ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪_名作の再生産品【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2022年 アメリカ)
ビジュアルは素晴らしいのだけど、オリジナリティがないのでピージャク版の再生産品止まり。物語の進行はあまりに遅くて退屈だし、魅力的なキャラクターもいないし、決して出来は良くない。

作品解説

史上最大のドラマプロジェクト

J・R・R・トールキン著『指輪物語』は、ピーター・ジャクソンが監督した『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の爆発的ヒット、及び、歴代タイ記録となるオスカー11部門受賞という高評価によって、金の卵を産むガチョウとなった。

しかし大きすぎる成功は新たな不和を産むもので、映画を配給したニューラインシネマの親会社であるワーナーブラザースと、原作者の遺産を管理するトールキン財団との間で、ライセンスを巡る法廷闘争が勃発。

闘争は5年に及んだが、2017年5月に和解が成立し、晴れて権利関係を動かせるようになった。

トールキン財団はAmazon、Netflix、HBOにドラマ化を持ち掛けて、Amazonが2億5000万ドルで権利を獲得。前代未聞の金額に世界中が驚愕した

加えて、少なくとも5シーズンを製作費10億ドルで製作するという条件付きであり、公共事業並の予算がかけられた、テレビドラマ史上最大規模の作品となったのである。

感想

世界観・ビジュアルは映画版を越えられていない

1~2話を見ての感想。

話題のドラマということで配信開始日に2話を鑑賞したが、現時点では期待に応えられていないと思う。

まずピーター・ジャクソンの提示した世界観やビジュアルを越えられていない。

ピージャクが作ったものの再生産品と称して間違いないレベルであり、20年以上も前に製作された作品と同等程度というのは、やはり寂しいものがある。

まぁピージャクのビジュアルが完璧すぎて越えようがなかったのかもしれないが。

『怪物はささやく』(2016年)で素晴らしい手腕を発揮したJ・A・バヨナがシリーズの製作総指揮、及び1~2話の監督を務めるということで期待もあったのだが、何のサプライズもない点がガッカリだった。

人種的平等性 in 中つ国

また予告を公開した時点で世界がざわついた有色人種キャラも、やはり悪い方に働いている。

主要登場人物の中に何人かアフリカ系やアジア系が含まれているのだが、中世ヨーロッパをモチーフにした世界に有色人種が登場するというのは、やはり違和感ある。

ピーター・ジャクソンが原作通りの世界を完璧に構築した後だと尚のことである。

そして有色人種のキャラに寄せていくためか白人キャラにも改変が加えられていて、従来、エルフは金髪&ロン毛が特徴だったはずだが、本作の男性エルフたちは皆サッカー選手のようなサッパリとした髪型をしており、金髪&ロン毛スタイルは皆無。

これもまた違和感だった。

また民族構成自体がさっぱり分からなくなるグループも現れている。

本作にはハーフット族という移住生活を送るロマのような民族が登場する。彼らは後のホビット族の原型となる民族のようで、確かにホビットのような白人系が多いのだが、族長だけが黒人なのでどういう民族なのかが分からなくなる。

さすがにこれはひどいと思った。

このご時世に白人だけを登場させるドラマなんて作れないというAmazon側の事情も分からんでもないのだけれど、すでに出来上がっているものを壊す形で有色人種を入れるのは間違っている。

有色人種の私すらそう思うのだから、白人の皆さんはもっと違和感あるんじゃないだろうか。

先述したハーフット族が最たる例なのだが、白人ばかりの中にポツンと有色人種を入れるからおかしくなるのだ。

有色人種だけの新グループを作ってしまえば違和感はなくなるのに、どうして中途半端な形で有色人種をねじ込むのだろう。

物語の進行が遅くて退屈

今のところ物語自体も盛り上がっていない。

2時間かけてようやくさわりの部分が終わっただけで、進行が異様に遅い。

映画版だって長尺だったが、それでも2時間経過時点ではとっくに旅に出て、危機の一つや二つは消化済である。

上記のポリコレ問題があって世界観をじっくり眺めていたくなる作品でもないのだから、尚のことちゃちゃっと進めて欲しいところなのに。

ピージャク版は尺を詰めろと言ってくる映画会社との間で、いかにすべての要素を温存しつつ短くするかという時間との闘いがあったが、本作の場合はその逆。

5シーズン作ることは契約上決まっているので、どれだけ長く引き延ばせるかになってはいないか。

また愛着を持てるキャラクターが皆無なのもしんどい。

主人公と言えるのは若い頃のガラドリエルなんだけど、冥王サウロンを追いかける執念は視聴者にとっても奇異に映るレベルで、決して孤高の戦士感はなかった。

王からの勧めもあり、一度は戦いを諦めてエルフの祖国に帰還する船に乗るのだが、航海中に突然気が変わり、ノープランで海に飛び込むという行為に至っては意味不明。

エルフくらいなら大海原を遠泳できるという設定でもあるのかと思いきや、たまたま通りかかったイカダに拾われて一命をとりとめる。そのイカダが通らなかったら溺れて死ぬところだったなんて、阿呆にもほどがある。

そしてハーフット族の少女ノーリが、映画版の主人公フロドに相当するポジションにいるのだけど、今のところ大した個性がないので、好きでも嫌いでもない。

この二人の主人公で本当に最終話まで持ちこたえられるのか不安になってくるのだが、そうは言ってもまだ2話。良い形で裏切られることを期待している。

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