2001年宇宙の旅(IMAX版)_映像も物語も眠気も凄い【6点/10点満点】

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宇宙

(1968年 アメリカ)
未来。人類は宇宙に進出し月面基地を造るまでに至っており、月で人工物と思われる石板が発見された。宇宙評議会のフロイド博士を筆頭とした調査隊がモノリスと名付けられた石板の調査を開始するが、その最中にモノリスは木星に向けて信号を発信する。18か月後、宇宙船ディスカバリー号は木星探査へと向かっていた。

話題のIMAX版をよぉやっと見て参りました。真っ暗な状態での序曲に始まり、最近では珍しい休憩も入って「これは別格の映画である」という雰囲気を存分に堪能することができましたが、同時に、家での鑑賞のようにこちらの都合で止めて休憩できないので、一度睡魔に捕まると目を開けていられないほどの状態にまで追い込まれるという本作の恐ろしさも味わいました。隣の席のおじさんは正味30分も起きていなかったんじゃないかってほど深い眠りに落ちていましたね。私も何度かやばかったです。

小説版との関係

本作にはキューブリックと共同脚本を務めたアーサー・C・クラークによる小説版も存在していますが、これは映画版の原作でもノベライズでもなく、副産物のようなものに当たります。

無神論者だがUFOは信じているキューブリックがファーストコンタクトものを作りたいと考え、1948年に同ジャンルの小説『前哨』を発表していたクラークに共同脚本を依頼しましたが、脚本執筆経験のなかったクラークはまずアイデアを小説としてまとめあげ、それをキューブリックが脚本に落とし込むという共同作業で執筆されました。

なお、後述する通りキューブリックは意図して本作の内容を理解不能な形にしているのですが、小説版を先に読まれてしまうと内容が理解できてしまうことから、本来は映画公開前に発売される予定だった小説版に対してキューブリックは内容面での難癖をつけて、1968年4月に映画公開された後の1968年6月にまで出版は遅らされました。

鬼のようなビジュアルの完成度

初公開から50年も経った映画で、しかもIMAX上映というハードルの上がりきった舞台を用意されて、それでも現在の観客を納得させるだけのビジュアルはやはり圧巻です。しかも『スターウォーズ』のように後年になって手を入れ直したわけでもなく初公開時と同じ内容であるにも関わらず、現在の目で見てもほぼアラが見つからないほどの完成度は驚異的だと言えます。

まず冒頭の猿人の完成度からして桁違いです。どう見てもゴム製で表情の硬かった同年の「猿の惑星」と比較すると、本作の猿人は野生動物と並べても、本物のサルの子供を抱かせても違和感がないという凄まじい作りとなっています。口を開くと唇がめくれて歯が見えるという細かい表現まで実現しており、制作年度を考えるとそのこだわりは異常とも言えます。

また、ミニチュアの表面に細かい部品を無数に貼り付けて宇宙船や宇宙ステーションを巨大に見せるという『スターウォーズ』『エイリアン』『ブレードランナー』辺りに大変な影響を与えた手法も本作がその走りであり、映像技術の革新性という点でも見応えがありました。

意外と控え目なキューブリック演出

本作はクラシックの名曲をバックに宇宙船やその船内のテクノロジーをじっくりと見せる場面に相当な時間が割かれており、その光景はさながら視覚効果の見本市状態。キューブリックらしい演出が見られるのはHAL9000が命乞いをする場面くらいのものであり、唯我独尊の人キューブリックが、視覚効果マン達の頑張りの成果をここまでフィーチャーしたことには意外な気もしたのですが、エンドロールで「特殊効果監督:スタンリー・キューブリック」と表示されてちょっと笑いそうになりました。やっぱり自分が一番の人なのねと。

四次元の表現方法の秀逸さ

本作で私が一番気に入っているのが終盤にてボーマンがスターゲートをくぐった後にベッドルームに行きつく場面であり、前衛実験映画のようなトリップシーンの次にこの落ち着いたインテリアを見せるという意外性ありすぎの場面転換。この部屋の片隅にボーマンの乗って来たスペースポッドが置かれているというシュールな光景。そしてスペースポッド内にいる壮年期のボーマンが宇宙服姿の中年期のボーマンを発見し、中年期のボーマンが部屋で食事をする高年期のボーマンを発見し、高年期のボーマンがベッドに横たわる終末期のボーマンを発見するという四次元の表現方法など、すべてが完璧だったと思います。なお、この四次元の表現方法はクリストファー・ノーランが『インターステラー』で真似していましたね。

観客に理解させる気のない映画

もともと本作には全編に渡ってナレーションが付けられていた上に、冒頭には10名の科学者へのインタビューも入れる予定であり、説明に次ぐ説明になる予定の作品でした。しかしキューブリックが完成前に心変わりし、一切の説明を省くという方針に転換。科学顧問を務めた天文学者フレデリック・I・オードウェイは「ナレーションがないとまるで意味が通じない」と抗議したものの、分からなくすることが目的だったのでこの抗議は無視されました。

キューブリックは内容を分からなくすることで作品の内容をより高尚なものに見せるという戦略だったのですが、その目論見は見事なまでに的中して哲学的な拡大解釈を呼びました。キューブリックのプロデュース能力の高さには相変わらず恐れ入ります。

ただし、内容についての解釈が終わった現在の目で見ると、余白だらけの本作はとても退屈に感じさせられました。何度寝落ちしそうになったことか。

≪スタンリー・キューブリック監督作品≫
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コメント

  1. osamu より:

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    まさに、ごもっとも❗️。
    これ、意外と、
    誰も、言わん❗️。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    >osamuさん
    コメントいただき、ありがとうございます。
    これはキューブリックのすごいところだと思うんですけど、観客に「分からない」と言わせないようなよく分からない圧力がありますよね。

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