イカゲーム_怖い!エグイ!面白い!【8点/10点満点中】(ネタバレなし・感想・解説)

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得体の知れない脅威
得体の知れない脅威

(2021年 韓国)
概要はありがちなデスゲーム系なのですが、視聴者に余計な疑問を抱かせない緻密な設定、ゲームのシンプルさゆえの怖さ、崖っぷちの参加者達の心理戦でイヤ~な汗をかかせられました。一日一話のペースで見ようと思っていたのですが、結局3日で見終わりましたね。

感想

綿密に作り込まれたデスゲーム

本作の設定は実にシンプル。

煮詰まった貧乏人を集めたデスゲームで、各プレーヤーの命にかけられた金は約1000万円。死ねば金は場に帰属し、最後まで勝ち残った者が総取りするというシステムです。今回のゲーム参加者は456人なので、賞金は約45億円ということになります。

これに対し巷では「『賭博黙示録カイジ』に似ている」なんて意見もありますが、それを言うならシュワルツェネッガー主演の『バトルランナー』(1987年)だって生き残れば大金がもらえるという話だったわけで、この手の着想は世界中に存在しているので、パクったりパクられたりという関係はないと思われます。

そんなありふれた物語の中で、本作の一体何が優れているのかというと、デスゲームの内容や運営がよく考えられており、設定が明かされるたびに「おぉ、なるほど!」と唸らされるレベルにまで達しているということです。

例えばゲームは単純な子供の遊びに設定されているのですが、仮に『バトルランナー』のような体力勝負系であれば女性や高齢者、若い男性でも体力に自信のない者は参加しないだろうし、知力系であっても、やはり向き・不向きが出てきてしまいます。

また視聴者的にも誰が勝つのかの予測がつきやすくなるでしょう。

この点、子供の遊びならばほとんどの人が経験しているためにプレーヤー間での向き・不向きが表れづらく、全員が「自分でも勝てるかも」と思うことから、参加者層を広げることが可能となります。

視聴者的にも結果を予測しづらいため、最後の最後まで誰が勝つか分からないという興味を引っ張ることができます。

またこの手のデスゲームって強制参加、もしくは入口段階での意思確認こそあれど、ほとんど騙されるような形で導かれ、一度参加してしまうとどんな理不尽からも逃れられないという場合が多いのですが、本作では民主的なルールが置かれていることも独特です。

強引な勧誘はなく名刺を渡されて「ご興味があればどうぞ」と案内されるのみだし、ゲームが始まってもプレーヤーの過半数の同意で中止にできます。実際、一度お開きになってるし。

そうした判断の余地にこそドラマ性が宿っており、「こんな酷い目に遭ってまで金が欲しいのか」という個人の葛藤や、ゲームを辞めたい人と続けたい人との駆け引きなどが発生しています。こちらもお見事でした。

その他、通常のデスゲーム系ではほとんど触れられることのない運営側の動きにも着目し、なぜ警察に知られずに済んでいるのか、どうやってあれだけ大人数のプレーヤーを島に運び込んでいるのかといった視聴者が当然気にするであろう点に、ことごとく回答を付けています。

その結果、余計なことに気を取られずゲームに夢中になれるので、やはりよく出来た話だと言えます。

参加者は2タイプに分かれる

このゲームに参加する人って、↓の2種類なのだろうと思います。

  • 何かに追われている人
  • リスク愛好者

前者に該当するのは、横領罪で警察に追われている元エリートや、組織から命を狙われている元ヤクザで、彼らは実社会にいられないので、好むと好まざるとに拘わらずこのデスゲームをやらざるをえない状況にあります。

そんな事情があるので、ゲームで汚いことをしたり、場を荒らしたりするのは、たいていこのタイプ。

どんな状況になっても「ゲームを続けるんだ!」と主張するのもこのタイプ。

一方リスク愛好者とは、このゲームの賭博性を受け入れている者達です。

世の中にはリスク愛好者とリスク回避者の2種類がいます。それぞれの定義は単純で、ハイリスク・ハイリターンに張りたがる人をリスク愛好者、期待されるリターンが小さくともリスク回避をしたがる人をリスク回避者と言います。

一般にリスク愛好者≒ギャンブラーであり、第一話では主人公がギャンブル狂いであることが描かれます。ギャンブル狂いは金に困っている場合が多いことから、デスゲームに参加する動機も持っているというわけです。

そして、一生かかっても稼げない賞金を得るために自分の命を賭けるというのは、彼らにとってはフェアな取引のようで、興味深いことにリスク愛好者グループは運営の設定したルールに従順で、裏をかいたりしようとせず真面目にゲームに取り組むという傾向が見えます。

これら2タイプの参加者の織り成す心理戦やパワーゲームが大きな見所なのですが、ドラマチックでありながらも根っこの部分は理詰めなので、非常にしっかりとした作りになっています。

ゲームのとてつもない緊張感

ハイライトのゲームはとてつもない緊張感。

ベースは子供の遊びなのでルールの理解に苦しむことも、展開の把握ができないということもなく、どの国の視聴者でも直感的に理解可能なものとなっています。これが番組の世界的な人気に繋がったのでしょう。

ただしゲームのチョイスがえげつなくて、チームの結束が要求されるゲームの後に、ペアのどちらかが犠牲になるゲームが来たり、先手が有利なゲームの後に、後出しの方が良いゲームが来たりと、規則性がえげつないほど変動します。

何が良くて何が悪いのかは出たとこ勝負なところがあって、そのことが参加者達を苦しめます。

また負けた場合の処刑のされ方がかなりグロテスクなので、絶対に負けられないという緊張感もあります。

一話一話、ハラハラしながら鑑賞しました。

その分、ゲームから外れてしまう最終2話のテンポが悪いと感じてしまい、これが減点要素となっているのですが。

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