮ってきたピーター・バーグ×マーク・ウォルバーグのコンビが、ここまで純粋な娯楽アクションを撮ったということは嬉しい意外性でした。

※注意!ここからネタバレします。

ぜひ続編を製作して欲しい

シルバは無事にリーの移送をやり切るのですが、実はリーの背後にはシルバに恨みを抱くロシア政府高官がおり、今回のミッション自体がロシアの仕掛けた罠だったことが明かされます。

シルバに対して「お前の母親によろしく」と意味深なことを言って消えるリーと、仲間を殺されたことへの復讐を誓うシルバ。

シルバの母親とは何者なのか、リーがアメリカ政府を憎む理由とは何なのか、そうした疑問に回答が与えられないまま作品は終了し、本作がシルバvsリーの壮大な序章に過ぎなかったことが判明します。

どうやら本作の続編や、その世界観の延長線上にあるスピンオフなども企画されているようなのですが、果たして予定通りに製作されるのでしょうか。 全米公開時には批評面でも興行面でも苦戦したことも悪影響を及ぼしそうな雰囲気ですが、私はぜひ続編を作って欲しいと思います。

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