(2024年 アメリカ)
不発だったPART1からは見違えるほど面白くなっている。物語は決戦に向けて直線的に展開して一切の無駄がなく、戦闘場面はザック・スナイダー印全開で楽しめた。できれば第3弾も作ってほしい。
感想
前作PART1は芳しい出来ではなかった。
スターウォーズ丸パクりのストーリー(特にEP4とローグワン)、徐々に正体が明かされるという構成がゆえに行動原理の分からない主人公、魅力のないアンサンブル達・・・
なので本作PART2にも期待していなかったんだけど、これが見違えるほど面白かったので映画とはわからないものだ。
本作の概要をものすごく粗く説明すると、『七人の侍』(1954年)の後半部分。前半でかき集めた侍たちが村に防衛対策を施し、ついに野伏せりとの決戦にいたる。
主人公や脇役たちのサイドストーリーは前作にて消化済なので、本作には一切の無駄がない。物語は決戦に向けて直線的に進行し、後半では長い長い戦闘でおなか一杯になる。
クライマックスの戦闘はザック・スナイダー印全開。美しさとカッコよさと激しさが絶妙なバランスでブレンドされており最高としか言いようがなかった。
思えばザック・スナイダーはアクション演出で世に出てきた人だった。
誰もが疑問視した『ゾンビ』(1978年)のリメイク企画をアクションのつるべ打ちで乗り切ってみせた『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)で彗星のごとく現れ、続く『300』もアクションの連続で見せた。
『ウォッチメン』(2008年)あたりから高尚なテーマも扱うようになり、それはそれで良かったものの、あなたはアクションの人でしたよねとちょっと寂しくなったりもした。
やがてワーナーのコミック作品群DCEU(DC Extended Universe)の総帥に就任するが、プロデューサーを務めたクリストファー・ノーランの色にも引っ張られたのか、弾けきらないアクションで賛否が分かれた。
なお、途中で取りやめたDCEUに続くDCU(DC Universe)の総合プロデューサーに就任したのは、『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)で脚本家を務めたジェームズ・ガン。今思えば『ドーン・オブ・ザ・デッド』ってすごい映画だったんだな。
そんなこんなで重苦しい映画ばかり作っては「う~ん、悪くはないんだけどなぁ」と言われ続けたのがここ15年のザック・スナイダーだったけど、ついに僕たちが好きになった頃のスナイダーが戻ってまいりましたよ。
本作のアクションはかっこいいだけではない。
戦闘には流れがあり、敵味方の攻守は激しく入れ替わる。
にっくき敵軍を破ったかと思った次の瞬間、物量押しで敵の第二陣が現れる瞬間の絶望感であったり、思わぬ援軍が駆けつける場面の興奮であったり、アクション映画に必要な演出が一通り織り込まれている。
最終的にアイツが活躍するってことはわかってたけど、それでも再登場場面では大興奮だった。こうした定番の演出をきちっきちっと決めてくるあたり、スナイダーはうまいなと感心した。
物語は一応の終了を迎えるも、次の展開を匂わせる発言も飛び出す。
世界的に不評なシリーズなのでNetflixさんが第3弾に金を出すとは思えないが、私はぜひとも続きを見たい。
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