あるスキャンダルの覚え書き_粘着おばさんの恐怖【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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実話もの
実話もの

(2006年 イギリス)
女教師が教え子と不倫したらえらいことになったという実話を元にしたドラマ。不倫教師の弱みを握ったことで私生活にズケズケと踏み込んでくる粘着おばさんが、未成年淫行なんてどうでもよくなるほど怖い。

感想

美人過ぎる性犯罪者

ソフトリリース時にレンタルで見て、人間の内面を抉るショッキングな内容と、主演二人の激しい演技合戦に舌を巻いた映画。

気に入ったのでその後にBlu-rayも買ったけど、なぜか10年以上未開封で店晒し状態だった。

面白いことが分かっているのになぜか二度目の鑑賞がない映画というのがあるけど、本作もまさにそのパターン。

なんだけど、最近ハライチ岩井が19歳の元子役と結婚したという芸能ゴシップがあって、ネット世論が賛成派と反対派に分かれて議論をしているのを見てなぜか本作の存在を思い出し、ようやっとブルーレイを開封して二度目の鑑賞となった。

バーバラ(ジュディ・デンチ)は労働者階級が多い地域の公立学校で歴史を教えている教師だが、堅物な性格が災いして職場では敬遠されている。

そこに新任の美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)が赴任してくるのだけど、下町の学校に似つかわしくない美貌とオーラを放つシーバに、バーバラは興味津々。親切を装いつつ接近するバーバラだが、意外なほどオープンな性格のシーバとは、いとも簡単に友達になれてしまう。

そこからはシーバ愛を炸裂させるバーバラだったが、ある日、彼女が教え子との肉体関係を持っていたことを知る。表沙汰になれば仕事も家庭も失うばかりか、刑事罰にも問われるだろう。

「お願いだから秘密にして」と訴えるシーバの弱みを握ったことで、バーバラは支配欲をスパークさせるというのが、ざっくりとしたあらすじ。

本作の元になったのは、1997年にアメリカで発覚したメアリー・ケイ・ルトーノー事件。

当時34歳の女性教師メアリーが13歳の教え子との肉体関係を持ち、彼との子供を妊娠。二人の間で交わされていたラブレターにより発覚し、メアリーは児童レイプの罪に問われた。

その見た目が気品ある美人だったこともあってか、メアリーを悲恋のヒロインとして見る向きもあったが(彼女の見た目がアレなら擁護意見は出なかっただろう)、そうは言っても法には触れているので立件され、メアリーは有罪判決を受けた。

7年半の服役後、2005年に元少年と結婚。二人は遊びではなく本気だったことを証明したが、2017年に離婚した。離婚理由は不明。

メアリー本人のお顔は各自ネットで調べていただくこととして、確かにケイト・ブランシェットに似ているので、本作のキャスティングは完璧だったと言える。

なお映画の登場人物シーバが恋に落ちるのは15歳の教え子という設定に変更されている。

13歳という設定だとさすがに観客がついて来られないのと、作中には性愛描写もあるため子役のキャスティングが実質不可能だったことが理由だろう。

この話、どこまで行っても悪いのはシーバだ。未成年に手を出してしまったことと、家庭があるのに不倫に走ったしまったことの二重の罪を背負っている。

ただしケイト・ブランシェットの美貌を目の前にすると「児童レイプ」という言葉は消え去ってしまう。現実世界のメアリーと同じく、こんな美人が無理やり相手を犯す必要はない、きっと相手も好意を抱いていたに違いないという、圧倒的な説得力があるのだ。

やはり美人は得だ。

またシーバの底抜けの人の良さもある。気難しいバーバラとも損得抜きに付き合っており、どんな相手でもほぼ無条件に受け入れている。良く言えばおおらか、悪く言えばノーガードすぎる性格で、教え子からの好意を振り切れなかったということが十分に伝わってくる。

家庭に居るのは親子ほども年の離れた旦那(ビル・ナイ)で、普通なら受け入れないであろうおっさんからの求愛を受け入れた過去があることも推測される。

このビル・ナイというキャスティングも絶妙で、ひょろっとしていて生命力が弱そうに見えるので、「旦那との間では随分ご無沙汰で、シーバもいろいろ溜まってたのね」という裏事情も透けて見えてくる。

そんなこんなで、法的にも道徳的にもアウトなことをしているはずのシーバに、ついつい感情移入できてしまえる構造は見事なものだった。

怖くて気持ち悪いジュディ・デンチ

ただし本作の主人公はシーバではない。

シーバという逸材を手にして、ひとり盛り上がるバーバラの怖すぎる内面こそが主題であり、主人公はバーバラだ。

彼女は猫だけに心を許す孤独な女性だ。映画において、猫は孤独の記号として使われることが多い。

堅物で気難しいバーバラは、一見すると彼女の方から他人を拒絶しているように見えるのだが、実際には他人とのふれあいを渇望している。

しかしその思いが強すぎるゆえに、他人に対して完璧を求めてしまい、勝手に裏切られただの幻滅しただのと思い悩み、最終的には相手を逆恨みするタイプである。

こういうタイプにロックオンされると大変だ。

相手を知ろうとあれこれ詮索してくるが、理解しようとは絶対にしない。

基本的に共感力が低いのでこっちの事情など目に入っていないし、何気ない一言にも過敏に反応して「今のどういうこと?」としつこく問い詰めてくる。

シーバはバーバラのお気に入りになったばかりか、弱みを握られてその支配を受け入れるしかなくなる。

まぁ地獄なのだが、おおらかすぎるシーバは一般人ほどバーバラに息苦しさを感じていないようで、しばらくはうまくやってしまうのだから、ある意味でベストカップルともいえる。

未成年淫行さえなくて、フェアな関係が続いていれば、案外二人は良い関係を継続できたんじゃなかろうか。

見ている途中、バーバラはシーバに惚れてるんじゃないかとも思ったが、中盤のモノローグにて(満員電車で他人の手が触れただけで興奮する的な)、彼女は異性愛者であることが分かる。

恋愛感情とか性欲とかいう次元ではなく、ただただ人を求めているということで、バーバラが悲しきモンスターにも思えてくるのだが、次の瞬間にはその険しい表情、とげとげしい発言によって、彼女への同情心は秒でかき消される。

さすがは名女優ジュディ・デンチ、「身近にいると嫌だなぁ」という人物像を完璧に作り上げている。

『ミザリー』(1990年)のキャシー・ベイツや、『ミスト』(2007年)のマーシャ・ゲイ・ハーデンにも匹敵する怪演だったと思う。

【余談】ハライチ岩井の結婚はゲスだと思う

最後に、今回の鑑賞のきっかけとなったハライチ岩井の件について書かせていただく。

ここから先は映画の内容と無関係なので、興味なければ読み飛ばしていただいても構わない。また彼の結婚を祝福したいという方も、ここから先は読まれないのがいいと思う。いろいろと批判的なことを書くので。

岩井は朝の子供番組「おはスタ」のレギュラー出演者であり、結婚相手も2019年まで子役として出演していた。

「おはスタ」はうちの子供たちが毎朝見ているので私にとっても馴染みのある番組であり、岩井が元おはガールと結婚したという報道が出た時には驚いた。悪い意味で。

相手は現在19歳で、今年の春(2023年3月)まで高校生だった。岩井とは18歳になってから付き合い始めたので、法的には何ら問題ないと説明されている。

ルール上はそうなのかもしれないが、交際開始時点で相手が女子高生だったという点には大いに引っかかる。

普通の30代後半なら、女子高生から言い寄られたとしても諭して断るだろう。「ギリ成人だからセーフ!」なんて判断は下さない。

大学時代に塾講師や家庭教師のバイトをしていた私の経験から言わせてもらうと、彼女らから好意を抱かれるのは難しくない。こちらが大人な態度を見せたり、彼女らが知らない世界の話をした後に、ちょっとだけ特別扱いすればいいのだ。

同年代からは大してモテていなかった私ですら女子高生から言い寄られることがあったのだから、これがいかに簡単なことかがお分かりいただけるはず。同じようなバイトをしていた友達に聞いても、教え子から好意を持たれることは珍しくないようだった。

ただし当時20歳そこそこの私ですら、女子高生に行くことには躊躇した。なぜなら、彼女らにマジックがかかった状態であることが分かっていたからだ。

フラットな立場で関わって彼女らが私に好意を示す可能性は低く、そんな状態で年下の子に手を出すのはモラルに反するというのが私の感覚だった。現在から振り返っても、その感覚は間違っていなかったと思う。

そこに来て岩井だが、芸能人として売れっ子なので、同業者の彼女からは憧れのまなざしを注がれていたことだろう。さらに彼女は相当なお笑いマニアらしいので、腐り芸人として芸人界でも唯一無二のステータスを持つ岩井はスターであるはずだ。

岩井は「言い寄ってきたのは彼女だった」と主張している。表面的にはそうだったのかもしれないが、売れっ子の自分に憧れる元共演者の女子高生からの好意なんて、額面通りに受け取っちゃいかんでしょ。

マジックがかかりまくった彼女の内面では、ファン心理やら同業者としての尊敬やらがないまぜ状態で、それらを差し引いた後に個人への愛着や恋愛感情がどれだけ残るのか、本人すら分からない状態だ。

だからこそ年上の方が大人の対応をせにゃならんのだが(戸田奈津子風)、そこにがっつり乗っかった30代後半の対応に、私はドン引きしている。

「大人の女性だって純粋な恋愛感情だけで交際するわけじゃないだろ」という反論があるかもしれない。

確かにその通りだが、御しやすい未成年期の相手に植え付けた好意の延長線上での交際と、成人になってからの判断に基づく交際とでは全然違う。

数年は彼女をクールダウンさせてから、「それでもお付き合いしたければ」という対応がベターだ。18歳の子が20,21歳になるまでなんて、全然待てる期間だろう。

結婚した以上は二人の幸せをお祈りするし、ルール的に問題ないことも認めるけど、道義的には相当ゲスいことをしてるなとは思う。

腐り芸人セラピーとか好きだったけど、笑えない存在になったのでもう見ない。私一人が見ないところで、岩井には痛くもかゆくもないだろうけど。

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