ROMA/ローマ(2018年)【5点/10点満点中_面白くなるまでに1時間50分かかる単調なドラマ】(ネタバレあり感想)

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5点/10点満点中

■Netflix史上最強のコンテンツ

2013年に『ゼロ・グラビティ』を大ヒットさせてアカデミー監督賞も受賞したアルフォンソ・キュアロンが2016年より製作を開始した作品であり、本来は劇場公開を想定して作られていたものの、2018年4月にNetflixが配給権を取得してストリーミング公開となることが決定しました。本作は今年の賞レースの台風の目であり、2018年12月14日時点ですでに以下の通りの実績を上げています。

  • ヴェネツィア映画祭/金獅子賞
  • NY映画批評家協会賞/作品賞・監督賞・撮影賞
  • シカゴ映画批評家協会賞/作品賞・監督賞・編集賞・撮影賞
  • LA映画批評家協会賞/作品賞・撮影賞
  • ナショナル・ボード・オブ・レビュー/作品賞トップ10
  • AFI特別賞

さらにゴールデングローブ賞では外国語作品賞・監督賞・脚本賞にノミネートされており、ほぼ確実にアカデミー賞にも複数ノミネートされると思われ、Netflixが配給権を取得した作品の中でも史上最強とも言える作品となっています。

■アルフォンソ・キュアロンならではの凝った作り

『トゥモロー・ワールド』『ゼロ・グラビティ』と大作の続いたアルフォンソ・キュアロンが、今度はパーソナルな内容をということで製作された作品ではあるのですが、テクノロジーの巨人であるキュアロンは、この題材においても持てる技術を総動員しています。

仕切りの少ない家の中をカメラが動き回って日常生活の風景を切り取り、また、ここまで環境音にこだわった映画は珍しいと言えるほど丁寧に環境音を拾っており、リアスピーカーは鳴りっぱなし状態。画でも音でも臨場感を出そうとしています。

さらに時代の再現度合いも驚異的なレベルに達しており、通常の映画がせいぜい服装や車などで年代を表現しようとするのとは対照的に、本作は道路の舗装の悪さなどにも厳密にこだわっており、1971年のメキシコを知らない私にすらリアリティを感じさせるほどの圧巻の説得力を持っています。

■起伏がなくダラダラ続くドラマ

そんな感じで技術的には優れた作品だと言えるのですが、問題なのは何を目指すわけでもなくダラダラと続くドラマが猛烈に退屈だということです。父親が不倫相手と駆け落ちして大黒柱を失った金持ち親子と、ロクでなしに孕まされて妊娠・出産を一人で抱え込まなければならなくなった家政婦さんの物語なのですが、リアリティにこだわったためか両者が積極的に関わり合おうとすることはなく、また登場人物達が乗り越えるべきハードルなども明確に設定されないために、ぶつ切り状態のエピソードがいくつも並んだだけという状態となっています。

※ここからネタバレします。

■終盤の家族旅行のみ素晴らしい

終盤にて、この親子と家政婦さんは海へと旅行に行くのですが、お母さんの気まぐれで始まった旅行のように見えて、実は家にモノを取りに帰ってくるという父親に子供達を会わせないことが一義的な目的であり、本来は楽しいはずの旅行の夜に夫婦関係の終了を子供達に伝えるという気まずい場面がかなり容赦なく切り取られています。また、子供達が泣いているという異常な場面においても、まったく空気の読めない食堂のおばちゃんが「食事はもうお済みですね」と言って皿をガンガン下げに来た上に、「お子さんにデザートどうですか」と機械的に勧めてくるという、笑っちゃいけないんだけどつい笑ってしまう場面もよくできていました。

その後、溺れかけた娘を助けたことから家政婦とこの親子の絆はより強固なものとなり、去っていく者もいれば、残って支えてくれる者もいるという人生の真理を描いて作品は終了します。このラストは本当に良かったと思うのですが、問題は、この旅行に至るまでに1時間50分もかかったことであり、さすがにどうでもいい場面が長すぎました。

Roma
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン
製作:アルフォンソ・キュアロン、ガブリエラ・ロドリゲス、ニコラス・セリス
製作総指揮:ジョナサン・キング、デヴィッド・リンド、ジェフ・スコール
出演者:ヤリッツァ・アパラシオ、マリーナ・デ・ダビラ、Marco Graf、Daniela Demes、Enoc Leaño、Daniel Valtierra
撮影:アルフォンソ・キュアロン
編集:アルフォンソ・キュアロン、Adam Gough
製作会社:パーティシパント・メディア、エスペラント・フィルモ
配給:Netflix
公開:2018年12月14日
上映時間:135分
製作国:メキシコ、アメリカ合衆国

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