オビ=ワン・ケノービ_ベイダーがうっかりさん【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

スポンサーリンク
スポンサーリンク
宇宙
宇宙

(2022年 アメリカ)
ファン待望の作品だが、残念ながら作品の質は高くない。オビ=ワンが弱くなりすぎで活劇が全然盛り上がらないし、とどめを刺すべきところで刺さず、不自然な形で対決が引き延ばされることにも違和感があった。スター・ウォーズの世界では、敵が死んだかどうかを確認しちゃいけないという決まりでもあるのだろうか。

登場人物

シリーズお馴染みの面々

  • オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー):ジェダイの大虐殺を生き延びた後、惑星タトゥイーンで身分を隠しつつルークを見守っていたが、旧友ベイル・オーガナからの依頼でさらわれたレイア姫の捜索に出る
  • レイア・オーガナ:ダースベイダーの実娘で、ベイル・オーガナの養女。その正体を知っているのはオビ=ワンとベイルなど一部の人間だけで、ベイダーすら彼女が何者かを知らない。オビワンをおびき出すためサードシスターの手の者によって誘拐される
  • ベイル・オーガナ:元老院議員で、惑星オルデランの女王の夫、そしてレイアの養父。目に入れても痛くないほど可愛がっているレイアが誘拐されたことから、旧友オビ=ワンに捜索を依頼する
  • ルーク:ダースベイダーの実子で、血のつながらない叔父オーウェン・ラーズの元で育てられている。後のサーガの主人公だが、本作にはほとんど絡んでこない
  • オーウェン・ラーズ(ジョエル・エドガートン):ダースベイダーことアナキン・スカイウォーカーの母シミの再婚相手の子。すなわちベイダーとは血のつながらない兄弟であり、そのご縁で極秘裏にルークを引き取って育てている。ルークを平凡な農民として育てようとしており、ジェダイの影をちらつかせるオビ=ワンの存在を疎ましく思っているのはEP4の通り。

反乱軍

  • ターラ(インディラ・ヴァルマ):表向きの肩書は帝国軍士官だが、実は反乱軍メンバー。偶然遭遇したオビ=ワンとレイアの手助けをすることになる。
  • ハジャ(クメイル・ナンジアニ):ジェダイを騙って金を巻き上げる詐欺師だが、反乱軍とのパイプはしっかり持っており、脱出経路を求めるオビ=ワンに反乱軍の貨物船の発着場所を教える。

帝国軍

  • ダース・ベイダー(ヘイデン・クリステンセン):かつてはオビ=ワンの弟子アナキン・スカイウォーカーだったが、後に決別。惑星ムスタファーでの決闘に敗れて手足を失い、体表のほとんどを火傷する重傷を負ったことをいまだに恨んでおり、サードシスターに命じてオビ=ワンを捜索させている。
  • 大尋問官(ルパート・フレンド):ジェダイの残党狩りをしている
  • サードシスター(モーゼス・イングラム):表面上は大尋問官の部下であるが、実はダースベイダーからの命を受けてオビ=ワンを探している。

感想

オビ=ワン弱くなりすぎ

EP3から10年後の世界を舞台に、何者かにレイア姫をさらわれたことからオビ=ワンがその捜索に乗り出すのだが、陰謀の背後にいるのはダース・ベイダーで、オビ=ワンこそがターゲットだったというのがざっくりとしたあらすじ。

冒頭でのオビ=ワンはすっかり世捨て人であり、EP3までの熱血漢の姿はそこにはない。

彼は巨大生物の死肉を解体する日雇い労働に従事しているのだが、他の労働者が雇い主にいじめられているのを見ても助けようとはしない。

ジェダイの生き残りナリが命がけでオビ=ワンの元を訪れ、共に立ち上がることを要求するのだが、戦いなど諦めてすぐにライトセイバーを砂漠に埋めよと忠告する。

弟子アナキンの育成に失敗して虐殺者にしてしまったことや、自らの手で弟子を始末せざるを得なかったことが、よほど堪えているのだろう。なお、この時点のオビワンはアナキンが生きながらえてダースベイダーになっていることを知らない。

歳をとったユアン・マクレガーの哀愁もあって、絶望し、くたびれ切ったオビ=ワンの姿には悲壮感が溢れている。

なんだが、旧友ベイル・オーガナからの依頼でレイア救出に乗り出したあたりから、コレジャナイ感が漂い始める。

数名のストームトルーパー相手にビクビクするなど、オビ=ワンがめちゃくちゃに弱くなっているのである。これだったらベイルもオビ=ワンに頼む必要なかったんじゃなかろうか。

10年のブランクがあるので全盛期ほどではないというのは分かるのだが、それにしても弱くなり過ぎ。いざライトセイバーを握ればバッタバッタと敵を倒す爽快感と、それまでの悲壮モードからのギャップ萌えが欲しいところだった。

ともかく弱くなったオビ=ワンは、偶然出会った反乱軍の力を借りまくるのだが、反乱軍からすればレイアを助けることには何のメリットもない。

成長後のレイアは反乱軍の指揮官となって軍を勝利に導くのだが、後にそういうことになるなんて、この時点では誰も知る由もない。本当にただの人助けなのである。

戦略的に重要でもないレイア捜索に反乱軍を巻き込み、貴重な戦士を死なせたり、基地を失ったりするのだから、オビ=ワンの判断力にも疑問を持ってしまう。元将軍なのに随分と割に合わないことを反乱軍にさせるんだなぁと。

あと脱出劇のどさくさの中とは言え、ルークの出生に関わる重要情報を現場に置き忘れて、これまで必死に守って来たルークを危険にさらすというのはどうかと思った。

そんなわけで、本作のオビ=ワンはイマイチだった。

ベイダーがうっかりさん

レイア誘拐はサードシスターによるもので、彼女はダースベイダーの命を受けてオビ=ワンをおびき寄せていたということが分かる。

なおサードシスターはレイアがベイダーの娘であることを知らず、親友ベイル・オーガナの娘を誘拐すればオビ=ワンが出てくるだろうという目論見での計画だったと思われる。

ともかく、まんまと罠にはめられたオビ=ワン。

第3話ではついにダースベイダーが姿を現し、オビ=ワンとのリターンマッチを繰り広げるのだが、オビ=ワンが弱くなりすぎで因縁の対決は全然盛り上がらない。

しかも対決は反乱軍の狙撃によって中断するのだが、ベイダーは逃げていくオビ=ワンを追いかけもしないので、作劇の都合で中断した感が凄い。

最終第6話でも両者は激突し、やはりベイダーがオビ=ワンを圧倒するのだが、生き埋めにしたところで満足してその場を立ち去ってしまい、オビ=ワンに反撃の隙を与えてしまう。この世界では、敵が死んだかどうかを確認しちゃいけないという決まりでもあるのだろうか。

自信の表れなのかもしれないが、チャンスがあってもとどめを刺しにいかないベイダーのうっかりさんぶりにはイライラさせられた。

また、裏切ったサードシスターを始末しないことも不自然だった。

実はサードシスターはアナキンに恨みを持っており、ベイダーに従順と見せかけて、その隙を伺っていた。

第5話にてようやくベイダーに復讐する機会が訪れるのだが、ベイダーは「お前の正体くらい知っとったわい」と言って返り討ちにあわせる。

のだが、サードシスターには致命傷を与えずにその場を去ってしまうものだから、殺さず生かしてリリースという随分と甘い処分で終わらせたことになる。

これもまたベイダーらしくなかったし、「知っとったわい」というのも後付けの言い訳っぽくてダサかった。

本当にサードシスターの正体に気付いていれば、あの場に一人で乗り込んでオビ=ワンを取り逃がしたりしないでしょ。

最後のアレは嬉しかったけど… ※ネタバレあり

そんなこんなでレイアを救出し、ベイダーとのリターンマッチにも一応の勝利をしたオビ=ワンは、惑星タトゥイーンに戻ってくる。

なぜかタトゥイーンにはサードシスターがいてルークの命を狙ってるんだが、なぜ彼女がルークを殺そうとしているのかはよく分からん。

ともかくオビワンはルークの命も守って一件落着なのだが、ファイナルカットではクワイ=ガン・ジン役でまさかのリーアム・ニーソンが登場し、かなり驚かされた。

ニーソンがクワイ=ガンを演じるのは23年ぶりのことだし、このドラマに出演するのではないかという噂を否定し続けてきたので、この再登場は本当にサプライズだった。

なのだが、本筋と全然関係ない場面で出てくるので、オマケ感が凄かったが。

例えばベイダーにとどめを刺すかどうかの場面で現れて、オビ=ワンに忠告を与えるってことでも良かったと思うんだが、本筋と関連付けた登場のさせ方は出来なかったんだろうか。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
記事が役立ったらクリック
スポンサーリンク
公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

コメント

  1. なつめ より:

    こんにちは。
    おっしゃるとおり「作劇の都合」が強く感じられて残念な出来に感じました。
    個人的にとても楽しみにしていたのですが…

    反対はさているがゆくゆくはルークにフォースのトレーニングをするつもりの
    オビワンが「そんな状態で教える事できるの?」って感じで、色々と衰えすぎですし、
    いくら娘が誘拐されたとはいえ、
    極秘事項のはずのオビワンのもとにオーガナ議員自ら来ちゃうなど、
    「う~ん…」となることが多かったです。

    ボバフェットもいまいちでしたが、マンダロリアンはよかったので、
    次作のキャシアン・アンドーにはまだ希望をもってはいますが…

    • キャシアン・アンドーは過去作品のしがらみがそれほどないので、まだ何とかなるだろうとは期待しています。
      辻褄合わせをしなきゃいけない人気キャラはもういいかなと。