MEG ザ・モンスター【4点/10点満点中_技術は良くてもダメ脚本で台無し】

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得体の知れない脅威
得体の知れない脅威

[2018年アメリカ,中国]

4点/10点満点中

2006年頃にヤン・デ・ボン監督で”The Meg”の映画化が発表された時には胸躍った記憶があるのですが、いつの間にかその企画は消え去り、”The Meg”のことも忘却の彼方へと消えていきました。それから12年経ち突如『MEG ザ・モンスター』の邦題で公開されることを知った時には驚いたし、しかも信頼できる男・ジェイソン・ステイサム主演ということで喜びもひとしおでした。足を運びましたとも、初日に。しかもIMAX 3D。2,600円もしましたよ。

■ハリウッド製中国映画

宣伝ではひた隠しにされていましたが、本作は近年急増中のハリウッド製中国映画です。主に中国マーケットをターゲットにして、中国資本で作られた映画ですね。舞台は中国だし、主要キャストにも中国人の俳優さんが複数人入っています。

ハリウッド製中国映画自体は別にいいと思うんですよ。2006年にボツにされたこの企画が復活したのも中国の会社がお金をだしてくれたおかげで、それがなければ日の目を見ることはありませんでしたから。ただ、中国映画であることをひた隠しにした日本の配給会社の宣伝はちょっとどうなのとは思いますが。宣伝から想像していた映画と全然雰囲気が違うという裏切りは、さすがによろしくないのでは。

また、ハリウッド製中国映画は徹底的に低偏差値なので、B級モンスター映画だと割り切って見に行っても、それでも気になるほど作りが粗いという点が気になりました。

■無意味な冒頭

調査隊が我々の海と彼らの海を隔てていた層を熱泉で突き破ったためにメガロドンがこちらの海にやってきたということでしたが、だったら冒頭で原潜の救助現場を襲った生物は一体何だったんでしょうか。時系列的におかしいでしょ。

また、この冒頭で全員を救うために仲間を見捨てたことが主人公のトラウマになったのだから、作品のクライマックスでは類似のシチュエーションが出現して、今度は仲間を犠牲にせずに危機を切り抜けてトラウマから解放されるという展開にすることが常套手段なのに、そうでもないという不思議な構成。だったらこの冒頭に何の意味があったんだろうかと思います。前述の設定上の不整合もあっただけに、場面全体がなくてもよかったのかなと言う気がします。

■謎のヒロイン交代劇

元奥さんが遭難したことから、主人公が再びレスキューの現場に戻ることで本編がスタートします。当然、この元奥さんがヒロインポジションかと思いきや、序盤では脇役っぽかったやたら人工的な顔の作りの中国人女優さんがそのポジションをどんどん侵食していき、やがてヒロインが交代します。行き場を失った元奥さんは途中で画面から完全に姿を消し、復活後もロクにポジションを与えられず、完全な余剰人員となります。

だったら序盤で救助される人を元奥さんになどせず、妹とか友人の娘とか、主人公がほっとくことのできない別の女性像にした方がドラマはうまく流れたのではないかと思います。

■家族持ちに限って危険なことをする

舞台は海洋研究所ということで家に帰っても誰も待ってないだろみたいな面々ばかりなのですが、危機対応の際に危険なことをするのは決まって家族持ちばかり。まぁ分かるんですよ。そこにドラマを作りたいという意図は。なのでそこの強引さを責める気はないんですけど、ここまで不自然なことをしておきながら、肝心のドラマを作れていないというのはどうなのかなと。奥さんへの手紙を書き、死亡フラグがぶっ刺さった状態で死んでいくマシオカなんて、感動するよりも笑ってしまいました。

■導入部でのあおりと本編での見せ場が不整合を起こしている

救助作業が襲撃される冒頭、探査チームが遭難する序盤と、頑丈な潜水艇に乗っていても安全ではないというメガロドンの圧倒的な強さを見せつけておきながら、中盤以降は生身の主人公が泳いで仕留めにいったり、普通の毒薬で倒そうとしたりと、見せ場のバランスがどうもおかしかった点が引っかかりました。

シャークケージで罠を張るという展開にしても、その前に海洋研究所の地下トンネルに歯型を付けられるという場面を見せているのだから、どう考えてもシャークケージごときは破壊されるに決まってるわけです。なのに「このケージはこれだけの圧力にも耐えられるから大丈夫!」とか言ってケージに入り込むわけですから、バカな人達が危険に吸い込まれにいっているようにしか見えず、全然感情が乗っかりませんでした。

導入部でのあおりに対して、本編でやっていることがうまく対応しておらず、なんでそんなバカなことをやるんだろうかという点が終始引っかかり続けました。

■アトラクション映画としてはそれなりに機能している

実物が存在しているとしか思えないほど自然なメガロドンのVFXや、迫力のある音響。また3D効果も素晴らしく、アトラクション映画としては見れる出来にはなっています。それが本作の救いでした。

The Meg
監督:ジョン・タートルトーブ
脚本:ディーン・ジョーガリス,ジョン・ホーバー,エリック・ホーバー
原作:スティーヴ・アルトン『Meg: A Novel of Deep Terror』
製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ,コリン・ウィルソン,ベル・エイブリー
出演者:ジェイソン・ステイサム,リー・ビンビン,レイン・ウィルソン,ルビー・ローズ,ウィンストン・チャオ,クリフ・カーティス
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影:トム・スターン
編集:スティーヴン・ケンパー
製作会社:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ,グラヴィティ・ピクチャーズ,フラッグシップ・エンターテインメント,アペレス・エンターテインメント,ディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズ,Maeday Productions
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ(米・日)グラヴィティ・ピクチャーズ(中国)
公開:2018年8月10日(米・中),2018年9月7日(日)
上映時間:113分
製作国:アメリカ合衆国,中華人民共和国

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