TRUE DETECTIVE/ロサンゼルスがつまらなすぎた【3点/10点満点中】(ネタバレなし・感想・解説)

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クライムサスペンス

(2015年 アメリカ)
シーズン1と比較すると相当に落ちる出来であり、途中で見ることが苦痛になるほどのレベルでした。実際、ネットで見られる一般レビューだと3話当たりで脱落したという声が多く、見続けることに相当なハードルがあるシーズンだと言えます。

©HBO

あらすじ

カリフォルニア州の架空の工業都市ヴィンチ市。大型の公共事業を目前とした同市において、財政を司る市政官キャスパーの死体が発見された。市警察・郡保安官・州警察から成る合同チームが捜査を開始するが、そこには市が抱える闇が広がっていた。

作品概要

TRUE DETECTIVEとは

HBO製作のテレビシリーズで、2014年から2019年までに3シーズンが製作されています。3シーズン一貫して小説家のニック・ピゾラットが脚本を書きおろしており、テレビドラマでありながら映画スターを主演に起用していること、捜査官を主人公にしていること、ある土地を舞台に現在と過去が交錯するドラマであることが特徴となっています。

シリーズ間にストーリー上の繋がりはなく、他のシーズンを見ていなくても本シーズン単独での鑑賞が可能です。

驚異の人気を誇るシーズン1

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年)の監督にも抜擢されたキャリー・フクナガが全話を監督し、マシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソンを主演に迎えたシーズン1は数字も評価も記録的でした。

視聴者数は全話平均で1100万人。人気シリーズならともかくシーズン1の時点でこれだけの視聴者を確保できるドラマは10年に一本のレベルだと言います。最終話ではHBOのオンラインストリーミングサービスがアクセス集中で一時的にダウンするほどの人気ぶりでした。

プライムタイム・エミー賞ではキャリー・フクナガが監督賞ドラマシリーズ部門を受賞し、さらにキャスティング賞ドラマシリーズ部門、メイクアップ賞シングルカメラ・シリーズ部門、撮影賞シングルカメラ・シリーズ部門、メインタイトルデザイン賞を受賞しました。キャリー・フクナガが世界的な名声を得たきっかけは本作だったと言えます。

感想

ドラマと謎解きが分離している

シーズン1は主要登場人物の個人的なドラマと犯罪捜査、過去と現在の謎解きが有機的に結びついたことで奇跡的な面白さを誇っており、続く本シーズンも同様の路線で製作されています。

カリフォルニア州の架空の工業都市であるヴィンチ市が舞台。巨額の資金が動く鉄道建設計画を背景に、市の予算を司る市政官キャスパーが何者かに殺され、その捜査が開始されることが本作の基本的な内容です。そして、この捜査に関わる3人の刑事がどれも訳アリで、彼らのドラマと犯罪捜査が並行して描かれます。

  • コリン・ファレル扮するレイ・ヴェルコロ刑事は過去に奥さんをレイプされ、その後に産まれてきた息子が自分の子なのかレイプ犯の子なのかが分からない。またレイプ犯への復讐の過程で闇社会の力を借りたことから、犯罪者フランク・セミヨンの使い走りになっているという背景を抱えています。ただし息子を愛する気持ちは誰よりも強く、ガンプラ(多分ヤクト・ドーガ)をプレゼントする際にはつや消しスプレーもセットにするという心遣いを見せます。素組みでもクリアーだけは吹けよという素敵な親心を垣間見ました。
  • レイチェル・マクアダムズ扮するアニ・ベゼリデス刑事はヒッピーのコミューンで育ち、奔放すぎる父親と金のためならポルノにも出演する妹との間での諍いを抱えています。また幼少期に性犯罪被害を受けたことから異性への認識が正常に形成されず、職場の同僚との荒れた性関係を結ぶという傾向を持っています。
  • テイラー・キッチュ扮するポール・ウッドルー警官はトレーラーハウスに住む貧困層の母親に育てられ、父親は不明。警官になる前には民間軍事企業に所属して戦地での虐殺に加担した疑いを持たれています。また、白バイで若い女性の乗る車を止めた際に、違反行為の揉み消しと引き換えに性的行為を強要したとの告発を受けています。

こうした問題を抱えた刑事達が繰り広げるドラマでは、犯罪捜査の経過と共に徐々に彼らの本性や過去の謎が明かされていくのかなと思って見ていたのですが、これらが有効に機能していませんでした。どのドラマも魅力的な形で展開されず、また本筋とうまく絡んでおらず、余計な枝葉になってしまっているのです。ウッドルーの軍歴なんて意味ありげに登場しながら本編でほとんど回収されずに終了したし、だったらなぜそんな設定を加えたんだろうかと不思議になりました。

話がやたら分かりづらい

行動を共にすることとなる3人の刑事は、それぞれ所属は別。ヴェルコロはヴィンチ市警、ベゼリデスは郡保安官事務所、ウッドルーはカリフォルニア州警察に所属しており、それぞれの上司からはキャスパー殺人事件の捜査を表向きの口実として、裏のミッションを与えられています。

 ヴィンチ市警ヴェンチュラ群保安官事務所カリフォルニア州警
担当捜査官レイ・ヴェルコロアニ・ベゼリデスポール・ウッドルー
表向きの口実行方不明者として数日前からキャスパーを探しており、その件の延長線上で殺人事件も調べる必要がある。管轄内での事件であり、捜査することは当然。キャスパーはヴィンチ市に係る州の調査の重要な参考人だった。また、その遺体を発見したのは州警察所属のウッドルーだった
裏のミッションキャスパーが立案した市の再生案では9億ドルもの金が動くことになっているが、この金を群に奪われる口実を作りたくない。ヴェルコロの弱みを握って寝返らせ、ヴィンチ市の不正を暴く足掛かりにする。ヴィンチ市警の不正を探って大陪審に向けての情報を収集する。

これら3つの組織が入り乱れ、表の口実と裏の目的が別々に存在しているという点が混乱を招いており、ほとんどの視聴者にこの構図は伝わっていなかったのではないでしょうか。そもそもアメリカの警察機構の特殊性に疎い日本人視聴者にとっては、特に厳しかったのではないでしょうか。市警察・郡保安官・州警察の違いが分からない、彼らがなぜ対立しているのかが分からないと、ただややこしいだけの話になってしまいます。

また、当初は組織への忠誠から3警官はお互いに腹の探り合いをしているが、次第に友情が芽生えて相手を裏切りづらくなるというドラマが展開されるのかなと期待していたのですが、回を重ねるほどに所管争いは鳴りを潜めていき、普通の刑事ものに様変わりしていくので、ややこしい設定を置いた割にはそれが機能していないという困ったことになっています。

途中からどうでもよくなる謎解き

市政官キャスパーに何が起こったのかという謎解き。こちらも妙にややこしくて、現在の彼の足跡を追っていると、中盤にて突如ブルーダイヤというアイテムが現れたことから話はロス暴動の起こった1992年にまで遡り、現在と過去の両方の謎を追うこととなります。この複雑さが本質的な面白さには繋がっておらず、また情報整理のまずさから非常に分かりづらい話となっており、途中からは理解しようとする気すら起こらなくなってきます。

まず殺人事件があって、土地取引や公共事業に絡む不正があって、ブルーダイヤ盗難があって、人身売買があってと、物語は犯罪・不正のオンパレード状態。次から次へと新しい情報が出てきて取り留めもない状況へとなっていき、そのうちにどうでもよくなっていくのです。

犯罪者セミヨンだけは素晴らしかった

そんな混沌の物語の中で、唯一光っていたのがヴィンス・ヴォーン扮するフランク・セミヨンでした。

ヴィンチ市の闇社会の大物であり、ドラッグ販売でのし上がって来たものの、現在はかつての闇稼業を清算して合法的なカジノ経営にシフトしています。表のビジネスでの更なる成功を目指して市政官キャスパーを頼っていたのですが、土地買収のために預けていた大金を使い込んだままキャスパーが死んだことから、彼は窮地に立たされます。

足を洗いたいヤクザ者が、どうしようもない事情から再び闇稼業に手を染めざるをえなくなる様には東映印の任侠道を感じたし、やわになったと舐めてかかってくるかつての子分を鉄拳で従わせる様にはカタルシスが宿っていました。まさに漢です。

ヴェルコロとの関係も激熱であり、彼らになれ合いの空気はないものの、仕事をきっちりこなす者同士の信頼関係は確実に宿っています。中盤にて亀裂が入りかけるのですが、話せば分かる者同士での対談で解決する当たりも漢でした。

本シーズンは全体的にグダグダだったのですが、セミヨンが出ている場面だけはキリっと引き締まっていました。

≪面白さが回復した続編≫
TRUE DETECTIVE/迷宮捜査は伝説のシーズン1並みに面白い【8点/10点満点中】

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