オザークへようこそ(シーズン2)_女たちが熱い【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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クライムサスペンス
クライムサスペンス

(2018年 アメリカ)
そもそも面白かったシーズン1に輪をかけて面白くなっていました。何がいいかって、ウェンディ、ダーリーン、ヘレン、ルースら強力な女性キャラが織りなすパワーゲームが強烈なんですよ。圧倒されました。

登場人物

バード家

  • マーティ・バード:表向きはファイナンシャルアドバイザーだが、裏ではメキシコの麻薬カルテルの資金洗浄を行っている。多額の資金を洗うためスネルの土地にカジノを建設する計画を立案し、その実現に奔走する。
  • ウェンディ・バード:マーティの妻。新規カジノ建設の承認を得るため、かつて選挙スタッフとして活動したスキルを活用してミズーリ州の議員たちへのロビー活動を行う。
  • シャーロット・バード:マーティとウェンディの娘で、ジョナの姉。ワイアット・ラングモアとの関係はより深まる。特異な家庭環境に耐えかねて、両親からの独立を希望する。
  • ジョナ・バード:マーティとウェンディの息子で、シャーロットの弟。一家でもっともオザークという土地に馴染んでおり、地元の伝統である鹿狩りなどにも参加する。また中学生ながら父の手口を真似て海外口座を開設する。
  • バディ:独り身の老人。オザークでの住居を探すバード家に自宅を売ったが、格安価格との交換条件で、余命1年の自分が死ぬまで同居することとしており、売却後にも家の地下室で生活している。かつて凄腕のフィクサーだったことが判明。地元ギャングのボス コズグローブとは旧知の仲。

ラングモア家

  • ルース・ラングモア:前シーズンで親を失ったワイアットとスリーの後見人になり、ワイアットをミズーリ大学に進学させたいと思っている。また、真っ当な生活や職業への関心も持ち始めたが、その矢先に父ケイドが出所し、不本意ながらも悪の道に引きずり込まれかけている。
  • ケイド・ラングモア:ルースの父。前シーズンは重犯罪で服役中だったが、仮釈放された。マーティから大金を奪うつもりであり、そのためにルースを利用しようとしている。
  • ワイアット・ラングモア:ルースのいとこで、スリーの兄、ケイドの甥。前シーズンでの父ラスの死にショックを受けており、大学進学に向けてのモチベーションが上がらない。またラングモア家の評判を気にしており、どれだけ頑張ってもラングモアである限りは報われないと悲観視している。
  • スリー・ラングモア:ワイアットの弟。

オザークの人々

  • ジェイコブ・スネル:オザークの名士で農園を経営しているが、実はヘロインの生産者。前シーズンでデル・リオを殺したことから、その手打ちのためナバロ・カルテルの隠れ蓑であるカジノ建設に協力せざるを得なくなる。敵対していた前シーズンからは一転、マーティとは共同歩調をとる。
  • ダーリーン・スネル:ジェイコブの妻で、キレやすい性格。かわいがっていた子分のアッシュを失ったことから母性に目覚め、赤ん坊の養子を欲しがる。
  • レイチェル・ギャリソン:オザークのホテル「ブルーキャット」のオーナーだったが、前シーズンラストでカルテルの金を持ち逃げしていた。麻薬接種後に自損事故を起こしたことから逮捕され、FBI捜査官ロイ・ペティへの協力を余儀なくされる。
  • メイソン・ヤング:オザークの牧師だったが、前シーズンでスネルに妻グレースを殺された。現在はオザークを離れ、赤ん坊連れで路上での布教活動を行っている。
  • サム・ダーモディ:前シーズンでは不動産業者だったが、現在は自己啓発セミナーの講師に転身している。しかし講演には閑古鳥が鳴いており、ウェンディからの依頼でストリップバーの一時的な責任者になる。
  • ジョン・ニックス:オザークの保安官。これまではスネルの悪事を見逃してきたが、FBI絡みの騒動となったため、さすがに動かざるを得なくなる。

その他

  • ヘレン・ピアス:ナバロ・カルテルの弁護士で、かなりの切れ者。前シーズンで死亡したデルに代わってマーティらとの交渉に現れた。冷徹な仕事ぶりからは想像できないが、実は子を持つ母親。
  • ロイ・ペティ:FBIの潜入捜査官。母親がヤク中であるためパラノイア的に犯罪組織を憎んでいる上に、前シーズンで死亡したラス・ラングモアへの恋愛感情もあって、マーティ逮捕に血道を上げる。
  • チャールズ・ウィルクス:ミズーリ州議会に影響力を持つ政治家で、ウェンディに協力して新規カジノ建設法案を通そうと動く。その後、カジノを核としたリゾート開発計画をぶち上げ、その実現のためにスネルの土地の買収を進めようとする。リサーチ能力に長けており、必要に応じて脅迫等を行う。
  • ブレイク:ミズーリ州の議員。カジノ法案への強硬な反対者だが、ウィルクスからの脅迫で議事を欠席した後、自殺。
  • コズグローブ:カンザスマフィアのボス。既存カジノに投資していることから、競合になりそうなマーティの新規カジノ建設を潰そうとしている。

感想

怒涛のシーズン2

ダーリーン・スネルがナバロ・カルテルのNo.2 デル・リオを殺してしまったという、前シーズンラストの壮絶なクリフハンガーの続き。

一応、デルの失踪を匂わせる偽装工作はしたが、組織から送り込まれたのが異常に頭のキレる弁護士ヘレン・ピアスなので、早晩、嘘はバレてしまう。

またFBI捜査官ロイ・ペティの執拗な捜査も続いており、「ブルーキャット」オーナーとしてマーティとの関わり合いが深いレイチェルも抱き込まれてしまい、こちらももうすぐ王手。

さらにはルースの父ケイド・ラングモアが仮釈放で娑婆に出てきて、マーティが管理する金が狙われる。

こうした全包囲下でのマーティの戦いは緊張感MAXで、第1話から第10話まで緊張の糸が途切れることはありませんでした。

そもそも面白かった前シーズンよりも、さらに面白くなっています。

ウェンディ覚醒

そんな中でも最大の課題は新規カジノ建設なのですが、そこで辣腕を振るうのが妻ウェンディ。前シーズンでは夫マーティンに振り回されていた彼女が、ここで覚醒します。

カジノ建設のためには法案を通さねばならないということで、マーティとウェンディはミズーリ州議会に顔が利くチャールズ・ウィルクスに接触。

バラク・オバマの選挙スタッフを務めた経験も持つウェンディのスキルは、ミズーリのような田舎では突出したものとなり、ウィルクスからの信頼を得て彼女は関係各方面へのアプローチを開始します。

ここでウェンディはやりがいを見出すわけです。

加えて、犯罪行為への抵抗感も少なくなっていきます。

その大きな分水嶺となったのが、メイソン牧師に誘拐された第7話。

奥さんを殺されるわ、赤ん坊は行政に取られるわで怒り心頭のメイソンが、その元凶であるウェンディを拉致。これを受けたマーティは事態打破に向けて動くものの、結局はメイソンを射殺せざるを得なくなります。

これまでもいろんな死はあったものの、この夫婦が直接手を下した殺人は初めてのことで、マーティは激しく動揺。

そのショックはかなり根深いもので、時期を同じくして起こった長女シャーロットの独立問題でも「こんな家庭では嫌になるのも仕方ない」と同情的な立場を取り、最終的にはこの汚れ仕事からは逃げるしかないという判断に至ります。

それとは対照的だったのがウェンディで、自分自身でも意外なほど目の前の殺人に対する抵抗感がなく、アッサリと感情を処理できてしまいます。

そんなものだからシャーロットの独立問題でも「娘は何でこの程度のことでギャーギャー言ってんだか」という態度となり、今の仕事はこのまま続けたいという判断に至ります。

そして殺人への心理的ハードルが低くなったためか、カルテルという後ろ盾を使うことにも躊躇をしなくなります。

邪魔者だったケイド・ラングモアの排除を組織に要請し、無事殺しが完了したという報告も、特に取り乱すことなく受け取ります。

ここで彼女のメンタルが完全に犯罪組織寄りとなったというわけです。

ウェンディが仕上がっていく様にはゾクゾクとさせられましたね。

狂人ダーリーンに注目

そんなウェンディと並んで注目なのが、ダーリーン・スネル。

オザークのヘロイン製造者ジェイコブ・スネルの妻で、前シーズンより感情的で狂暴な面を覗かせていたのですが、いよいよ当シーズンより本領を発揮し始めます。

感情的、無礼、無駄にプライドが高い、状況を考えずに暴走と、負の感情の塊のような人物であり、何かにつけて嫌味や文句を言わなきゃ気が済まない初老。

頑固だがまだ話の分かる夫ジェイコブが何とか押さえ込んできたものの、ジェイコブが一時的にFBIに拘束された辺りから、暴走が止まらなくなってきます。

このままジェイコブが起訴されれば全員巻き添えというわけで、マーティ、ウェンディ、ヘレン、ダーリーンが集まって作戦を話し合うのですが、ダーリーンは賢い人達の言ってることが全然理解できません。

で、分からない中で他の人からあれこれ聞かれるものだから、自分が責められたと思ってキレて出ていくダーリーン。

あなたの夫を救い出すための話し合いなのに、それすら自分自身の快・不快で判断して出ていくんだと、その馬鹿さ加減には呆気にとられました。

その後も、ナバロ・カルテルに卸しているヘロインに混ぜ物をして死人を出し、当局に捕まるリスクを高める、カジノ建設に当たってスネル家が折れるしかない部分で頑固を発揮するなど、恐らくはダーリーン自身も何をしたいのか、どこが落としどころなのかも考えないまま、ただただ場を引っ掻き回す選択ばかりをし続けます。

その根底にあるのは自意識の高さであり、力で勝るナバロ・カルテル、頭脳で勝るマーティやウェンディからの指図を受けたくないというひねくれた根性なのだろうと思うのですが、我が身を滅ぼすかもしれない問題でもごねる辺りが、この人の真骨頂。

馬鹿である上に、狂っているのです。

こういう狂っているキャラクターがいると、ドラマは本当に盛り上がりますね。見ている間はムカついて仕方なかったのですが、全部見終わると「ダーリーンのおかげで面白かったなぁ」と満足できました。

クライマックスは恒例のクリフハンガーで、シーズン3をすぐにでも見たくなります。

オザークへようこそ シリーズ
オザークへようこそ(シーズン1)_知的で面白い【7点/10点満点中】
オザークへようこそ(シーズン2)_女たちが熱い【8点/10点満点中】
オザークへようこそ(シーズン3)_夫婦の不信感【8点/10点満点中】
オザークへようこそ(シーズン4 パート1)_面白さパワーアップ【8点/10点満点中】
オザークへようこそ(シーズン4 パート2)_ルースが阿呆すぎる【6点/10点満点中】

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